2012.02.28
幸村アルト 『はちみつとバタフライ』 の感想

『はちみつとバタフライ 〜職人工房シリーズ』
幸村アルト
白泉社花とゆめコミックス
2012年2月25日 第1刷発行・¥400+税
『 でも やっぱり放さないでいて 』
<ご紹介>
とある田舎町の工房を舞台としたオムニバス3編と、読みきり2編を併録した短編集。 主に 『花とゆめ』 掲載作品。
中世から続く赤いトンガリ屋根が印象的な田舎町・エリザには、たくさんの工房が軒を連ねている。 その中の一つ、香水工房で働くアルマは、天才的な香水職人だけどちょっと風変わりなシェリーを支える職人補佐 (プロップマン)。 2年前、内気だった自分をシェリーの香水が変えてくれたときから、彼のことをずっと尊敬し、支えてきた。 けれど、研究熱心が度を過ぎてお茶を頭からかぶってしまうようなシェリーの面倒を見るのはかなり大変。 普通に会話して普通に心を通わせあう他工房の職人たちが羨ましくなってしまったアルマは、シェリーに工房を辞めると宣言! でも心の中にはずっとシェリーのことがわだかまっていて・・・?(はちみつとバタフライ)
<感想>
職人工房を舞台とした、幸村アルトさんのオムニバス短編集です。 前作 『六百頁のミステリー』 もひじょーに私好みだったのですが、そもそも幸村作品との出会いは今回収録された 『カフェ・コルベイユの恋』 でした。 掲載誌 『花とゆめ』 で読んだのは2009年6月のことなので、もう3年近く前だけど、出会いが印象的だったので今でもよく覚えています。 ちなみに当時のことは
⇒『花とゆめ13号(2009年)』 の感想 / 幸村アルト 『カフェ・コルベイユの恋』
に詳しく書いてありますので是非 (←宣伝・笑)。 『カフェ〜』 は本当に気に入ってしまい、何度も読み返しました。 だって可愛い! だってときめく☆ あの世界観にもっと浸りたくて、(記事中でも触れてるとおり) 「お店を舞台にしたオムニバスとか読んでみたいな」 と強く思ったものです。 実際にオムニバス化されたのは 『コルベイユ』 とは違うお店だけど、世界観とか雰囲気は継承されてるので、このような形で実現したことがすっごく嬉しい。 読みたかったものが読めるってとても贅沢! 読書中はずっと幸せでしたw
さて本編。 『トランクドール』 『はちみつとバタフライ』 『ビタースイート』 は、同じエリザの町を舞台とした職人工房の物語。 それぞれ人形工房・香水工房・指輪工房となっていて、メインとなる人物に共通性はないけれど、あっちのサブキャラがこっちでも登場していたりはします。
何より主軸となるのは、 「職人」 と 「職人補佐」 の関係を描いているお話だということ。 職人補佐は 「プロップマン」 と読み、 「支える人」 という意味。 専門職である職人さんがやらない・できないことを職人のために為すのがプロップマンなので、必然的に、天才的な職人さんと苦労人のプロップマンという構図が出来上がるのが上手です。 お互いに敬意がないと続かない関係なので、苦労があっても支え合いたいっていうメッセージがとても明確。 なので、帯に書かれた 「自分の腕ひとつで世界を切りひらく少女たちの恋物語」 というアオリには、ちょっと違和感がありました。 作中の少女たちは腕ひとつで世界を開拓してるわけではなく、むしろ誰かと支えあう喜びを世界の中に見つけ出していく物語、だと思うんだけど……たまに帯に賛同できないことがあります (ごめんなさい!)。
全体的な印象としては、幸村作品はとにかく乙女チックだなっていうこと。 そしてメルヘン。 これ、すごく褒めてます。 乙女チック大好き! (←りるさんはもう乙女な年じゃないけどな!・笑)。 きらきらした瞳の描き方もそうですが、モチーフで使われるひらひらのドレスや、薔薇などの花や大きなリボンなど、一つ一つが可愛らしい。 ヒロインたちのまっすぐな視線からはマイナスの要素をまったく感じず、どこからどう見ても少女でしかないけれど、たぶん、あと一歩進めば大きく羽ばたくギリギリのラインにいるんだってことが見てとれる。 咲き誇る直前のような危ういくらいの少女性が、強烈なほど魅力的なのです。 ・・・だから、2年も手を出せないシェリーの気持ちも、リタをひたすら可愛い可愛いと愛でるジルの気持ちもよく分かるんだよなー(笑)。 あれはもし拒絶されたら立ち直れないレベルですよねw 少女マンガ的な少女マンガを求めてる方には、是非オススメな1冊です。
では、以下各話語り。
お話としていちばん好きなのは、やっぱり 『カフェ・コルベールの恋』。 いちばん巧いなって思ったのは 『ドラマチックドール』。 いちばん好きなヒロインは 『カフェ〜』 のエマちゃんで、いちばん好きな男性はシェリーさんでした。 リボンタイが素で似合っちゃうような人に弱いです(笑)。











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