『Q.E.D. 証明終了・40』 の感想

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『Q.E.D. 証明終了・40』

加藤元浩

講談社コミックスKCGM
2011年10月17日 第1刷発行/¥419+税





『 10本のロウソクに1本おきに5本だけ火が点いてる。 なんでだろう… 』


<ご紹介>
『マガジン・イーノ』 に掲載された1編と描き下ろし1編を収録した第40巻。 MIT帰りの天才にして風変わりな少年・燈馬想と、人情と行動力が抜群な水原可奈が、風変わりな謎に挑戦するミステリコミックです。
個人経営の書店の手提げ金庫から、売上金が盗まれた! 防犯カメラの映像により、事務所に出入りできたのは4人だけ。 男性2名、女性2名・・・容疑者であるこの4人、実は恋愛をめぐる四角関係にあるややこしい状態。 誰かが誰かを想い、想われる中で、一人だけ嘘を付いてお金を盗んだのは・・・? (四角関係) 


<感想>
節目となる40巻目の発売、おめでとうございますーw 毎回きちんとしたミステリを届けてくれる加藤先生には本当に感謝w しかも今回は、雑誌掲載1編 + 描き下ろし1編という、超豪華仕様!! サブタイトル的にも 『四角関係』 と 『密室 No.4』 となっていて、 「4」 0巻目であることを意識させてくれるような気もするし、何だかとっても贅沢です。 幸せだなーw


●四角関係 
上記あらすじのお話。
 
登場人数は絞られてるのに上手い具合にややこしい人間関係が形成されてて、読んでて楽しかったですねー。 あと何が楽しいって、燈馬くんが真面目に恋愛話に首を突っ込んだっていうのがホント楽しかった!(笑) 可奈ちゃんのお節介がうつったというか、本人こういうの向いてないって思ってそうなんで、頑張ったなって感じですw 
 

お話が恋愛モノ(?)だからか、燈馬くんと可奈ちゃんの雰囲気も良くて、思わずニヤニヤしちゃいました。 テニスコートで可奈ちゃんを見つけて、躊躇いな く「水原さーん」 って呼んじゃう上に、フェンス越し (しかもかなり近い!) に話し込んじゃうとか! しかもその様子を池沢が 「自分だけ可愛い子とつきあって」 と言ってるとか! 何と言うことはない描写なんだけど、この一連の流れを手書き文字で 「つきあって」 と表現するってことは、もう加藤先生の公式設定だと思って良いってことですよね!? ねっ!? (←興奮・笑)

挙句の果てには、ボーリングですよ!! 何この幸せな描写・・・w もうこの辺りで完全にラブコメ脳が発動されてたので、正直トリックとかどうでもよくなってました(笑)。 だって二人でボーリングなんて、完全デートじゃないですかw こんな描写、今まであまりなかったじゃないですかww しかもお互い(の勝ち)を意識しあったあの目つき! 燈馬くんでも得意なスポーツあったんだ!という新鮮な驚き(笑)と共に、身もだえながら読んじゃいましたよ。 まぁ、ボーリングのオチは 「さすが水原さん!」 と土下座したくなる破壊力でしたがw


そんな訳で、正直ミステリ部分に集中できなかったのは事実です。 基本的に私は、それぞれが事件前後の状況を述べ合って整合性の綻びを見つける・・・というロジック系は苦手だし、今回もやっぱり分かりませんでした。 ただ、 「犯人」 がどうにも怪しいよなぁ、というのは感じてました。 「犯人」 だけが好きな人のどこが好きかを話していないのが、やっぱり変だなーって。 実際そこも重要なファクターだったので、読みの方向が間違っていないことだけは嬉しかったです。 ただ、あそこで店長がお金を預ける確率って低そうな点だけ気になっちゃった。 私なら袋ごと一端レジに戻します・・・ (レジバイト経験者)。

恰好良かったのは竹内さんですね!  「人の想いをなんだと思ってんのよ!」 という啖呵は素敵でした。 見た目が派手で遊んでる感じは苦手、なんて言われてましたが、それ言った奴よりも男前で素敵。 人の内面は、ある程度外見にも反映されるものです。 彼女の内面は 「派手で遊んでる感じ」 の部分に表れたのではなく、池沢が感じたように美しさとして表れてたんだろうなw そういう意味で、彼は本当に理想が高い(笑)。 が、頑張れ・・・w


●密室 No.4 
とある旅行会社のミステリーツアーを模擬体験することになった燈馬・可奈・江成さん。 海に浮かぶ孤島、そびえ立つ古い館・・・そんな雰囲気のある場所で起こる3つの密室殺人事件の謎が解けるかどうかを試すのだ。 プロの推理小説家が密室を考え、旅行会社の社員が案内係と死体役を務める事件を、順調に解明していく3人。 けれど、最大の謎は突如現れた 「4つ目の密室」。 その中では、旅行会社の上役が実際に殺されていて――!?
 

