藍川竜樹 『死にかけ花嫁と革命の鐘』 の感想

死にかけ花嫁と革命の鐘
『死にかけ花嫁と革命の鐘』



藍川竜樹


集英社コバルト文庫
2016年5月10日 第1刷発行





 ヘルミナはあわてて言い訳しようと口を開けた。 だがうまい言葉が出てこない。
 「わ、私は別に寂しかったわけではありません。 今まで世話役としてのあなたの注目を独占していたのになどと心細く思ったわけでもありません。 急に広い外の世界に出てとまどっているだけです、料理やお酒が喉を通らなかったのは一人ぼっちで間がもたなかったからでっ」
 あせって顔が赤くなるのが自分でもわかった。 そんなヘルミナのうろたえぶりがおかしいのか、カエサルが手で口を押えながら肩をふるわせている。 笑いをこらえているのか。
 そして彼はぞくりとする甘い低音で言った。
 「……あなたは本当に不意打ちばっかりしてくれますね、そこのシトロンのジェリーより甘くて新鮮な刺激がある。 私をどうしたいのですか。 うぬぼれてしまいますよ」


<感想>
―――自惚れてしまえばいいじゃないかっ!(笑)
と盛大にツッコミ入れながら(笑)楽しく読ませていただいた 『死にかけ花嫁と革命の鐘』 でございます。 カエサルさんはわりと最初からラブコメ素養が見受けられたのですが、自分の想いを自覚してからはすっかり正統派の激甘ラブコメ男子に豹変してくれまして、キザったらしいのに育ちの良さが伺えていやみにならないという最強ぶりに、私はどうしたら良いのか分からないほどでした。 そもそも何だよ 「シトロンのジェリーより甘くて新鮮な刺激」 って!(笑) キーボード打ってても恥ずかしいレベルですが、後半のカエサルくんの言動にはそのレベルの恥ずかしさは標準装備だったので、私もいちいちツッコミ入れながら読まないと撃沈する勢いでした。  いやぁ楽しかった・・・!!(笑) あれですね、終盤で登場されるおじいちゃんの孫溺愛ナイスミドルっぷりも凄まじかったので、オルトランド侯爵家って愛情深い家系なのかもしれません。 

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白洲梓 『最後の王妃』 の感想

最後の王妃
『最後の王妃』


白洲 梓
(イラスト:池上紗京)


集英社コバルト文庫
2015年11月10日 第1刷発行/¥560+税





「誰かが傍にいるというのは、とてつもなくありがたいことなんだ・・・」


<感想>
ルクレツィアは、15歳でアウガルテン王国の皇太子妃となった。 しかし皇太子シメオンは一度も彼女の部屋を訪れることはなく、後日、シメオンがマリーという下働きの娘を愛していると判明。 ほどなく国王が崩御し、ルクレツィアは王妃となった。 そして側室となったマリーが懐妊。 それでも王妃としての務めを果たそうと懸命なルクレツィアだったが、隣国に攻め込まれた王国は敢えなく陥落し・・・? (裏表紙あらすじより)

完全に表紙に一目惚れでした。 表紙の彼女が「最後の王妃」なんだろう。 では黒い衣裳は喪服――失った 「国」 への喪服なのだろう、と思いました。 不思議なことに裏表紙のあらすじを見る前から、彼女の喪服が 「王」 に向けたものではないような気がしていました。 王冠を頭上にいただくことすらできず、身一つで少しだけ不安げで、でも大きな目を曇らせることのないこの女性が喪に服すのであれば 「国」 に対してなのだろう・・・何故か、そう感じたんですね。 そんな彼女の周りに、囁くように、守るように、慈しむように寄ってくる白い鳥たちが、私には 「希望」 のように見えました。 ――そういうお話だといいな。 そう思って、手に取ったんです。 不安げではあるものの儚さはなく、むしろ凛とした美しさのあるルクレツィアに、私は一目惚れをしたのです。 実はこのお話のヒーロー役は、上記の公式のあらすじには名前すら出てこない(笑)メルヴィンという敵国の皇太子なのですが、彼もあの落城の日に同じような気持ちを抱いたのではないかと、読了した今なら思うのです。 

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さき 『男装騎士の憂鬱な任務』 の感想

男装騎士の憂鬱な任務
『男装騎士の憂鬱な任務』



さき
(イラスト:松本テマリ)

角川ビーンズ文庫
平静28年2月1日 初版発行/¥580+税





「……オディール」
ありがとう、とクルドアが微笑む。その表情の愛らしさと輝かしさと言ったらなく、直視したオデットは思わずクラリと眩暈を覚えた。「もはや天使っ……!」と感嘆の言葉が漏れ出るのは、それほどまでにクルドアが麗しいからである。
そんな彼に信頼されこの地に来たのだ、オデットにとってこれ以上のものはない。
だからこそ、何としても正体を知られるわけにはいかない……。そう改めて決意し、強く拳を握りしめた。
「クルドア様にお仕えし続けるためにも、フィスターを欺き続けます。ご安心ください、私ならばやれます!それにいざとなったら相打ちになってでも奴を仕留めます!」
死なばもろとも、この秘密ごと奴と共に墓場にダイブいたします!そう瞳に闘志を燃やすオデットに、クルドアが頬を引きつらせつつ「穏便に頑張ってね」と応援の言葉を口にした。


