『コミックファウスト』の感想

『コミックファウスト』 img20060625.jpg
 講談社MOOK 2006.6.24 \1300


<ご紹介>
ひとつのムーブメントを巻き起こした文芸誌『ファウスト』から
飛び出した、貴重な単発のコミック誌『コミックファウスト』。
『ファウスト』のコンセプトが「闘うイラストーリー(イラスト+ストーリー)」
なのは前述した通りだけど、絵と物語の更なる境界に挑戦するのが
『コミックファウスト』の原動力。

『ファウスト』で活躍した作家はもちろん、香港・韓国の注目作家の登場、
北米で『SHONEN JAMP』を展開している成田氏のインタビューなど、
恐ろしくマニア度は高いけど(笑)、未知の世界にスゴイ人がいることを学べる逸品です。
A4サイズの本体を透明カバーで包んだ装丁だけでも、完成度は高い。
(写真だと分かり辛いけど、白い印字部分が透明カバーです)


<感想>
掲載作品は多々あれど、私の今回のメインは、
?西尾維新×CLAMP 『XXXHOLiC』のノベライズ(既に目的がコミックではナイ・笑)
?西尾維新×高河ゆん 『放課後、7時間目。』(高河ゆん初の、原作付き漫画)
です。
という訳で、ネット書店『bk1』にて予約購入(笑)。
昔は発売日発送・翌日着、だったのに、今はちゃんと発売日当日に手元に届く。 
エライ!!

?
今までも確かに、CLAMP作品はアニメ化などのメディア展開はされているけれど、
一個人の力だけでCLAMPさんと張り合おうという心意気だけで、もうノックダウンです。
スゴイ企画だな、『コミックファウスト』!!

内容としては、侑子さん四月一日(ワタヌキ)教育講座(笑)。
「絶対にしてはいけない」ことをどうしてもしてしまう女性と知り合った四月一日。
彼女の肩に「あやかし」を見た四月一日は、彼女の力になろうとするが・・・?
結局、しっぺ返しをくらってしまうお話。

侑子さんの話す内容・四月一日の取る行動、
どれも原作に忠実で頭中に絵が浮かんできます。
そういえば四月一日ってそーゆー口癖あるわね、って気づかされたり。
ただそこは西尾維新。
侑子さんも大概皮肉屋だけど、西尾バージョンの方が数倍皮肉屋かも(笑)。
プレッシャー3割増しの美しさが漂ってきましたヨ…。
思ってたより「西尾」度が高かったのが残念といえば残念か・・・?

?
「高河ゆん、初の原作付き漫画に挑戦!」って言うだけで、やっぱり買い(笑)。
誤解のないように書いておくと、私は、高河ゆんも西尾維新も、別に好きではないです。
ただ、作り手として正直にスゴイと思うだけ。

内容は、危険思想で地下牢に収監された化物=天才兵器開発者『スノードロップ』と、
処刑場で彼女を見張る係りに堕ちた兵器開発者ザイルとの二人劇。
彼女から兵器の話題を聞き出したいザイルと、
ここから自分を出せたら応じると言うスノードロップとの力の差は歴然で…。
果たして対決の行く末は?

というものなのだけど、そんなことより何より、『スノードロップ』が超可愛い!!(笑)
体を拘束され、顔の半分も目隠しで覆われておりながら、
天才故の傲慢さも悲しさも強さも美しさも、全てが彼女のビジュアルで表現されてます。
これはスゴイ!!
漫画から「目力」を奪うとかなり不利なハズなのに…。
そんなハンデはこの二人には関係なかったようです。
正直、この雑誌イチバンの出来映えでしょう。
どちらかの力が突出しているのではなく、核融合のような圧力が画面から溢れている。
読みながら気圧されてしまいました。

タイトルの『放課後、7時間目。』の意味は、
「捕らわれていた何か」から「放課」された後の人間の生き方、ってことなのかな、
と、ふと思いました。
あ、今良い事言ったな、私(笑)。


その他。
上遠野浩平×横山光輝『マーズ』ノベライズとか(知らなかったけどコミックで読みたい!!)、
三島賞作家・舞城王太郎が漫画という手段で表現した『ぬるつべピリリ』、
珍しくない設定を爽やかに描ききった新人ともひの『稲荷坂ゆうひの自転車旅行記』
なども面白いは面白かったです。