第一印象が、 「可奈ちゃんが着てるワンピースが可愛い!」 でした(笑)。 黒のラインとリボンが効果的ですよねw もしかしてデートだから頑張ったのかな!?とか、さっそく私の脳内が大変な賑わいを見せる訳ですよ(笑)。 それくらい可愛かったですw でもそれで言うと江成さんも可愛いんですよねー。  「棺桶島はいかが?」 と言ったときのドヤ顔とかすごくイイ。 肩出しのセクシーファッションが似合う美貌も含めて、貫禄がありすぎでした。 

さて、今回のお話、ミステリとしてとても好きです。 3つの密室を考えるミステリーツアーがすごく楽しそうだし、こなすべき3つの謎を解いた後に現れる第4の密室とか、船が燃えるとか、雰囲気があるのがとても良い。 お話の中にミステリらしい要素がふんだんに使われていて、すごく楽しめました。 正直、私は密室トリックは一つも分からなかったけど(笑)、良いんです。 燈馬くんも言ってたとおり、考えるのが楽しいんです。 3つ目の密室には、 「あぁそっち!?」 と目から鱗でしたもの。 厳重にかけられた鍵のことばかり考えちゃう時点で思考が凝固していることに気付かされる・・・そういう小さなカタルシスが魅力的なんです。 


そんな訳で、第4の密室トリックも案の定分からなかったんだけど (・・・)、でも何故か犯人だけは分かりましたよ! (エヘン!)  前述した 「ミステリの雰囲気」 で誤魔化されそうになるけど、密室から抜け出せる人はあの人しかいないわけで、そこは間違えずに受け止められました。 あと、ロウソクを燃やした理由が好きです。 時間トリックの方じゃなくて、匂いの方。 二重の意味があるのか!と。 二重の意味という点では、第2の密室トリックと第4の窓のトリックが同じだっていう伏線も良い。 何ていうか、答えが分かってからの感想だけど、考えれば分かるように作ってくれたんだなぁって思います。 もうちょっと精進しないと・・・(笑)。 


あ、ちなみに一番のお気に入りシーンは、第1の密室の後、宵宮に馬鹿にされた可奈ちゃんが、何の疑いもなく「燈馬くん、答え教えて!」と言うシーン。 信じてる・・・可奈ちゃんはこの程度の密室を燈馬くんが瞬時に見抜くことを疑ってない! ラブコメ万歳! ・・・という感じでした(ホントごめんなさい・笑)。


それにしても・・・あの場の誰よりも会社のことを考えていた部長さんは、無念だったろうなぁ。 最後のコマの 「棺桶島」 があまりにも綺麗に描写されているので、余計に悲しくなってしまいました。 厳しいことを言いつつも、あの島で、あの館で、あのツアーが成功することを、部長は望んでいたと思うんですよね。 あまり過激なことをするなと心配していたた人が、自らが理不尽な目に遭うことで、大事なツアーの舞台を本当に 「棺桶」 にしてしまった。 ・・・どこまでも、無念、だと思います。 合掌・・・。





加藤元浩 『Q.E.D. 証明終了・35』の感想

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『Q.E.D. 証明終了・35』

加藤元浩

講談社コミックスKCGM
2010年2月17日 第1刷発行/¥419+税






「クリスマスプレゼント?」
「そう! 日頃お世話になってる人に 年末の贈り物をするの」


<ご紹介>
『マガジン・イーノ』 に掲載された2編を収録した第35巻。 MIT帰りの天才にして風変わりな少年・燈馬想と、人情と行動力が抜群な水原可奈が、風変わりな謎に挑戦するミステリコミックです。
ミステリ同好会の会長・江成姫子の理不尽な要求により、演劇部のクリスマス公演を手伝うことになった燈馬たち。 演技は上手いがトラブルメーカーな演劇部部長・白井賢太郎のうっかりも手伝い、事態は思わぬ方向へ!? (帯より) 


