芝村裕吏 『キュビズム・ラブ 悩める博士と恋する小箱』 の感想

キュビズム・ラブ・小説版
『キュビズム・ラブ 悩める博士と恋する小箱』


芝村裕吏
松本テマリ(イラスト)

エンターブレイン ビーズログ文庫
2012年7月26日 初版発行/¥560+税




「大丈夫、いいことありますよ」
典子は元気に言った。黒い箱だけの姿になっても。
誠志郎は黒い箱を見た。黒い箱をなでたい気持ちになるが、がまんする。だいたい箱をなでたいってなんだと思う。
「まあ、がんばって成長する。今日は帰る」
「はい。あの」
席を立つ誠志郎に、典子は声をかけた。
すこしもじもじする。考える。誠志郎はじっと待っている。
「なんだ?」
「お大事に」
誠志郎は何かを言おうと思ったが、とりあえず微笑んだ。筋肉が萎えてないといいと思いつつ。
「……ありがとう」


<感想>
コミックス『キュビズム・ラブ』を原作者がノベライズするという、逆輸入的な(笑)小説だったりします。 ちなみに読んだのは文庫版。 発売当時に買おうか買わないか迷ったんだけど、マンガ版だけでも充分楽しめてるし、読む時間を確保しづらい時期だったので買わなかったんですけど、こんなに面白いなら最初から読んでおけば良かった!!ってくらい楽しめました。 マンガでも、小説でも、典子ちゃんと篠田先生の関係はとても優しくて温かみがあって、思わず心がほっこりしちゃいますね。 
なお、コミックス版の感想は↓こちら↓です。
 ⇒松本テマリ/芝村裕吏『キュビズム・ラブ・1』の感想
 ⇒松本テマリ/芝村裕吏『キュビズム・ラブ・3』の感想

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『ダ・ヴィンチ5月号(2011年)』の感想

ダ・ヴィンチ5月号

『ダ・ヴィンチ5月号(2011年)』

メディアファクトリー
2011年4月6日/¥467+税





<感想>
『図書館戦争』 シリーズ文庫化を記念して企画された特別対談 『児玉清×有川浩』 のためだけに購入しました! 私はそもそも有川作品のファンですが、それ以上に児玉清さんの大ファンなんですよ! この組み合わせで買わないはずが無いっ!!(笑)  しかし 『ダ・ヴィンチ』 って約2年の間隔で私にツボな企画が来るようで、前回の購入は 『2009年3月号』のCLAMP特集、 その前は 『2006年12月号』の少女マンガ特集 でした。 毎回分かりやすい購入動機だなぁと我ながら感心です(えー。  そして今回も情報をくださったのは、前回までと同様にbonoさんでしたw(4/9に教えてもらって、4/10には買いに行った私。偉い・笑) 師匠、スペシャルサンクスですっ!!  最新号の感想なので、「続きを読む」に収納しますー。

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tags: 有川浩

森崎 『短気な男子学生と無関心なクラスメイト』の感想(ネット小説)



「 今までありがとう、お兄ちゃん 」


<感想>
『短気な男子学生と無関心なクラスメイト』 は、大好きな小説サイト 『Tiny garden』様 の最新作、でした。 先日めでたく完結されたので、感想を。 

『Tiny garden』 様は、森崎さんが紡いでらっしゃる恋愛・青春小説のサイトです。  『懸想する殿下の溜息』 がイースト・プレス社から書籍としても発売されてます。 森崎さんが表現される丁寧な心理描写がとても好きで、どこか潔い決断を下す登場人物の造形にも憧れるくらいに惹かれてしまいます。 私は・・・自分で言うのもナンですが、とても短絡的で楽観的で主観的なラブコメ脳患者なので(笑)、森崎さんの思慮深くて繊細な感覚が生み出す文章は、発想することさえ難しいものなのです。 だから余計に愛しいというか・・・ときどき、その純粋さを味わいたくて過去作品も読み返したりしてます。 間違いなく、一番好きな小説サイト様なのです。 


