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森博嗣 『サイタ×サイタ』 の感想

サイタ×サイタ
『サイタ×サイタ』


森博嗣


講談社ノベルス
2014年11月5日 第1刷発行/¥1000+税





『 考えないというのは、あるときは、考えることよりも難しいんだよね 』


<ご紹介>
TVドラマ放送中『すべてがFになる』の森博嗣によるXシリーズ第5弾。
「キレイニサイタ」「アカクサイタ」 謎めいた犯行声明をマスコミに送りつける連続爆弾事件の犯人、通称・チューリップ爆弾魔。 その犯行が報道される中、SYアート&リサーチに持ち込まれた奇妙な素行調査。 対象者――佐曾利隆夫に以前の同棲相手へのストーキング疑惑が浮上する。 張り込みに加わったバイトの永田絵里子は、佐曾利を尾行中、爆弾事件に遭遇する。 そして第一の殺人事件が! (裏表紙あらすじより)


<感想>
Xシリーズを読むと毎回同じこと思うんですけど、私、小川・真鍋のコンビが大好きすぎる・・・っ!(笑) この二人の組み合わせシーンが多々あって初めて成立するシリーズだと勝手に思ってるんですけど、そういう意味で今作も大満足でした!! 面白かったー(特に掛け合い漫才が・笑)。

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森博嗣 『ムカシ×ムカシ』 の感想

ムカシ×ムカシ
『ムカシ×ムカシ』



森博嗣


講談社ノベルス
2014年6月4日 第1刷発行/¥1000+税





「河童じゃないよ」真鍋は言った。
「どうして?」
「河童は、この世に存在しないから」
「うん、でも、被害者がどう思っているかは、別問題でしょう?」


<ご紹介>
Xシリーズ第4弾。 
「やっぱり、河童の祟りですか?」 大正期、女流作家の百目一葉を世に出した旧家・百目鬼家。 当主の悦造・多喜夫妻が、広大な敷地に建つ屋敷で刺殺された。 残された美術品の鑑定と所蔵品リストの作成依頼がSYアート&リサーチに持ち込まれる。 河童が出ると言う言い伝えがある井戸から、新たな死体が発見され、事件は、異様な連続殺人の様相を呈し始めるのだった。 百目鬼一族を襲う悲劇の辿りつく先は? (ノベルス裏表紙あらすじより)


<感想>
うわぁ気付いたら第5弾の『サイタ×サイタ』が発売しちゃったじゃないですか!!・・・と、慌てて読み始めた『ムカシ×ムカシ』です。 というわけで久々のミステリ感想です。 副題の「Reminiscence」は、回想・追憶・・・などの意味。 なるほどなるほど。 そして読了してから表紙を見ると、もうホント結局そこですよね!?と意味深さ。 毎度素晴らしいですよね! そして以下はネタバレ注意ですー。

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『タカイ×タカイ Crucifixion』の感想

タカイ×タカイ (講談社ノベルス)
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 173193




 生きなくても良いのに?
殺さなくても良いのに?
どうして? どうして? どうして? 


<ご紹介>
『Xシリーズ』第3弾のキーワードは、マジシャン。 マジックにかかっているのは登場人物ではなく、多分私たちです。 もちろんマジシャンは、森博嗣。

地上15メートルほどのポールの上に乗せられた、男性の死体。 その光景を目撃した真鍋瞬市は、そこが有名な女流マジシャンの自宅で、亡くなったのが彼女のマネージャーだと知る。 事件より留年が気がかりな真鍋を連れて現場の視察に来た小川は、そこで西之園萌絵と再会する。 一方、別のルートから事件に関わる調査依頼を受けた探偵・鷹知は、小川と真鍋に協力を要請。 一体何故、あんな高いところに死体を掲げる必要があったのか…。
    →シリーズ1作目『イナイ×イナイ』の感想
    →シリーズ2作目『キラレ×キラレ』の感想


<感想>
『Crucifixion』の基本的な意味は、「磔(はりつけ)」。 単純にポールの上の死体の形を指すのかもしれないけれど、森作品としては直截的過ぎる気がして、何が違う意味があるのかも?と穿った見方をしてしまいます。 でもまぁ、何も思い浮かばないんですけどね(笑)。

そもそも表紙だって意味深です。 帽子…は、マジックに使うシルクハットだとして、何故ウサギ(だよね?)のぬいぐるみ? マジックなら鳩の方が一般的なのに。 しかも透けてるし。 う~ん、この作品単品としては、宗教的意味も真賀田的臭いもそんなに感じないのに、この意味深ぶりは何なのでしょう? 気にしすぎなのかもしれないけれど、そのドキドキこそが、森作品の醍醐味であるのも確か。 めいっぱい楽しみながら読みましたw


