『C.M.B.森羅博物館の事件目録・5』の感想

C.M.B. 5
加藤 元浩著
講談社 (2007.5)
通常24時間以内に発送します。


→amazonで見る『C.M.B.森羅博物館の事件目録・5』
加藤元浩/講談社月刊少年マガジンKC/2007.5.17/?400


『ここが世界で一番いい博物館!
僕が見つけて 僕が作ったんだ』

<ご紹介>
大英博物館が認める「知を象徴する3つの指輪」を持つ少年・森羅と、元気印の高校生・立樹が、謎めく知識の断片を論破する!!
二人の元に現れた可憐な少女・マウ。 彼女が持ち込んだのは、活版印刷を実用化させたグーテンベルクの初刷り聖書の断片だった。 この2枚が本物だと判明すると、幻の50番目の『グーテンベルク聖書』が完成するらしい貴重品。 マウは森羅に2枚の鑑定を依頼するが、森羅はそれを断ってしまい…激怒する立樹だが、マウが狙われていることを知り!?
    →過去記事『C.M.B.森羅博物館の事件目録・4』の感想
    →過去記事『C.M.B.森羅博物館の事件目録・3』の感想

<感想>
表紙を見た知人に、「ほら、アナタ好みの幼女がいるよ」と名誉毀損ギリギリのコメントを頂いたりるです…。 ヒドイよ、大泣きだよ!! ・・・・・・いやでも実際、マウを可愛いと思ってる自分がいるのだけども・・・(笑)。

新キャラクタ登場の今作は、『グーテンベルク聖書』で頭脳ゲームを、『森の精霊』で殺人ミステリを描く作者得意のパターン。 個人的好みを言えば、グーテンベルクだの幻の聖書だの派手な小道具に惹かれるけれども、『森の精霊』は博物学の基盤と幻想の合わせ技一本!!という仕上がりで悪くない。
作者さんがこのシリーズで何をすべきかを分かってきている分、1巻時より面白くなってきているのも魅力。

巻末に次巻の予告が有って、遂に、遂に!! 『Q.E.D. 証明終了』の燈馬くんとの競演があるらしい!! こーれーは予想していたとはいえ、かなり楽しみです♪

以下、各話語り。
●『グーテンベルク聖書』
内容は前述通り。 活版印刷、ブローカー、幻の聖書など、どきどきするモチーフの魅せ方は相変わらず上手!!
事件面では、欲目?があったためか、首謀者に全然気づきませんでした。
ただそれよりも何よりも、森羅が博物館に寄せる想いの素直さがとても良くて・・・歴史を感じさせる展示物だけではなく、風や星空などの自然さえも携えた最高の博物館。 「博物学」の本来の意味を考えると、無機質で全て調整された現代の博物館の姿は、もしかしたら少し意味を違えているのかもしれない、と思わせられました。

●『森の精霊』
製薬会社のCEOの依頼で、ボルネオの呪術師・サダマンに会いに出かけた森羅とマウ。 新薬の材料の宝庫でる密林を知り尽くすサダマンと取引をしたいのだが、彼に会いに出た社員が「サダマンに殺される…」という言葉を残し失踪してしまい!?


・・・あらすじ書くとベタですね。 内容も結構ベタです…いろんな意味で。 立樹ちゃんの森羅発見能力が超人的なのですが…何なんだろ、女の勘よりは野生の勘に近い気が…ボルネオの水が合ったか?(笑)
首のトリックはちょっと強引、でも強引っぷりはちゃんと絵の不自然さで表現してあるので、漫画としてなら有りではないかと(小説じゃアウト!!)。
密林に対して畏怖の念を抱くのではなく、お金にしか見えないような人間にはなりたくないものです。 星を壊すのはそういう傲慢さで、表面的には屈しても最後に木魂するのは受け継がれるサダマンの言葉なのだと思います。

