『びっくり館の殺人』の感想

『びっくり館の殺人』img20060514.jpg
 綾辻 行人
 講談社 ミステリーランド 2006.03


<ご紹介>
講談社が「かつて子供だったあなたと少年少女のための」作品として
刊行しているのがこの「ミステリーランド」 (詳しくはこちら)。
『びっくり館の殺人』はこの第9回配本分で、かつ、
綾辻行人の代表『館』シリーズの最新作、という形態
をとってます。
今までの館シリーズが、講談社ノベルスからの刊行だったので、
今作は異例中の異例なだけに、作者の気合を感じるのは確か♪

ちなみに同じく第9回配本が、法月綸太郎『怪盗グリフィン 絶体絶命』、
次回配本(今月!!)が、乙一『銃とチョコレート』だったりします。
超豪華!! 


<あらすじ>
今から約10年前、永沢三知也の住む街には『びっくり館』と呼ばれる不思議な屋敷があった。
「とにかく家中がびっくり」というその屋敷には、風変わりな老主人と、寂しげな少年・トシオ
そして大きな人形の「リリカ」が住んでいた。
トシオと仲良くなった三知也だが、『びっくり館』への奇妙な印象はぬぐえない。
そしてクリスマスの夜、三知也は屋敷で起きた密室殺人の発見者となってしまったのだった。
長年事件を忘れていたが、書店で見かけた『中村青司』の名が三知也の記憶を呼び覚ます。
犯人は、まだ捕まっていないのだった・・・。


<感想>
まず何よりも、表紙の絵が怖いです!!(笑) 
怖すぎだろー、この絵・・・。
うっかり読みっぱなしにしておくと、思いもかけない時に目が合ってしまう(笑)。

でも思うんだけど、まずこの時点で、読者は綾辻ワールドに引き込まれてるわけですよ。
綾辻行人のミステリは、この「何かちょっと怖い」っていう雰囲気がとても大切にされている。
しかも、その感情を踏まえないと真相に至らないという・・・。
この独特の世界観を印象づける役割をしっかり果たしている表紙だと思う。

ミステリーランドという幅広い年齢層を意識してか、普段より文章が読みやすいのは◎!!
視点を固定しているのって、もしかして比較的珍しいのでは?
ただ視点の制限がある分だけ、トリックとしてはアンフェアライン上になってしまってるかも。
あちこち気をつけて表記されているけど、「それって有り?」って初読では思ってしまったり。
でも。
ここで効いてくるのがあの表紙。
よく考えたら、表紙にトリックが描かれているようなもんじゃん!!(笑)
充分にフェア!! だと改めて思いました。 むしろ爽快です。

真相が分かってから読み返すと、三知也がクリスマスの夜に目撃したのは、
人の心が壊れていく、人の心を壊していく様子を見せ付けられたおぞましい場面だと思う。
そんな体験をしつつもトシオを守るため三知也が取った行動は、
良いとも悪いとも言えないけど、実は三知也の心を守るためにも必要だったのかもしれない。
そんなことを後から考えました。

『人形館の殺人』とか今回のような雰囲気を書かせると、やはり綾辻行人は巧い。
物理的に立証できるトリックしか認めない、っていう人には向かないかもしれないけど、
本当にミステリーなのは、何よりも人間の心なのだから。



<こんな方にオススメ>
ミステリーランドは子供向け全集のような体裁ですが、是非大人に読んで欲しいです。
個人的には★★★★☆。

bk1にTBしました。
BP『Let'講談社』にTBしました。
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