さて本編。 相変わらず、真鍋と小川さんの気の抜けた会話が楽しいw 意外と卒業する気満々な真鍋くんが微笑ましいというか空気読めないというか…(笑)。 真鍋のデートの一言で一万円あげちゃう椙田さんの太っ腹加減は相変わらずで、しかもちゃっかり各務さん(漢字あってる?)とデート。 これって次への伏線? それともGシリーズへの予防線? 意外とソツのない鷹知さんを見てると「もしかしてA型?」などとどーでも良い想像をしてしまいます(笑)。 いずれにしろ、小川さんと鷹知さんの進展がなかったのが残念でした(見よ!!この脈絡のない文章…笑)。


トリックについて。 「何故あんなに高く掲げたのか」というポールのトリックについては、「いやそれしかないよね」という感じ。 このあたり、作者さんは分かっててやってるのだから性質悪いです(笑)。 要するに、「掲げた」のか「持ち上げた」のかの違いより、その後のマジック箱を使ったトリックの方がメインということですね。 そしてそんなトリックよりも、「人が死んだ」という事実の方が大事だということから、結局真犯人は誰なのかという結論が多少ぼかされているわけです。 いずれにしろ、私たちは森博嗣のマジックに楽しく翻弄させて貰ってるということに変わりは無い、ですねw 


以下、関連作品とのネタバレ有り。 要注意。


森作品でマジシャンと言えば、『S&Mシリーズ』6作目の『幻惑の死と使途』があります。 今回登場した老マジシャン・鷲津氏は、『幻惑』で登場した有里ナガル氏ですよね(P104に本名が宮崎長郎とある。『タカイ』のP301に鷲津=宮崎との表記有)。 『Gシリーズ』でお馴染みの加部谷恵美の初登場もこの話だし、何かと縁の深い作品なんですね。
 

で、今回西之園嬢が真鍋くんにに『パスタは何が好き?』と訊くシーンがあるんだけど(P278)、これまた意味深。 『あれって、形が違うだけですよね?』と答える真鍋の答えが秀逸なんだけど、更に萌絵ちゃんは、『でも、形が違うことって、大事じゃない?』と切り返す。 そして一言、『色が違うよりも、ずっと大事だと思う』と言うんです。 でも萌絵は『幻惑~』のラストで、好きな色の名をたくさん挙げているんですよね。 好きな色に意味はある?と訊く犀川先生に無邪気に好きな色の名を挙げていた萌絵は、ここにはいないのです。 これは成長という名のプロテクトなんじゃないかな。 深い、ですね。


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『キラレ×キラレ』の感想



『行動原理は、でも、常に自分の欲求を満たすためなんですよ』


<ご紹介>
切り裂き魔、殺人事件、赤い狂気…。 本格ミステリ要素満点の森博嗣の『Xシリーズ』第2弾、今回も楽しめますw

満員電車で30代の女性ばかりを狙う切り裂き魔が出現。 凶器はカッター? 一見無関係に見えた被害者たち。 だが、協力捜査をすることになった小川令子と鷹知祐一朗は、彼女が同じクリニックに通っていることをつきとめる。 そして起こった更なる事件。 被害者はもちろん、同じクリニックに通う女性。 令子たちがもう一つの共通点に気づいた時、今度はその「共通点」となる人物が殺されてしまい…。
    →関連記事 『イナイ×イナイ』の感想
    →関連記事 『メフィスト5月号(2007年)』の感想『ライ麦畑で増幅して』


<感想>
オイシイところ持っていきましたね、萌絵さん…(笑)。 素敵な女性は何をしても素敵w

切り裂き魔の正体に迫っていく過程にどきどきしっ放しでした。 どんどん明らかになる隠された共通点、見えない真犯人の影、それから満員電車がもたらす恐怖。 誰がどこで嘘を付いているのかを考えながらも、早い展開に飲み込まれるように読みいってしまいました。 うん、楽しい!!


令子さんと鷹知のやりとりや、真鍋の(意外にも!)奇抜な発想力は、きちんと事件を現実的に見せてくれてる。 それなのに、森博嗣の今までのシリーズよりもどことなく本格ミステリの雰囲気があるから不思議。 前回の旧家・双子っていう設定もそうだったけど、『Xシリーズ』はそういう面が強いのでしょうか?