<感想>
35巻は読んでたのに感想書き漏れしてました。 久々に再読するとやっぱり面白いw そして燈馬くんが案外ノリノリで推理しててビックリしました。 この子も成長したなぁ(笑)。 

今回も、表紙折り返し部分の加藤先生のコメントが意味深くてドキっとしました。 先日の七夕のときに夜空を見上げたんですけど、栃木のこんな田舎でも、昔より星が見えなくなってきていることに改めて気付いたばかりだったんです。 そこにこのコメントを読むと・・・ 「生まれる」 ものなど何もなくなってしまうんじゃないか?と不安になったり。 光と闇は共存するものであり、また、共存してきた意味もあるんだなぁと思わされました。 

というわけで(?)以下、各話語りー。


●二人の容疑者 
夜間に進入した何者かにより、運送会社の夜間金庫に入っていた現金が盗まれる事件が発生。 犯人の唯一の目撃者である社長は「暗くて顔を見ていない」と語るが、様々な状況から犯人は従業員2人のどちらかに絞られて・・・?


暫くの間、扉絵を見て悩みました。 可奈ちゃんは定規を持って何をしてるんだろう?って。 そして私なりに考えたんですけど、あれ多分、ロールケーキの幅を計ってるんですよね? 1ミリでも太い方を食べようとしてるんですよね!?(笑) ・・・いや、それが真相かどうかは分からないけど (でも何だか自信があるぞ)、 いずれにしろ 「考える」 ということは楽しいですw

楽しいといえば、 『Q.E.D.』 ではいろんな楽しみがあります。 作中に登場するコンビにの名前が 「HEAVEN IKERUN?」 だとか (コンビニで天国へ行ってどうする!?・笑)。  「駄目菓子詰め合わせ」 とか (合わせちゃ駄目!)。  河豚味のおにぎりとか (どんなだよ!)。  わりと 『C.M.B.』 ではこういう遊びは少ないんですが、その分張り切ってる感じがして、ツッコミするのも楽しいんですよね。 好きだー! 

で、本編。  『浅間刑事に手を貸しますか。上司に迷惑がかからないように』 ・・・燈馬くんのこの台詞が、単に事件を解決するって意味ではないってところが最高にカッコ良かった! 伏線として、笹塚刑事に部下の不始末は上司の責任ってニュアンスを喋らせて、事件を解決しなきゃと思わせておくのも上手いなぁ。 その誘導があるからつい 「解決」 を中心に考えちゃうけど、本当に大事なのは 「心象」 でも 「解決」 でもなく 「真実」 だということを浅間に分からせる (=手を貸す) のが、燈馬くんの主眼だったんだよね。 頭で分かるだけでは教訓とは言えず、恥ずかしいような痛い目を見て初めて堪えるもの。 敢えてそう仕向けた燈馬くんは何だかんだで優しくて、何ていうか、その優しさがすごく嬉しいお話でしたw  

事件としては、トリックではなくロジックなもの。 どちらが犯人か?と読みながら考えたけど、正直全然分からなかった(笑)。 答えが分かってから読み直すと、確かにずっと制服を着てる描写がちゃんと為されててフェアですね。 いずれにしろ、社長の善意が無駄になってしまうのが切ないです・・・。 たぶんこの社長さんは、今後も前科のある人を助けていくんだろうけど、報われてくれると良いなって思います。 

あと、これホントどーでもいいんですけど、冒頭で笹塚刑事と可奈ちゃんが喋ってる時に燈馬くんが後ろ向いてるのは、あれヤキモチですか!?(笑) そんな場合じゃないと思いつつ、ニヤニヤが止まりませんでした。 ラブコメ万歳(笑)。


●クリスマス・プレゼント 
上記あらすじのお話。
 
これ良いお話ですよねー (ニヤニヤ)。 ミステリ同好会と演劇部との合作を邪魔してるのは誰なのか?というのは表面的な謎に過ぎず、今回の主眼は別にあります。 それを悟らせないために表面の謎が面白おかしく描かれているので、全体的に明るく楽しい雰囲気なのもすごく好き。 基本的に、ミステリ同好会が登場すると馬鹿馬鹿しいことを大真面目にやってくれるから素敵なんだけど、今回はいつもに増してドタバタしてて楽しかった。 五角館も笑ったしw でも、 「犯人」 の判明方法についてはトリックもロジックもほぼ存在しなくて、主に燈馬くんが目撃してるからっていう大雑把なもの。 ここからも、主眼はそこにないことが明白で、「彼女」の行動に隠されている気持ちこそが、真のトリック。 この辺りは、32巻収録の 『マジック&マジック』 に近いですね。 