『短気な男子学生と無関心なクラスメイト』 は去年の秋頃から連載されていたものです。 お話としては、最初はタイトルの通りでした。 短気だけど学校中の有名人である男子学生・新と、彼の挙動に無関心に見える女子学生・春との物語。 二人の関係が実は…… ということが分かった時に (ネーミングがまた上手いんだよね)、なぜ二人がそんな態度を取らなければならないのかが描かれていきます。 率直に言えば、この物語にドラマチックに仰々しく盛り上がるような部分はありません。  ただ、二人が 「二人」 であることについて、何を感じ何を悩み何を選択していくのかが描かれていくだけです。 悩んでいるはずだけど、むしろ淡々と表現されていくので、春と新がお互いをどう思っているのかは、完全に手探りをしながら読んでいくしかありませんでした。 でも、その手探り感そのものが、私はすごく好きだったのです。 だって、実際に誰かと向き合っていく時って、どう頑張っても手探りで進んでいくしかないのだもの。 だから私も、手探りで春と新を知っていく過程が何とも言えず好きだったのです。 


春と新がお互いに抱いていた感情の答えは、最後の行に書かれていました。 私はずっと、そうなんだろうな、と思っていたので、正解だったことは嬉しかったです。 でも、それが実るものではないことも分かっていたので、切なさも倍増でした。 恋の終わりなんて、理由は様々あれども、誰にでも平等に訪れるものです。 だから、春と新の間に生まれた 「終わり」 も、本当は平等なものなんです。 ・・・ただ、当人たちにとっては、なにものにも代え難い 「特別」 なものだったと思います。 何かを選び取るということは、残酷さを併せ持つ行為でもある。 それでも大事なことに変わりはないから・・・最後の新がどこまでも優しかったことも、その優しさを春が全身で受け止めたことも、 「特別」 さを強く感じさせてくれました。 諦めを受け入れて一歩進むなんて、大人でも難しいことをやってのけた二人が、とても素敵でした。


この物語の良さを支えたのは、間違いなく副題にあると思ってます。 連載前に 「携帯電話を握り締めて眠る夜」 とか 「優しい嘘に呑まれないように」 という魅力的なサブタイトルが先に公開されていたんだけど、それらが言葉としてあまりにも素敵だったものだから、見ただけでドキドキしてしまいました。 極めつけは、最終章にもなった 「『好きだよ』、震えた声で紡いだ」 という副題。 一体何が起きるんだろう、ホントどきどきするー!…という感じで(笑)、春と新がどんな物語を紡ぎどんな答えを出すのかが気になって仕方なくて、半年間リアルタイムで読み続ける原動力にもなってました。 お題サイト 「曖昧」 様からの拝借らしいですが、考えた方も選択した方も、どちらもセンス良いなぁと羨ましい限り。 私もお題に沿って小説を書く・・・なんて恰好良いことが出来る人なら良かったのに!と自分を残念にも思ったものです(笑)。 森崎さん、すてきな物語をありがとうございました。 次回作もお待ちしてますw 




懸想する殿下の溜息 (Regalo)
森崎 緩
イースト・プレス

tinygarden01.gif  曖昧バナー



茅田砂胡 『祝もものき事務所』の感想

momonoki.jpg
『祝もものき事務所』

茅田砂胡
(挿画:睦月ムンク)

中央公論新社C★NOVELS FANTASIA
2010年011月25日 初版発行/¥900+税




「百之喜はああ見えて仕事を選ぶ男です。 その男があなたの依頼は断らなかった。 不承不承ながら引き受けたということは、百之喜はわずかでも隆くんが無実である可能性を見出したということなんです」
「わたし……具体的なことは何も話さなかったのに、優秀な探偵さんなんですね」
「とんでもない」
雉名は露骨に顔をしかめた。
「あれは無能と自堕落を絵に描いたような男です。 能力もなければ根性もない。 毎日遊んで暮らすのを理想とするような社会の落伍者なんです。 それでも今は百之喜に期待するしかない」
電話の向こうで江利は絶句した。
仕事上の短いつきあいでも、雉名がこんな冗談を言う人間ではないことはわかっているつもりだが、思わず尋ねていた。
「そんな人に……何を期待するというんです?」
「奴が何かしでかしてくれるのをです」



<感想>
有隣堂のノベルスコーナーに、表紙が見えるように置いてあった本です。 イラストに目を惹かれて手に取り、その後 「あ、茅田さんだ」 と気付いて面白そうだと思い、最後に裏表紙を見て・・・イラストにある美人秘書・凰華さんの横顔 (正確には口元!) の色っぽさに負けて購入しました(笑)。 あ、あと帯! 帯の文句が、 『やる気も根性も能力もない主人公の なんちゃってミステリー!?』 って書いてあるの。 その無能ぶりは私に似てる!と思ったらいてもたってもいられず…(笑)。 えーと、まさにそんな感じの、ライトなお話でした。