今回一番怖かったのは、やっぱり人間の心理。 どんな出来事が自分を強迫し、他人を脅迫する事態に繋がるのか、全然分からないものなんですよね。 止められない止まらない心理状態って、お菓子食べてる時に感じますけど(笑)、それが殺傷行為でも起きるという恐ろしさがひしひしと伝わってくる対決シーンでした。


ただ、今までの森作品って、そういう心理的なものは極力省かれていた気がするんだけど、『Xシリーズ』はどことなく顕著に表れているような…。 それって多分、視点の多くを担当している令子さんの感覚が私たちに近いからなのかな?とも思ったり。 犀川先生だと、まず事件に興味を示さないでしょ。 萌絵ちゃんだと、示し過ぎだったし…(笑)。

あと、萌絵ちゃん達って案外すぐ思考を切り替えるんだけど、令子さんは割と自分の持て余し気味の感情に身を任せている部分があるみたい。 鷹知や椙田に抱くちょっとどきどきする感情を、何でだろうどうしてだろうと思いつつも、また同様に感じているんですよね。 そういう女性的な感情の揺れって、S&Mシリーズ初期に萌絵ちゃんが担当して以来あまり描かれてこなかったので、何となく目新しい気がします。


<まとめ>
『Xシリーズ』は2008年1月に第3弾『タカイ×タカイ』の刊行が予定されていて、その後は『Gシリーズ』の第7弾とのこと。 このシリーズだけ、という読み方も出来るけど、以外に繋がりの深い森作品は、もう全部読んだ方が絶対面白いので、今後も楽しみにし続けます♪


<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・『Alles ist im Wandel』 『月夜の読書』
●この本を買う・・・ 『bk1』 / 『Amazon』
●森博嗣公式サイト・・・『森博嗣の浮遊工作室』 『MORI LOG ACADEMY』
●講談社ノベルス公式サイト・・・『講談社ノベルス』
●TB送信先サイト・・・『読書感想トラックバックセンター』


 
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『メフィスト5月号(2007年)』の感想

メフィスト 2007年 05月号 [雑誌]
講談社/?1500
発売日:2007-04-13


「綾辻行人×有栖川有栖のミステリジョッキー」
笠井潔・上遠野浩平・舞城王太郎・北山猛邦・他


<ご紹介>
講談社刊行のミステリ系文芸誌。 1年間の充電を経て堂々の再開なので、いろいろ気合入ってます。 平田秀一氏の幻想的な表紙イラストも素晴らしい!!
この雑誌の巻末では、メフィスト賞の応募作を編集者が批評する「座談会」を設けていて、ここでメフィスト賞を与えるかどうかが決まるというなかなかステキな雑誌。 いつまで経っても「小説現代増刊号」扱いなんですが、そろそろ独立したブランドにしても良いんじゃぁ…。


<感想>
4月から手元にあったのに、勿体無くてなかなか読み進めないうちに、今月9月号が発売されてしまいました。 いやぁ、慌てた慌てた(笑)。
核心に触れないよう気をつけますが、基本的にネタバレ注意!! あとで単行本化された時の参考になると良いな。



●島田荘司 『クロアチア人の手』
石岡和己の元に舞い込んだ、殺人事件の解明依頼。クロアチア人二人が謎の死を遂げたというのだが、頑丈な密室と死体を食べたピラニアは、何を語りかけているのか…。

御手洗シリーズの読みきり。 相変わらず御大はスウェーデンにいらっしゃるので、石岡くんが頑張るパターンです。 石岡くん苦手な私には、ちと厳しい展開でした…(笑)。

冒頭から、大戦のきっかけとなったクロアチア人とセルビア人の宿命のような重い話を展開させ、そうかと思うと一気に幻想的な雰囲気に物語りは移行する。 いつの時代も現実が一番残酷だと思わせる史実を、ここまでドラマチックに読ませるのか。 そして謎を導くのか。 この手腕は本当に凄まじい。
トリックや二人の関係にちょっとむむむとなる点もあるけれど、この物語の本質は多分そこではなく、最後の一文にある。 戦争を民族浄化という名目で正当化しつづける人類を、冒頭で批判しておきながら、犯人の行動もそこへ行き着く。 自己正当化へ至る人間の心理が如実に現れる結末の恐ろしさこそを伝えたかったのではないでしょうか。

このラストを読んで、筒井康隆『ロートレック荘事件』がちらりと思い浮かびました。 自己を責め続ける言葉で終わるこの作品のラストも、結局は究極の自己正当化だったし。 怖いのは、人間のそういう部分だと思わされた一作。 スゴイです。
    →関連過去記事 『上高地の切り裂きジャック』の感想



●はやみねかおる 『少年名探偵WHO 透明人間事件』 /武本糸会・画
「今夜10時、あなたの大切なものを奪いに参上します」透明人間から寄せられた謎の予告状。 少年探偵WHOが助手のネコイラズ君と事件に挑む!!