何ていうか、 『Q.E.D.』 でこういうラブコメテイストなお話が読めると、本っ当ーに幸せ! 燈馬くんのことを考えて、口元に手をあててう〜んと考える可奈ちゃんの表情が可愛いのが嬉しいし、何より、何故可奈ちゃんが厄介ごとに燈馬くんを引き入れたのか・・・というのが分かるラストシーンとか、愛しすぎます! 可奈ちゃんピンチの場面で燈馬くんが慌てるコマにもときめきました。 多分読者はみんな、ページ捲ったら可奈ちゃんは勝手に助かってるだろうと分かってる(笑)。 でも、あれだけいろんなことを見通せている燈馬くんだけが、彼女のことになるとてんで盲目で、いちいち心配しちゃってるんだよね。 その様子がツボ過ぎてどうしようかと! なにげに演劇部部長とアイドル佐伯ちゃんのカップリングも可愛かったし、ホント幸せ、幸せでしたw





加藤元浩 『C.M.B. 森羅博物館の事件目録・15』の感想

森羅博物館の事件目録・15
『C.M.B. 森羅博物館の事件目録・15』

加藤元浩

講談社コミックスKCGM
2010年10月15日 第1刷発行/¥419+税





『 物語は形を持たない。でも時を超えて伝えられれば・・・エネルギーを持ち始める 』


<ご紹介>
『月刊マガジン』 に掲載されたop.39〜42を収録した第15巻。 大英博物館が認める 「知を象徴する3つの指輪」 を持つ森羅と、元気印の高校生・立樹が、博物学を通して真実を紡ぐお話です。
森羅の二人目の養父・スタン博士登場! カンボジアで盗まれた「女神像」の行方を森羅は養父の一人、スタン博士と共に捜索する。 一見、常識人に見えるスタン博士だが、そこはやはり森羅の父だけあって・・・!?(帯より) 


<感想>
久しぶりの加藤元浩作品感想です! イェイ! (と自分で盛り上げてみる・笑) 
感想を書いていない期間も購入はしてたんですけど、実はまったく読めてませんでした。 ミステリは小学生の頃に奥深さやエキセントリックなやり口に 「ロマン」 を感じてしまって以来、私にはずっと大事なものものなんですけど、長い時間の中で二度だけどうしても読めない時期がありました。 一度目は大学受験の前後。 そしてもう一つが「今」です。 どうも、多大なプレッシャーがかけられた前後に読めなくなるみたい。 なんていうか、ミステリを読むなら知識と感性をフル回転させて読みたい。 けれど、余裕がないとそれが出来ないのが分かってるから無意識のうちに遠ざけちゃうんだろうなぁ。 

いつまでもそんな状態でいるわけにはいかないので、これからはまた読み始めようと思います。 リハビリに最適なのは加藤元浩作品! ・・・ということで、久々に読んだらやっぱり面白かった。  読み始めて最初の 「Op.39」 ではさっそく印象的な台詞もあったし、 「あぁやっぱり加藤作品はイイな」 っていう想いを深めましたよw

では、以下各話語りー。 直接的なネタバレは黄色で表記しておきます。 気になる方だけ反転してお読みください。 


●Op.39 アリアドネの糸 
ギリシャの古民家で発見されたミノタウロスの木像。 大きく厳ついこの木像には神秘の力が宿っており、ゴーレムのように動き出しては殺しにやってくるという。 森羅は、過去に9人が襲われた木像の神秘を解き明かす依頼をうけるのだけど・・・。
 

アリアドネの糸と聞いて思い出すが大昔に発売された 『YAKATA』 というゲームなんですが・・・ご存知の方いるのかな?ってくらいマイナーな話ですみません(笑)。 でも実は作家・綾辻行人氏の大人気 『館シリーズ』 のゲームのことなんですよ。 もちろん、氏が脚本を書くという豪華仕様! アリアドネの糸玉を転がして次への手がかりを集めるんですが、ミノタウロスやアリアドネの糸って、そうやっていろんな作品へアレンジされるくらい魅力的なエピソードなんですよね。 