<まとめ>
個人的には★★★!! どんどん良くなるな。

<関連サイト様>
・TB送信先サイト・・・『或る書店員の戯言』

関連記事


『XXXHOLiC・11』の感想

×××HOLiC 11
CLAMP著
講談社 (2007.5)
通常24時間以内に発送します。


→amazonで見る『xxxHOLiC・11』
CLAMP/講談社ヤングマガジンKCDX/2007.5.17/?533


『名前は大切なのよ 貴方の名前もそう 
特に名字には大事な意味がある』

<ご紹介>
怪我も治り、再び登校した四月一日。 ひまわりや百目鬼との友情を深め合う一方で、侑子の「ミセ」の力は弱まりつつあった。 「最後の瞬間を最後にしないために」侑子は百目鬼に卵を渡す。 物語はいよいよ四月一日の身に及んでくる…。
    →関連記事 『XXXHOLiC・12』の感想
    →関連記事 『XXXHOLiC・10』の感想
    →関連記事 『XXXHOLiC・ 9』の感想


<感想>
あらすじがとても書きづらい内容でした(笑)。 いや、力不足でスミマセン…。
元々伏線が多い作品だけど、今回辺りから特に四月一日自身に絡む話になって来た印象で、張り巡らされた伏線が今後大いに発揮されそうな予感。 いや、CLAMPさんはいつもそうだけど。


相変わらず、四月一日のしなやかな優しさがとても心地よいです。
四月一日の血と目がアヤカシにとっては魅力的、という設定だからじゃなく、最近はただただ彼の在り方に周囲が惹き寄せられているのがよく分かる。
ひまわりちゃんの性質を知り、彼女に拒否されても関わろうとする四月一日を見ていると、人との「関係性」ってホント大事だなと思わされる。
侑子さんはこの変化を待ってたんですね。
相手との関係性を投げ出さない人は、相手からも同様に想われるでしょう。 百目鬼がこれから起きる事実を「迷わないで」いられるかは、四月一日自身がいかに変化するかにかかっていた訳で、卵を託された百目鬼も恐らくもう「迷わないで」いてくれるはず。

『ツバサ』では小狼とサクラ姫との「関係性」が対価として使われたけど、もし今の四月一日がその対価を要求されても差し出せないんじゃないかなぁ? それで良いと思います。


気になるのは、いよいよ問題が四月一日自身に及んできた点。
冒頭から雨童女に存在を否定されるセリフを投げられ、ラストも彼が存在しない世界を自分で視てしまっている。
特に、四月一日の話に的をしぼりつつある中で、敢えて「お客」の話を挿入する必要を考えると…あまり良い予想が出てきません。
今回は、依頼人がアヤカシではないかと怖がる対象こそが現世の存在で、依頼人側が「存在してはいけない」者だった、というお話。
何度も遥さんと「夢」を渡る場面が登場することも考慮すると、もしかして…四月一日も依頼人と同じ立場なのでは?というコワイ考えが浮かんできて仕方ないんですが…!(嫌!)


名字は特に大切、とのことなので「四月一日=ワタヌキ」「五月七日=つゆり」の意味を調べてみました(→参考サイト様)。
結果。 …ワカリマセンでした!!(笑)
いや、意味は分かりました。 行事に関連のある名字は重要だし。 でも、そこから導かれる「何か」に思い至らない…!!
以前、四月一日が小羽ちゃんと出遭ったときに「自分と近い感じ」と言ったら、侑子さんが「どっちの意味で?」と訊き返したことがスゴク気になってます。
どっちって…どれ? そもそもの選択肢が思いつかないけど、どうやら共通点と相違点があるらしいことは分かる。 小羽ちゃんと(四月一日寄りの)百目鬼がちょっとぎこちないのも気になります。

☆小ネタ。
・ひまわりちゃんイメチェン →首筋から見えちゃう傷痕を隠すためでしょうが、プリティー♪
・百目鬼「…ねぇな」 →ひまわりちゃんの対価が何だったのか知らないのかな? それとも単に過保護?(有り得る!!)
・座敷童子の声変わり →え、オトコノコじゃぁないですよね…?(恐々)

<まとめ>
相変わらず思わせぶりな展開でどきどきします。
侑子さんが言う「幸せな未来を信じましょ」を信じて良いんですよね…!?