講談社ミステリーランドから刊行された、はやみねかおる『ぼくと未来屋の夏』の中で、作中作のキャラクタとして登場したWHOとネコイラズ君がメインで登場。 うわぁい、この子たち大好きだったので、嬉しいですw 確かに作中作では勿体無い人物造形だったし、何より『ぼくと未来屋の夏』をコミカライズした武本糸絵さんとのタッグも良かった。 武本さんオリジナルだった「委員長」が今回はやみね作品として登場してますが、何の違和感も無し。 素敵すぎる!!  明るく楽しく、そして少ししんみり。 気持ちよく読める持ち味が最大限に発揮された良作です。
    →関連過去記事 『ぼくと未来屋の夏・1』の感想



●森博嗣 『ライ麦畑で増幅して』 /ささきすばる・画(Xシリーズ予告編)
「午前と午後が背中合わせ」 突然亡くなった社長が残した謎の遺言。 オーディオルームで出会った椙田という男。 小川令子の未来は?

6月に刊行された森博嗣の新シリーズ『Xシリーズ』の予告編。 椙田と出会うまでを綺麗な文章とコンパクトな分量でセンチメンタル風味に仕上げた短編。 スピーカとネット。 いつもながら比喩表現の美しさは格別です。

人の気持ちも、思惑も、謎かけの言葉さえも、ほとんど明らかにならないまま静かに終焉するんだけど、それが反って印象深い。 この短編を読んでから
『イナイ×イナイ』へ進むと、令子女史に対する見方が変化するのではないでしょうか。 「自分が一番若い」という理由で片づけを始める人は、好きだなぁ。
謎かけの答えは分からないけれど、どれだけ想像しても、暗い答えは出てこない。 彼女のものは、きっと明るい何かなのだと思う。
    →関連過去記事 『イナイ×イナイ』の感想



●西尾維新 『零崎曲識の人間人間・ランドセルランドの戦い』 
萩原子荻と零崎双識は何故かランドセルランドで一日デート? 詳細不明な殺人鬼、『少女趣味(ボルトキープ)』こと零崎曲識と零崎人識は、そんな二人を尾行するのだが・・・!!

という訳で、「人間シリーズ」第3弾。 相変わらず「妹」に弱い双識さんと(笑。弱いっていうか、1日100通のメールはもはやス○ーカー…)、謎に包まれた曲識さん、いつの間にかヘタレキャラになりつつある人識さんたちが登場です。
ランドセルランドでデート、というだけの話に、いろんな人の思惑が混戦したなかなか面白い出来。 ここでこのキャラとこんな事が…!!的な満足度は高いのではないでしょうか? 本当に、ネタを出し惜しみしない人です、西尾維新…(笑)。

いつも感じることですが、西尾維新は、作品的に「もういない」はずの人物を、そんな気配微塵も感じさせないほど魅力的に描きますよね。 これだけ読んでたら、このキャラが数年後にいないんだ、ってことは完全に感じないでしょう。 面白いな…。
    →関連過去記事 『刀語 第八話 微刀・釵』の感想



●辻村深月 『名前探しの放課後 第1回』
依田いつか、がふと気づくと、そこ3ヶ月前の世界だった。 名前を思い出せない「死んでしまったクラスメイト」は、誰なのか…。

連載です。 辻村深月を読むとどこか噛み合わない部分を感じるのですが、今回は特にそう。 主人公依田いつかは、作中のかなり早い段階で自分が今いる世界が「過去」であることに気づく。 気づくのだが、表立って驚いたり焦ったり訝しんだりはしない。 あくまでも彼の中だけで静に時をやり過ごしていく様子は、ちょっと私にはない反応で、「タイムトラベル?を辻村深月が書くとこうなるか…」とちょっと新鮮。 新鮮だけど、なんかちょっと納得いかない気も…。

後半部分は、いわゆる「タイムトラベル」の検証をしてます。 私は詳しくないけど、そゆ人でも読めるように作ろうとしているみたいです。 ただ多分、描きたいのは本格的なタイムトラベルではなく、「死んでしまったクラスメイト探し」なんだと思います。 それをクリアするための時間移動なんじゃないかなと予想中です。
    →関連過去記事 『ぼくのメジャースプーン』の感想



<まとめ>
長年買ってますが、今号の気合の入り方は尋常じゃないです。 普段購入しない単行本派の方にも、これはオススメ。 あと、来年の講談社BOX大河ノベルに島田荘司が参戦するっていうのが本気でスゴク楽しみです!!