今回森羅が言ってた 『物語は形を持たない。でも時を超えて伝えられれば・・・エネルギーを持ち始める』 という台詞がすごく恰好良くて痺れたんですが、つまりそういうことなんじゃないかと。 今回そのエネルギーは、動き出すんじゃないか?という思い込みが恐怖という形で発動したけれど、それだけではなく、後世の人々がこぞって題材にしたがるような、そんな魅惑感そのものがエネルギーなんじゃないかと思います。 今回の犯人はだったわけですが、実質的な犯人は物語であり、物語が持つエネルギーだったと思います。 

それにしても、 「大人が揃いも揃って」 という立樹ちゃんの啖呵はカッコ良かったなー。 森羅、愛されてるねw


●Op.40 魚釣り 
漁港で釣りを始めた森羅たちは、海上に停泊中のボートを見つける。 柄の悪そうな乗組員が突然ケンカを始めたと思ったら、突然警視庁のヘリがボートを囲み始めた! どうやら麻薬取引の物証を探しているようだけど…。


扉絵の立樹ちゃんが可愛い! 同級生をゲシゲシと足蹴にするシーンも生き生きとしてて可愛いなぁw (えー!?) ここで森羅の父親の話が出たのは、次回への伏線・・・というかご挨拶だったわけですね。 よい導線だと思います。 それにしても、母親のことでボロボロ泣いちゃう森羅は可愛かった・・・けど、何故母親のことになるとあぁも秘密主義になってしまうのか、やはりそこが核なんだろうなぁという気もします。 

お話としては、漁港で麻薬を隠すなら? というもので、まぁあんなにバレバレな状態で取引するか?とかのツッコミ処はあるものの、無声映画を見てるみたいでちょっと面白かったです。 麻薬の隠し場所には 「なるほど!」 と膝を打ちました。 面白いわー。 ただバラスト水の取水口にカプセルを入れる、という描写があったけど、あれって水圧によっては人も吸い込まれたりしないんでしょうか・・・。  


●Op.41 スタン
カンボジアで運搬中の女神像が盗まれるという事件が発生。 その女神像は今日本に在るらしく、奪還のために森羅の父・スタンが来日した。 常識人っぽいスタンの第一印象に安堵する立樹だけど、実際の彼は・・・?


15巻にしてやっと2人目の養父が登場です。 何の焦らしプレイなのか・・・(笑)。 家族モノに弱いので、このお話もちょっとウルっとしながら読んでしまいました。 私は 「諦めない」 というのは一種の才能だと思ってるんですが、その才能は間違いなくスタンから森羅に受け継がれてる。 血は繋がっていないけれど、家族だから。 遺伝子ではなく、精神として受け継がれていることが、何だかすごく嬉しかったです。 スタンだって森羅と一緒に暮らしたいのに、その願いだけは我慢している。 自分の欲求を抑えるというのは本当に難しくて、その難しさに挑戦していること自体がスタンの森羅への愛情なんだと思うと・・・思うと涙が出てくるっ! (←りるさんはコレ書きながら泣いた・笑) 

トリックとしては、正直 「えぇぇ!?」 と・・・(笑)。 箱を運ぶ時に 「案外重いな」 くらいの台詞を付け足してくれれば納得したかもしれないんですけど、まぁいっかw この手のトリックを読むと必ず思い出すのが森博嗣 『幻惑の死と使途』。 犯人の名前がコールされた時の 「え、誰!?」 感はハンパなかったですが、主題は 「誰が為したか?」 ではなく 「何故為したか?」 だったので大きな問題ではない。 そういう意味では、このお話と似ているかもしれません。 間違いなく面白かったです。


●Op.42 キルト 
死期迫るイギリスの著名人がC.M.B.の指輪の持ち主=森羅に会うために来日した。 親友がキルトに込めた想いを見つけて欲しいという。 失敗すれば外交問題に関わるというその依頼のために、森羅はイギリスへ向かう――!!
 

