2014.06.08
松本テマリ/芝村裕吏 『キュビズム・ラブ・4(完)』の感想
『キュビズム・ラブ 4(完)』
松本テマリ
(原作・芝村裕吏)
KADOKAWA (エンターブレイン)
ビーズログコミックス
2011年6月13日 初版発行/¥620+税
『 私は……黒くて嫌な箱です 』
『 違うわ 生きているもの 』
『 違うわ 生きているもの 』
<ご紹介>
『B's-LOG COMIC』に掲載された20話~最終話を収録した完結巻。 「箱」になった少女 と青年主治医とのラブストーリーの行方は・・・!? カラーピンナップ付。
交通事故で体を失い「脳」だけの黒い箱として生きることになったノリコ。 黒い箱の技術を狙う組織に彼女が狙われたことで、主治医である誠志郎は彼女への想いを確信するが、二人の純粋な想いとはかけ離れたところで「箱」をめぐる様々な思惑と陰謀が深まっていく。 そして遂に、篠田の目の前でノリコの通信が途切れてしまい――!?
<感想>
……もうね、表紙イラスト見た瞬間から泣いちゃいました。 だって初めて! シリーズ通じて初めて、「箱」の姿じゃないノリコちゃんなんですものーーーー!(涙) しかも笑ってる・・・か、可愛い・・・((*゚Д゚*))。 しかも何か誠志郎先生が彼女の所有をアピールするみたいに抱きしめてる・・・っ!!(笑) コラ、とちょっとだけ思ったけど思い直して、散々たいへんだったんだから思いっきりラブラブしてくれていいよ、許す!と、誠志郎くんには脳内で許可をあげました (何様だ・笑)。 いやでも彼は冒頭のカラーピンナップでもめっちゃ幸せそうに箱を抱きしめてるので、箱だろうと人の形だろうと、「ノリコ」に捧げる愛情に変化はないわけで、そんなところが愛しいんですけどね。 まぁでも可愛い女の子の姿の方がいろいろと良いですよね、い・ろ・い・ろ・と!(コラ・笑)。
思い起こせば、本当に幸せな日々でした・・・。 1巻読了後、「このピュアな箱ちゃんと残念で憎めないお医者さんが、絶対に幸せになる未来が欲しい!」と本気で願い、でもこの設定で本当に幸せになれるのかな?との不安も襲い、でもでもあとがきで原作者さんが太鼓判押してるんだからどんな形であろうと幸せになるはず!・・・と信じ続けた3年間でした。 前述しましたが、箱だろうと人間だろうと、その相手が存在すること自体に感謝するようなふたりの愛情が、本当に眩しかったんです。 見てるこちらの心が洗われるくらい、憧れたんです。 だからやっと掴めたこのハッピーエンドに、全力で感謝とお祝いを。 本当に、おめでとうですーーー!(感涙っ)
ノリコにとって 「箱」 は棺であり、生きるための家であり……生まれるための子宮でもあったのかもしれない。 人の生死を司る象徴として描かれていたのであれば、実際、これほど秀逸な設定はないと思うのです。 1話で語られた 「人間は泣きながら生まれてくる」 という一般論が 最終話でまた繰り返されたときに、一般論とはほど遠いまったく別の説得力として伝わってきました。 一度生きた人間は、強い願いをどうやっても捨てられないんだなって。 誠志郎が欲しいと願って泣いた涙が……「箱」のときには流せなかったノリコの涙が、生まれたときに初めて零れ落ちる神秘。 この涙を信じて、彼女はこれから生きていくのでしょう。 だって最後のコマのノリコちゃん、ホント幸せそうだったもの。 欲しかったものに手が届いて、良かったね!(涙)
あとはなんていうか、ノリコが生前 (篠田の理論では 「死んでない」 ですが、「生まれた」 わけですから敢えてこの言葉で) と同じ姿で産まれなかったっていうのも、意味深い気がします。 ……いや別に、残念イケメンな誠志郎さんなら幼いノリコでも恋愛守備範囲オッケーだから大丈夫!って意味ではなく (当たり前だ!・笑)(←いやでもそれも絶対ある思う!!・爆笑)、何ていうか、不完全さが愛しいなって。 単純に培養期間が短かったから、というだけなのかもしれないけれど、人間ってやっぱり不完全な存在として生まれてくるんだなーと思ったので。 だからこそ愛しいというか、だってハヤテは完璧だと義智先生は言うけれど、悩みをかかえる姿はどうみても完全ではなく、だからこそ「人間」っぽい。 それで良いと思うのです。 あとは……もしかしたらノリコちゃんが幼かったのは、キサさんの女心がもたらしたのかもしれない。 予定よりちょっと早く目覚めさせて誠志郎さんを困らせたかった女心、分からないでもないですよね。
誠志郎といえば……私は本当にテマリさんの絵が好きなので、残念なところも可愛いと思っちゃうし、困り顔だってカッコイイって思っちゃうのです。 つまり、ベタぼれです(笑)。 でもさ! 23話のデートシーンは誠志郎がかつてない余裕っぷりを発揮してて、見てて何ていうかこう・・・イラっと(笑)。 いやだって普段は残念さ全開なのに、恋心自覚した途端のその余裕って、反則ですよぅ。 何ですかその「ぷー」って! ノリコちゃんじゃないけど、何その顔可愛いなって思っちゃうじゃないですか!(…え?) 「恋人のほうがいいか?」って訊くのも、ノリコちゃんにちゃんと告白もしてないくせに偉そうだな!って思いつつも、でも恋人のほうでお願いします、みたいなね(・・・ええっ?)。 個人的には、リハビリだと思い込んでたノリコちゃんに 「気づけ」 と流し目を送るコマが ベストショットです。 あれはダメです。 その視線だけで萌え死ねます(笑)。 っていうかあの甘々なデート会話が本人の知らぬところで通信されてた(つまり記録に残るw)っていう事実に、ニヤニヤが止まりません!(笑) ぜったい後でヲタポンに死ぬほどからかわれるに違いありませんww 安定の残念さに感動でした(笑)。
という感じで本編語ったので、以下、各話語り。 長いので 「続きを読む」に収録します。 本編感想を総括すると、SF設定のなかでピュアな恋物語をありがとうっ、ずっと大好きです!!・・・でした☆
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