でもそれより、成田氏と太田編集長との対談の方が断然読み応えがあるあたり、
「コミック誌」としての意義はどーなの?っていう感も否めませんが。
(対談がいつも素晴らしすぎるってのがまたスゴイんだけど)。


『bk1』にTBさせていただきました。
BlogPeople
『Let's講談社』『西尾維新ピープル』にTBさせていただきました。
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『君に届け・1』の感想

img20060612.jpg
『君に届け・1』
椎名軽穂
集英社マーガレットコミックス/2006.5.30/\390

 



<ご紹介>
最初は別冊マーガレット誌上で読みきりとして発表され、
その後連載へと出世した作品。
(『誕生秘話』で「連載になったのは読みきりが好評
だったからではない」と作者が書いてるが、
そんな甘い世界ではないので好評だった模様)
初版のみ、「爽子しおり」付き ←別にいらない(笑)。

長い黒髪に陰気な笑顔…その外見から「貞子」と呼ばれ皆から恐れられる少女・爽子
自分の立ち位置を分かっていても、皆と仲良くなりたい気持ちで奮闘する爽子にとって、
他のクラスメイトと自分を平等に扱ってくれる風早少年は、尊敬する人物。
彼との会話をきっかけに少しずつ変わっていく爽子と、彼女を応援する風早を中心とした、
めちゃめちゃ正統派なラブコメ少女漫画です。


<感想>
実は、表紙に一目惚れ!!
シンプルな構図とタイトル、真っ直ぐ強くみつめあう視線…。
何ていうか、「潔くってカッコイイ!!」と思ってしまったので。 珍しいです。
しかも集英社。 うっわー、集英社の漫画なんて、何年ぶりに買ったかしら??
ちなみに私、マーガレットコミックスなんて買ったの、生まれて初めて… ←どーでもいい情報。 

何しろヒロインこそが恐怖の対象なので(笑)、一歩間違えば「これイジメ?」っていうほど
周囲が引きまくり・避けまくりなんだけど、陰気な外見に反してヒロインは超前向き。
実際は呪う力も無いし、霊感もない自分を真摯に省みて、
「せめて怪談くらいできれば皆も喜んでくれるかも」と勉強を始めるくらい。
まず、そんな爽子がめっちゃ可愛い!!(笑)

爽子を影に日向に応援する風早が、実は入学式の日から爽子を気にしてた、
なんていうのは可愛いお約束♪だけど、
彼と「ちゃんと」喋れて誤解が解けたことをきっかけにして、他人との関わり方を覚える
という爽子の成長過程がきちんと描かれているので、その後、
全く別の個性を持つ吉田さん・矢野さんとの馴初めもすんなり入れるのは巧い作り方。
この二人は多分ちょっと「悪い子」なんだけど、私の経験上、そゆ人は優しい。
なのでとゆーか何とゆーか、爽子の健気さに触れて、クラスの反発を買うのを分かってても
友達になろうとしてくれる、そんな心意気がカッコイイ!!

何よりも私が「この作品、良いな」と思ったのは、
こんなに良くしてくれる風早に対して爽子が覚えた最初の感情が「尊敬」だということ。
少女漫画では安易に恋愛へ持っていきがちだけど、
実際に友達がいない淋しい状況で優しくしてくれた人に感じるのって、信頼感だよね?
まず「人」として風早を尊敬して、それが恋愛感情として育っていく…。
そんなプロセスに、私も惹かれました。
最初のインスピレーションは間違ってなかったな!!

という訳で、私が普段好むような物語の謎もファンタジー要素もない、ごく普通の恋愛漫画。
ヒロイン以外のキャラ設定も、実は真新しいものではなく、むしろ定番。
描き方を間違うと暗くなりそうだけど、そこは作者が上手くコントロールしてる感じ。
私があまり読まない系統の作品だから新鮮だ、というわけではなく、
やっぱり巧く作られている作品なんだと思います。

でも思うんだけど、長くて艶やかな黒髪・夏でも白い素肌って美人さんの要素だよねぇ?


ネット書店『bk1』さんにTBさせていただきました。
『平岡公彦のボードレール翻訳日記』様にTBさせていただきました
























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