<関連サイト様>
・感想拝読しました・・・『読み聞かせ歌人の読書日記』
・TB送信先サイト・・・『或る書店員の戯言』
・作者公式サイト・・・『CLAMP-NET.COM』
・参考サイト・・・『暁に死す(「暁」は旧字体)』より『日本人の姓名―日付篇』



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『ラグトニア』の感想

ラグトニア

ラグトニア
posted with 簡単リンクくん at 2007. 5.17
潮見 知佳
祥伝社 (2007.4)
通常24時間以内に発送します。

→amazonで見る『ラグトニア』
潮見知佳/祥伝社FEELコミックス/2007.4.30/?600


「そんなふうに私を信じると 死ぬぞ」
「俺は別にかまわねぇぞ 逃げたくなったらいうんだな」


<ご紹介>
『夢幻アンソロジー』の掲載作品。 この巻には第5話までが収録済み。 第6話が今月雑誌に掲載されている(らしい)ので、巻数表示はないものの続刊されそうな感じ(不確定です)。

可憐な外見と裏腹に剛毅な性格の少女ファルナは、浄魔霊剣(イグリース)を求めて訪れた村でカルダスという大男と出会う。 ファルナは両足と左目を、カルダスは右目を魔術師に奪われた「敗魔者=ラグトニア」。とある事情でイグリースを求めるが、剣はファルナにしか反応しない様子。 しかし、歩けないファルナは魔物に襲われても逃げることさえできないため、カルダスは彼女を抱きかかえて剣を共有することに…。

<感想>
ファンタジーでした。 魔術・妖精・剣が登場するなど、わりと王道な異世界ファンタジー。 ただ、そういう舞台設定を用いているけれども、描いているのはいつもの潮見ワールドだった気がします。

『ゆららの月』『らせつの花』で展開しているのは、霊を見ることの出来る女の子の悲しさ、寂しさ、そして強さ。 ヒロインが、「人ではなくなってしまった」存在側にもそういう感情があると感じていることが、事件や人間関係を発展させる要因となっている。

今回もその関係は同じ。 ファルナは霊術師と呼ばれる存在に「なった」ことで魔物と話すことが出来てしまう。 だけど普通の人はそんなことは出来ないわけで、疎通が出来ない存在同士の悲しさを見てしまうファルナには、他の作品のヒロイン同様、その悲しみに引きずられないよう留まる強さがある。 なかなか魅力的。 魂の浄化は潮見漫画でちょくちょく見られるシーンなので、根本的に描きたいのはこういうことなのでしょう。人間は時として、魔より愚か。 魂の重さに違いはないと訴えてくる感じです。

屈強過ぎるカルダスが何故右目を奪われてしまったのかはこの巻で語られるのでちょっとスッキリ。 そして、目を奪った?メリルちゃんに私の心が奪われている辺りはもうお約束!!(笑) あの可愛いらしさは確かに犯罪級…そしてそんなメリルちゃんに必死で抗うランディのヘタレ振りが最高です。

何故魔術師が国を次々に混乱させているのか、守人と呼ばれるカルダスの正体は何なのか、ファルナの足と国は戻るのか、という謎は残るものの、特にこれといった独自性に欠けてしまうのが難点。 絵も話もしっかりしているので、作者さん贔屓の人なら読んでも楽しめるとは思いますが。 個人的には、★★☆。

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6月購入予定。

そーいえば今月、一つ年をとりました。 一年に一度誕生日を迎えられるって、実はスゴイありがたいことですよね。 何ていうか、節目の日を越すたびにそう思います。

なぁんていう感慨はまた別のお話で、6月の新刊情報が『太洋社』様のHP上にアップされてたので早速メモです。
文庫はまだ更新されてなかったので、追記する予定。
今のところ、購入予定は少なめです。



<コミックス購入決定分>
6/5 萩尾彬『シュガー☆ファミリー・2』 白泉社
6/5 森生まさみ『らぶ・ちょっぷ・2(完結)』 白泉社
6/8 桜野みねね『ひなぎく見参!<一本桜花町編>1』 マッグガーデン
6/29 芳崎せいむ・東州斎雅楽『テレキネシス・4』 小学館