<関連サイト様>
●この本を買う・・・Amazon 
●講談社ノベルス公式サイト・・・『講談社ノベルス』


 
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『クレィドゥ・ザ・スカイ』の感想

クレィドゥ・ザ・スカイ

『クレィドゥ・ザ・スカイ』
森博嗣
中央公論社/2007.06/?1890

『ここにあるのは、
空気、
二機の飛行機。
そして、
見つめあう目だ。』


<ご紹介>
2001年に刊行された『スカイ・クロラ』から続いたシリーズの最終巻。 本の本体に写真を使ってあり、その上の透明カバーにタイトルなどを印刷した装丁が、この作品の繊細なイメージを上手に表現していると思います。 『スカイ・クロラ』は押井守監督で映画化決定。


<感想>
大人にならない子供たち「キルドレ」が、如何に大人になり、大人にならないでいられるか。 そして、そんな不安定な存在を、本物の大人が大人気なく扱おうとする矛盾。 これは、そんな矛盾を地上と空との間で淡々と描いたお話…なんだと思います。

いつも結構頑張って、無い知恵を絞ってあらすじ書いてますが、これは駄目。 この作品は書けませんでした。 実は、どう書こうかと躊躇っているうちに、感想を2ヶ月近く温めてしまったというヘタレっぷり(笑)。 開き直って、そのまま書きます(しかし激しく忘却してますので簡易版で)。


『スカイ・クロラ』を初読時の感想って、「うわ、詩みたい!!」でした。 作品の持つ繊細な世界観と、硝子と鋼鉄で出来たみたいな意思の羅列が、「小説」とはちょっと違うように思えたからので。
でも、その感覚は巻が進むごとに薄らいでいき、代わりに物語性が台頭してきてもの凄くドラマチックに登りつめて……そして最終巻ではまた、詩的な世界へ誘われました。 この浮遊感が心地よく、そして残酷です。


「存在する」って、どういうことなのでしょう…?
パイロットは、飛べれば良いの? メカニックは、機械があれば良いの? 人間は、ただ生きていれば良いの? ……違う、でしょ?
違うよ、という「答え」をくれるお話です。 どう違うのかは、登場人物それぞれが体現してくれる。 自由にならない心と体とそれぞれの立場。 そんな中で大切なものを見逃したり諦めたりしながら、それでも生きる人たちがいる。 綺麗なものを目指しながら、空へ舞う人たちがいる。
私たちは必ず彼らから生き方を学ぶことができる。


発行順は、『スカイ・クロラ』『ナ・バ・テア』『ダウン・ツ・ヘヴン』『フラッタ・リンツ・ライフ』→『クレイドゥ・ザ・スカイ』となるこのシリーズ。 けれど作品としての時系列は、『クレイドゥ・ザ・スカイ』の後を見ると、『スカイ・クロラ』が最後になっている(つまり『ナ・バ・テア』が最初)。 『スカイ・クロラ』に始まり『スカイ・クロラ』へ修練される作品なのだ。
実は、語り手となる人物についての考察は、まだまだ出来ていません。 自分なりの答えをここに書くのも、ちょっと自信ないです。 でも、正解って何だろう?と問いかけてくる作品なので、自分の中でゆっくり消化しながら楽しんでいきたいと思ってます。


<まとめ>
S&Mシリーズで森博嗣に慣れてしまうとちょっと異質な世界観。 でもやっぱり根幹は同じなんだと見せ付けられる作品。

<関連サイト様>
●この本を買う・・・ 『bk1』 / 『Amazon』


スカイ・クロラ
『僕はまだ子供で、ときどき、右手が人を殺す。』
この一文でもう、ノックアウトをくらった作品です。


ナ・バ・テア
『ここで生きているんだ』
空の底に眠るのは、誰のどんな意思なのか…。


ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven
『真っ黒な澄んだ瞳。 その中に、空がある。 そこへ堕ちていけるような。』
天から堕ちるのではなく、天へ堕ちる。 その物語は、どこまでも透明。



フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life
『ただ、飛び続けたい。 僕が僕であり続けたい。』
生きるのは、人のためだけではなく、自分のため。





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『イナイ×イナイ』の感想

イナイ×イナイ
森 博嗣著
講談社ノベルス (2007.5)
通常24時間以内に発送します。


→amazonで見る『イナイ×イナイ』
森博嗣/講談社ノベルス/2007.5.9/?900


<ご紹介>
文芸誌『メフィスト』誌上で開幕した森博嗣の新シリーズ『Xシリーズ』の1作目。
謎の屋敷の地下牢、美しき双子、そして密室殺人と本格ミステリの魅力が満載!!
ちらりと登場するあの方、えぇっ、今幾つ!? 
講談社ノベルスシリーズをいずれかでも読んだ事のある方は、今回も必見の内容です。

美術品鑑定の椙田事務所で、留守番をしていた真鍋の元に現れた美しい依頼人・佐竹千鶴。 「兄を捜していただきたいのです」…その兄は、もう何十年も佐竹の屋敷にある地下牢に幽閉されているらしい。 訝しむ真鍋だが、留守中の椙田に代わり助手の令子と共に佐竹の屋敷へ赴くのだが、もう一人探偵を名乗る男も現れて…?
    →関連記事『ηなのに夢のよう』の感想

<感想>
peekabooって何だろう?と思ったら、「いないいないばぁ」という意味か。 私は幼心に、「いないいないばぁ」で顔を隠す手が外れた時、それまで知っていたのと違う顔があったらどうしよう!?と怖い気持ちを抱いたのを覚えてます。
要するに、本作はそんなお話だった気がする。
幻想のような、現実のような、幻想より現実の方が怖いような、そんなお話。

美術品といえばあの方、です。 ただ、あの方はほとんど登場せず、頑張ったのは本業放置中の美大生・真鍋と、元社長秘書の令子さん。 冒頭の方では令子が探偵役かと思ったけど逆でした。 彼女が何故椙田の助手になったのかは、『メフィスト』誌に掲載された『ライ麦畑で増幅して』で明らか。
この二人、会話のペースがのんびりしてて好きです。 令子が襲われた場面の回想で、「悲鳴が聞こえなかった?」「ええ、まだ生きてるなって」辺りが特に。 いや、もうすぐ死んじゃうから助けてあげて(笑)。 真鍋のこの辺の妙にクールな感覚は、犀川先生に近い気がちょこっとだけしました(勿論、近くない点の方が多い)。

さて、ミステリとして、久々に?面白かった作品です。
個人的に「Gシリーズ」の持つミステリ要素があまり好みではなく…ちょっと困ってたので(笑)。 勿論、前作『ηなのに夢のよう』の驚愕の展開はもう今でも誰かにぶちまけたいくらい気になってる。 だけど、ミステリとしては、今作の方が断然好み。
<紹介>でも書いたけど、やっぱり本格ミステリの雰囲気は、いつ読んでも惹かれるものがある。 まぁ双子を出す時点でトリックは絞れるのだけど、本格の主要要素である幻想性を描けてたから、今回はすごく楽しめました。

何となく予想なんだけど、今回同様あの方は基本不在でオイシイ場面だけ登場するパターンなんじゃないかな?と思いました。 だって彼、忙しいでしょ?手広く手酷くやってるから(笑)。っていうかスミマセン、そもそも何で彼女から隠れるんでしたっけ…(ぉぃ)。 誰か教えてください。

ラストちらりとご登場の彼女、今後シリーズにどのくらい関わるのか不明だけど、東京に来るっていうのはフラグじゃなかったんだ!!と嬉しく思ったり。 この人いなきゃ始まりません。 やっぱりシリーズ間の共有性は読者を惹き付けておく最大の武器だな、としみじみ思います。
今後も期待大。

<まとめ>
次回作もXシリーズ。 Gシリーズはあの謎を提起して終了なの? 時間軸的にXの方が後(もしくは今後平行)ので、あの謎を回収するためのシリーズなのか、それとも平行して続くものなのか…全ては森博嗣の掌の上、ですね。

<関連サイト様>
・感想拝読しました・・・『かもめは本を読まない。』 『Forestz.net』 『booklines.net』
              『Alles ist im Wandel』 『まじょ。のミステリブロ愚』(6/6)
・TB送信先サイト・・・『読書感想トラックバックセンター』
・作者関連・・・『森博嗣の浮遊工作室』 『MORI LOG ACADEMY』

 
 
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