女の愛憎って怖いし、切ない。 今回のケースだとメアリーさんだけが悪いわけじゃないと私は思うんですけどね・・・彼女みたいに旧き良きイギリスのお嬢様なら、与えられることが当然なのは間違いなくて、親が進める婚姻を蹴るなんてあまり考えられない (と、私は大好きな 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』 シリーズを読んで学んだ!・笑)。  要するに、ブルーが誠意を見せれば良かっただけだと思うんですけど、そういう時に男性側ではなく相手の女性を憎むのは、女性に強く見られる傾向らしいです (同じパターンだと男性は間男側を憎むことが多いと心理学で学びました)。 


そういうやり取りを 「キルト」 に込めたのが今回のお話。 キルトが暗号に使われてたというのは全然知らなかったので楽しかったけど、結論が切なすぎてどうしたら・・・。 だって、森羅泣いてた! 森羅が泣くと切ないよぉ!(涙) 嘘を吐けないC.M.B.の指輪の持ち主として、出来る限り相手の気持ちを汲んだ裁量の判断だったと私も思うけど、でも、そうまでしてでも伝えたかったロッテさんの気持ちを、これからも森羅は抱え続けなきゃいけないんですよね・・・。 こういうとき、立樹ちゃんに側にいて欲しかったなぁ。 やっぱりこの二人には近くにいて欲しいです。 メアリーさんとの接見に当たり前みたいに立樹ちゃんがいるのを見て 「メアリーさん側はそれでイイのか!?」 とちょっとツッコミたかったけど(笑)、でもやっぱり二人は一緒にいてくれる方が安心できる。 それが結論でした。 





荒川弘 『獣神演武・5(完)』の感想

獣神演武 5 (ガンガンコミックス)

荒川 弘
スクウェア・エニックス (2010-11-22)


『 だから俺は生きる! 』


<感想>
やっと読めました。 もの凄く時期が外れちゃった自覚はあるんですけど、せっかく1〜4巻まで感想書いたので5巻も少しだけ。 5巻は1巻から並べてみると明らかに分厚いです。 個人的には総表紙よりも、中のピンナップのイラストの方が好きだなw などと思ってしまうのは、やっぱり背中を向けている彼の造形が勿体なかったからだと思うんですよね…何ていうか、ラスボス的存在にしては薄かったというか。 なので、やっぱり 「仲間」 と一緒の絵の方がしっくり来ます (一人「な、仲間?」という人もいるけど・笑)。 まぁでも全体的に、そこでそう動くの!?ってキャラ多かったです。 いろいろ勿体なかった・・・!


この巻で好きなのは、岱燈と劉鍠の友情ケンカ(笑)と、頼羅ちゃんvs史明のシーン、それから、ラスト数ページの二人の場面です。 前者は、 「ケンカしないと分からない」 岱燈たちの不器用なところが魅力的だから。 頭で考えることはすごく大切なことだけど、自分では許容できない状況にあるときは、それってすごく辛い。 考えれば考えるほど己の罪の意識だけが増してしまう劉鍠には、岱燈の拳が 「薬」 だったはず。 慶狼はすべてを死に導くことで救いを求めたけど、岱燈は生きるながら救われない道を選んだ。 岱燈はただ、背負うだけ。 忘れないだけ。 それがどれだけ辛いかは、彼にしか分からないんだろうなぁ…。 


でもって、頼羅vs史明。 まさかあの厄介な史明に最期を与えるのが頼羅ちゃんになるとは思ってなかったので、ビックリしました! でもって、頼羅ちゃん強い! こういうのを描かせると荒川先生は無敵ですね。 私は強い女の子が好きなので、何だか見惚れてしまいましたw  ただ、夏王朝のことや頼羅ちゃんの力のことはもっと伏線たっぷり張っておいても良かった気がするなー (これはシナリオ側の問題かな)。 いささか唐突感があったけど、それでも読ませるのが荒川マジック。 好きなシーンでしたw


そしてそして! やっぱりラストの数ページは、私のラブコメ脳が止まらず!(笑) 頼羅ちゃんがそれまでの心配をおくびにも出さず、殴り蹴りながらの 「おかえり」 が、すっごくイイ。 しかも妹は以前より女らしく、兄は一回り大きくなっての再会なんだからときめきますw  頼羅ちゃんを余裕の笑顔と指一本で押さえ込んじゃう岱燈もツボだったなー。 何ていうか、ホントは触れたいのに敢えて距離を保ってるような気もしちゃうんだよね、 「兄」 だから。 結局二人の微妙な関係がどうなるのか、それが描かれなかったのが残念です。 頼羅ちゃんが呟いた、 『星は七つだけじゃないんだよ』 は、すごく好きな台詞です。 国を救うのは定められた人達ではないということ。 そしてそんな満天の星空の中で出会った二人には、ずっとこんな雰囲気のまま一緒にいて欲しい気がします。 7年分の時間を取り戻しながら、ねw