<コミックス発売チェックのみ>
6/19 潮見知佳『らせつの花・3』 白泉社


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『刀語 第五話 賊刀・鎧』の感想

刀語 第5話
西尾 維新・著/竹・画
講談社BOX (2007.5)
通常24時間以内に発送します。


→amazonで見る 『刀語 第五話 賊刀・鎧』
西尾維新/竹/講談社BOX/2007.5.7/\1100


「力ずくでわたしを守ってみせろ!」
「――極めて了解」
<ご紹介>
4本の刀を集めた「とがめ」と「七花」は、一路九州へ。 次なる刀は鉄壁の防御力を誇る『賊刀・鎧』。 闘技場で全身を甲冑に包んだ「校倉必」を見た七花は、その甲冑こそが『鎧』だと知り、刀らしからぬ形に驚く。 しかも必は海賊船長としての誇りと『鎧』を賭けて七花に決闘を申し込み、自分の勝利の暁には、とがめをくれと言い放つ。 戸惑う七花は・・・!?
    →過去記事『刀語 第一話 絶刀・鉋』
    →過去記事『刀語 第二話 斬刀・鈍』
    →過去記事『刀語 第三話 千刀・ツルギ』
    →過去記事『刀語 第四話 薄刀・針』

<感想>
まず、本を見た瞬間の印象。 「表紙のとがめが、何か勝気っぽい顔してるっ!!
・・・感情的に何らかの変化があるに違いないっ。 わくわくしながら読み始めました。 でもって、その予想は大当たり。 こんなに可愛かったんだ、とがめちゃん。

奇を衒った内容だった前巻と違い、内容自体はどこまでもパターンな展開。 とがめのライバルらしき人物の登場や、大切なものを賭けての決闘、その決闘を受諾したとがめに戸惑う七花、そんな七花を叱咤激励するとがめとの関係・・・これではどこを考慮しても立派なラブコメなんだけど・・・そういう作品でしたっけ?(笑) 相変わらず萌道一直線!!な二人の関係が更に進化しているので、果たしてどこまでいっちゃうのか楽しみです。

また、そんな関係を竹さんのイラストがバッチリ表現しているのがニクイくらい素敵!! 今回、読者が感じるとがめに対する可愛らしさの50%は、竹さんのイラスト効果だと思います。 どのシーンを描けばよいのか良く理解してらっしゃる~っ。

とがめがいろんな表情を見せてくれたように、七花にも少しずつ人間味が増しているのうで、回を追うごとに面白くなる。 弱気になったのなんて初めてだろうし。 二人で決めた「八つ裂き」の決め台詞は今回のためにあったのでは!?というくらいハマッてた。 やっぱり女の子は守らないと!!

一方、人を殺めることに対する七花の迷いの無さは、自分を「刀」と捉えているため起きる事象なので、今回自分を「人間」だと理解した七花がその「覚悟」を得るのは、そう遠くなさそうな気がします。 どうやら校倉必も単純な恋の当て馬ではなく、七花を成長させるための完全な当て馬だったということになりそう(笑)。 この酷さ、さすが西尾維新!!

さて。 珍しくというか初めてというか、まともなまにわにが登場です。 真庭鳳凰。 なかなか侮れない人物のようで、蜜蜂たちのような着ぐるみは着てません(←むしろ当然・笑)。 前巻の感想で「残り8冊に対してまにわにの数が足らない」と指摘しましたが、不足を補うための展開はばっちりオッケーでした。 まにわににも敵対する忍者がいることを鑑みると、とがめに提示した交渉内容は単純なものと受け止めるのは難しい感じ。

敵は増えれど味方はお互いだけ。 次回は蝦夷にて凍空こなゆきちゃんと『双刀・鎚』をめぐる試合が始まる? ・・・楽しみです♪
    
<まとめ>
いろいろ見所はあるけれど、やっぱり「着物の帯の殿様ほどき」に敵うものはなし!!(笑) さすが西尾維新、使える「お約束パターン」は悉く使う心意気に、もう一生付いて行きます!!

<関連サイト様>
・感想拝読しました・・・『booklines.net』 『Alles ist im Wandel』 『読書日記★PNU屋★』
              『かもめはサブカルを嗜まない。』
・西尾維新の過去記事→『ネコソギラジカル・下』
                『DAETH NOTE ANOTHER NOTE』
                『xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環 エアロゾル』

    
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