物語としては、その無能な主人公・百之喜 (もものき) が営む事務所に、殺人事件の犯人として逮捕された弟の無実を証明して欲しい、という依頼人が来るところから始まります。 その弟には被害者との間にトラブルがあり、愛車からは凶器も発見されていて、事件当時のアリバイもない…という超不利な状況。 気の進まない百之喜は、しどろもどろになりつつも断ろうとするんだけど、それを秘書の凰華さんが強引に引き受けてしまう。 でもその強引さの裏には、根拠はないけれど実績だけは豊富な、百之喜のとある 「体質」 が関係している。 そしてその 「体質」 は玉転がしのように厄介事を増やしながらも、何故か事件を解決に近づけていって・・・というストーリー。


その 「体質」 が何なのかということに関しては、本当に根拠もなければ説得力もないので、読んでる私としても依頼人と同様に 「この人に任せて大丈夫なのか…?」 という不安を抱えながら読んでました。 で、その不安を何とか支えてくれるのが、百之喜の優秀な秘書・凰華さんと、彼の幼馴染、雉名・鬼光・犬槇・芳猿の4人。 オトコ4人で高級飲食店に入って談笑しちゃうような、ダメ幼馴染っぷりが結構ツボでした(笑)。 百之喜は事件を引っ掻き回す役目なので、彼らが事件を捜査していくんだけど、そのやり口がちょっと違法っぽいというか、特殊技術すぎて都合良すぎる感じはします。 だから本当に 「ミステリー」 の謎解き部分を期待してる人には向かないけれど、その分お馬鹿っぽさが楽しくて気軽に読める仕上がりに満足でした。 


それに、何より伏線の使い方がとっても巧いのがスゴイ! 謎への迫り方はライトだけど、実際には伏線がものすごく何気なく張られているので、謎が判明したときの 「あぁなるほど!」 感はしっかり味わえました。 特にラストで判明した携帯電話のくだりは絶妙で、 「あぁそれ中盤で凰華さんが駆使してたじゃん! あれがここに繋がるのか!」 と気持ちよかったです。 何気ない部分にこそ、文章の巧さが隠れてるんだなぁw  凰華さんの人脈術や対人スキルも参考になるし、ちょっと勉強になりましたよ。


それにしても…ここで描かれた 「旧家」 のしがらみって、切なかったなぁ。 気軽に読めると書いたけど、憲子さんが暴露する実体験の部分は、かなり重々しく私たちに訴えてきます。  だって現代の感覚では完全に犯罪ですよ? 人を男女で差別することも、生まれた順 (長男次男) で区別することも、身体的特徴で不要と切り捨てちゃうことも。 ただ、きっとこういう考えって完全に廃れてはいないんだろうな、とも同時に思わされました。 実際私の知り合いにも、長男にしかお小遣いをあげない家ってあるし…。 ここに描かれたのは極端な例かもしれないけれど、その分、私達の中に潜んでいるかもしれない差別意識を徹底的に抉ってくる。 自分はそういうつまらない人間になっていないか?と、もう一度自問するよい機会かもしれないです。 





『CONTINUE (コンティニュー) VOL..43 ゆうきまさみクロニクル』 の感想

yuukimasami.jpg
『CONTINUE (コンティニュー) VOL.43 ゆうきまさみクロニクル』

太田出版
2009.1/¥950(本体)




<感想>
旬なネタにもコアに切り込み、独自のスタンスで特集を組む『CONTINUE』。 今回の特集が「ゆうきまさみ」だと聞いては、黙ってはいられません!!  …っていうか、書店で見かけただけなんですけどね(笑)、悩む間もなく購入でしたw  


●ゆうきまさみクロニクル
・概要

ゆうきまさみ史という感じで、2ページの凝縮紹介。 伝説と呼ばれるらしい雑誌『OUT』での「正しくパロディする才能」を高評価。 正直、当時の作品は全然知らないのでふ~んって感じだけど、パロディは描く側に「作品への愛情」と「冷静な視点」がないと面白く成立しないので、言ってることはよく分かる。 そして、ゆうき氏がその二つを最初から持っていたってことなんですね。 しかし、話題がマニアックだなぁ(笑)