藤田和日郎 『月光条例・11』『月光条例・12』の感想

月光条例11月光条例12

『月光条例・11』 『月光条例・12』

藤田和日郎
週刊少年サンデーコミックス



『 オレはホントは、なんなんだよ? 』


<感想>
11巻12巻は、10巻からの 『アラビアンナイト』 編の続き・・・というか、 『青い鳥』 とか 『雉も鳴かずば』 とかのいろんな物語が 「千一夜」 として描かれていました。 たくさんの物語の集合体である 「千一夜」 として在り方は正しいと思うんだけど、でもちょっと待って。 だんだん頭が混乱してきました。 えーと確か、月光が誰なのかという問いへの答えが、これらの物語なんですよね?  正直、長くてよく分からなくなってきました・・・。 でも、月光という一人の人間を分かろうとしてるんだから、一長一短では理解に到達しないということだと言い聞かせて読みました。 そしたら、12巻ラストが 『雉も鳴かずば』!  あの衝撃の物語をここで持ってくるか・・・藤田さんの鬼ーっ!!ってもう大泣き。 呆然としたお菊ちゃんの表情が、目に焼きついて離れません・・・(涙)。


物語をややこしくしてるのは、やっぱりチルチルの存在なんだろうなぁ。 シルエットで見る限り、何となく月光と似てる気が…? えー何このフラグ。 ちょっと嫌なんですけど! それに、 「幸せ」 を得る方法としてチルチルが知らされたのが、 「作者に話を変えてもらう」 という他力本願的なものだっていうのも納得いかない! そんなのなら、 「作者」 のことなんて知らずに、ただ直向きに幸せを思い求めているモブキャラ(モブキャラ言うな・笑)の方が、断然カッコイイよ!! 何か納得いかない・・・何かのピントがずれてる気がします。 そこが歪んでるからモヤモヤするんだろうな。 あと気になるのが、 『妹は今どこにいると思う?』 という問い。 もしチルチルが月光なら、妹的ポジションといえば・・・え、エンゲキブ? そういえばこのヒトも 名前が明かされてない=名前に秘密がある って考えると、あれ、これまた嫌なフラグだなー・・・。 そんなこんなで何も分からず、感想らしき感想がないのが本心です。 月光の謎が、早く知りたい…!!


でもその一方で、パーツパーツは相変わらずすごく良かった。 個人的に一番熱かったのは、11巻の工藤さん。 嫌われていると分かってても、赤ずきんを必死で庇い、震えながらも毅然とした表情で 『トショイインは本を守るのが役目なんです!』 と言い放つ姿に、本気で惚れ直しましたっ!!  あとで赤ずきんに怒られてましたけど。 その怒りだって、工藤さんの命を尊いと赤ずきんが感じているからこそ言えるものなんだと思うと・・・一度のすれ違いなんて、人生の中で全然怖いものではないんだと思い知らされます。 ひとは何度でもやり直せるんだ。 自分が選択した行動が誤っていたんだと気付くことさえ出来れば、何度でも頑張れる。 許して貰えるくらいの誠意を見せた工藤さんも、嬉しかったと許した赤ずきんも、どちらも素敵でしたw


ほかの素敵ポイントは、同じく11巻冒頭で、月光との近い距離感に頬を赤らめる鉢かづきちゃん! めんこうのぅw 前回の感想でも書いたけど、物語全体のヒロインは鉢かづきちゃんだと思ってるりるです。 なので、彼女が月光の謎を語り、ランプの中で月光が魔法を 「思い出す」 ための相手役に抜擢されることも、個人的には納得の流れ。 この後物語がどう流れるのか全然予想もつかないんですけど、彼女には頑張って欲しいですw  あと、今のところあまり役立っていない(笑)裕美ちゃんが、何かに気付いてるっぽいので、そこの活躍も期待してます! (結局女の子好きな結論・笑)   

   『月光条例』13巻は4/18発売!

月光条例 13 (少年サンデーコミックス)
藤田 和日郎
小学館 (2011-04-18)



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