<感想>
前作 『アルバート家の令嬢は没落をご所望です』が面白かったさきさんの新作は、カッコ可愛い男装騎士をめぐる(?)ラブコメディです。 さきさん、ラブコメ、イラストが松本テマリさん、という3つの要素で迷いなく購入したわけですが、これがまた相変わらず私好みな展開で楽しく読ませていただきました。 まぁラブコメというよりはコメディでしたが、そういう展開になることは前作までの文章で分かってたので問題ないです(笑)。 

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さき 『アルバート家の令嬢は没落をご所望です・2』 の感想

アルバート家の令嬢は没落をご所望です・2
『アルバート家の令嬢は没落をご所望です・2』



さき


角川ビーンズ文庫
平静27年8月1日 初版発行/¥600+税






<ご紹介>
Webサイト『小説家になろう』にて連載された小説の書籍化第2弾。 カラーピンナップ付。
大貴族アルバート家の令嬢として申し分のない人生を送ってきたメアリは、ある日唐突に「前世」を思い出す――そう、この世界が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界であるということを。 その日からゲーム通りの没落人生を目指して邁進していたはずなのに、何故か迎えた結末は大団円。 最大の理解者である従者のアディと離れずに済み、ライバルのはずだったアリシアという親友(?)を得て、婚約を解消したパトリックとも良好な友人関係を築き、念願の大学にまで通える幸せな日々を送っていた。 けれど、メアリはまたも気づいてしまった。 この大学生活が、あの乙女ゲームの続編の世界であることに!! メアリ同様に前世の記憶を持つ少女が難関の逆ハーレムルートを突き進むことで、メアリの周辺はまたしても波乱含み。 しかも長年の初恋を拗らせていたアディがついにメアリに愛の告白をしてきて……!? ドタバタ主従の恋の行方は!?


<感想>
というわけで、2巻の発売を楽しみにしておりました! 1巻が楽しかったんです。 楽しすぎて思わずWebで続きを読破しちゃうくらいに楽しかったんです。 で、読破した結果「ラブコメは続編の方がすさまじいではないですかっ!」という結論を得たので、もう毎日のように「2巻が発売しますよーに☆」と祈ってました(笑)。 あとイラスト! 1巻で一目惚れしたと言っても過言ではない表紙イラストが、さらに艶っぽくなった2巻の表紙も素晴らしい。 初恋拗らせたまま20代も半ばを迎えた男性がこんなに色っぽいとか嘘だ!とか思いながら見惚れてました(ヒドイ・笑)。 表紙のメアリがドリル装備なのも嬉しかったです。 

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さき 『アルバート家の令嬢は没落をご所望です』 の感想

アルバート家の令嬢は没落をご所望です
『アルバート家の令嬢は没落をご所望です』


さき
(イラスト:双葉はづき)


角川ビーンズ文庫
平成27年4月1日 初版発行/¥580+税





「で、そのゲームだっていうこの世界で、お嬢は悪役をやりたいわけですね」
「そうよ。主人公を追い詰めて、しっぺ返しくらって没落するの!」
「なんでそこまで全力で後ろ向きに走るんだか……まぁ良いですよ、付き合いますよ」
はぁ、と溜息をつきつつ、アディが立ち上がる。
それを見たメアリも続くように腰をあげ、決意を改めるように力強く拳を握りしめた。
「いざ、没落コース! ラストにギャフンと言うのはこの私よ!」
頑張るわ! と意気込むメアリに、呆れたアディがそれでも応えるべく力なく片手を上げた。


<ご紹介>
才色兼備な大貴族の令嬢メアリ・アルバート。彼女は始業式で前世の記憶を思い出す。この世界は前世でプレイしていた乙女ゲームと同じで、自分は主人公をいじめて最後に没落する悪役令嬢だったことを――となれば、ここは「そんな人生、冗談じゃない!」と没落を回避・・・・・・しない! 従者のアディ(口が悪い)を巻き込んで没落コースを突き進もうとするけれど、何故か主人公になつかれて!? 人気沸騰WEB小説、ビーンズ文庫に登場!! (裏表紙あらすじより)


<感想>
表紙でぷぅと頬をふくらませるご令嬢がとにかく可愛い! 華やかな縦ロールの髪型からしても気位の高そうなご令嬢っぽいのに、そんな風にほっぺたふくらませてたらむしろ愛嬌しか感じないレベルで可愛らしいです。 ちょっと天邪鬼そうな雰囲気も相まって、一目で「どんな女の子なのかな?」と興味を持ったのは事実です。 

でも実はそれ以上に、あらすじにある「この世界は前世でプレイしていた乙女ゲームと同じで・・・」という一文が気になったっていう方が大きいかもしれない。 というのも、たまに拝見させていただく小説投稿サイト「小説家になろう」さんに、そういう設定のお話が多数投稿されているからなのです。 恋愛カテゴリに絞ると特に多くて、つまり書き手読み手両者の需要と供給が多い、ってことだと思うんですが、すみません、正直に言いますと私、あらすじを読む限りでは「乙女ゲームの世界に転生する」っていう設定の妙がよく分からなかったんですね。 なので読んだことなかったんですけど、せっかく表紙の可愛いお嬢さんと目が合ったことですし、これはぜひ一度試してみよう!と思って購入してみました。 結論から言うと、その設定の妙についてはやはりよく分からなかったんですが(コラ・笑)、お話としては面白かったです!

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