・1万字のロングインタビュー
「ゆうきまさみは何故愛されるのか?」というテーマのもと、デビュー秘話から『鉄腕バーディー』復活の経緯までを、細かく聞きだしてあります。 インタビュアーとは旧知の仲ということもあり、和やかでとても「会話」らしい作りなのが読みやすくて良しw 満面の笑みで映ってるゆうき氏の写真が素敵です(笑)。

作品名や時代背景の注釈が多く、そこだけ読んでても結構面白い。 『究極超人あ~る』の注釈では、「この取材を担当したカメラマンは、『あ~る』を読んでカメラの道を志したという」と書いてあって、読んでるこちらも「その気持ち、分かるっ!!」と一気にヒートアップ(笑)。 そして、そんなカメラマンさんが、前述したゆうき氏の笑顔と撮影したのかと思うと、「マンガってスゴイ!!」という想いを新にしてしまいましたw

「代表作には『じゃじゃ馬グルーミン☆UP!』を挙げたい」というお言葉は、正直ちょっと意外でした。 いや、私は大好きですこの作品。 ほら、馬好きだし(笑)。 でも、世間的にはやっぱり『パトレイバー』『バーディー』だろうし、コア層には『あ~る』かなぁって。 でもご本人は、「これ俺には出来ないんじゃないか」っていう部分を描ききれたっていう想いがあるそうです。 確かにそれはあるかも。 『パトレイバー』の後の「ゆうきまさみ」なら、もっと違うオーダーがあって、それに応えることも出来たはずなんですよね。 それを、人情馬話を『サンデー』らしくっていうのは、SF超大作とかやるより、冒険だったのかもなー。 

そして、私がゆうきまさみを好きな理由の一つでもある、「絶望的な話は描いてもしょうがない」っていうところを読んで、また「好き」度を上げましたw そうなんですよ、マンガにはせっかく限界を打ち破るようなパワーがあるんだもの、使いきって描いて欲しいです。 これからも、その想いで続けてくれるそうなので、きっと一生ファンなんだろうなと思いました。


・3つのキーワード
1.パロディ

私は、『機動警察パトレイバー』のコミックスからゆうきまさみ道に分け入り(笑)、その後一応、『究極超人あ~る』 『アッセンブル・インサート』なども読みました。 その後のメジャーどころは、一応全部抑えてます。 が!! さすがに伝説と呼ばれるらしい雑誌『OUT』でアニパロ描いてたころのこととかのマニアックな話はよくワカリマセン…(笑)。 でも、自作をよくパロったりしてますよね。 絶対どの作品にもあ~る君、登場してると思うなー(笑)。

2.王道+マニアック
あ、このキーワード、よく分かる!! ゆうき氏は、相反するこの二つが並び立つ稀有なところがありますよねー。 ここでは、旧友とり・みき氏のインタビューが1ページ掲載されてます。 「終わらないモラトリアムを描く人が、少年が大人になる話を描いた」という表現に、尊敬です。

3.SF
『パトレイバー』 『バーディー』に代表される、ゆうき氏お得意の世界観。 でも、決してSFがメインじゃないのが、ゆうきクウォリティなんですよね。 描くのはいつもドラマ、人間性、そして空気感。 ここでは、アニメ『バーディー』の赤羽監督のインタビューが掲載。 ゆうき氏からのアニメ化に当たっての唯一の注文が、バーディーのコスチュームは控えめにしないってことだったというエピソードが、可愛いかったです(笑)。 


●その他
・『それでも町は廻っている』の石黒氏インタビュー
私の愛読してる小説誌『メフィスト』に投稿しようとしたこともあるという話に一気に親近感を抱いたんですけど、個人的に『それ町』はよく分からないです。 真田くんが登場するとラブコメになるので燃えますが(笑)。

・対談:大槻ケンヂと新谷良子
・『のだめカンタービレ・巴里編』にゴスペラーズ参戦
・『美肌一族』のイケメン(笑)インタビュー
・『ゲームセンターCX』30ページ大特集!  などなど。

ちなみに、一番気になったのはこれっ!! 
「劇場版 交響詩篇エウレカセブン 『CONTINUE Vol.45』にて表紙&第1特集」

・・・要するに、予告ですね、はい(笑)。







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