森薫 『乙嫁語り・3』の感想

乙嫁語り・3

『乙嫁語り・3』

森薫

エンターブレイン BEAM COMIX
2011年6月27日 初版初刷発行/¥620+税





<感想>
スミスさん、まさかの 「メガネを外すと美青年」 設定! そしてラブコメ来たっ!!(笑) 何て素敵なお約束展開なんでしょう……思わず 「ありがとう森先生っ!!」 とガッツポーズでしたw ・・・と、いきなりテンション高いんですけど、 『乙嫁語り』 3巻です。 ホントのこと言うと物語の趣旨はメガネでもラブコメでもなくて(そんなことは皆分かってる!・笑)、もっと楽しむべきところがたくさんあります。 私の読み方が偏ってるだけなんです! ホント申し訳ないっ(笑)。 


えーと、感想書いてなかったけれどもちろん1~2巻もリアルタイムで読んでました。 面白くて美しい、稀有な作品です。 中央アジアが舞台っていうのも素敵。 私は昔から、この辺りからトルコにかけての文化に弱く、それこそ 「トルコ」 とか 「ペルシャ」 という単語で垂涎しちゃうくらいに大好きなので (変態か!・笑)、 刊行されるのを毎回楽しみにしてるんです。 スミスさんが民俗学に興味を抱く気持ちも、だからよく分かるんですよね。 分かった上で、すごい人だなぁと思ってしまう。 ロシアとイギリスとの抗争が仄めかされてるのでおそらくグレートゲームのことだと思うんだけど、その危険を冒してでも己の知識欲を満たすためにこの土地にやってきた彼ってすごいよな、って。  


で、3巻はそんなスミスさんを中心に描かれていきます。 1~2巻では、12歳のカルルク少年の元へ嫁ぐことになったアミルさん(20歳)の結婚生活が、一歩下がった視点で描かれていました。 おそらくそれもスミス視点という部分が多分にあったと思うけれど、あまりそれを意識させず、引きの視点で幅広く中央アジアの文化を見せてくれたのが重要な土台になってる気がします。 3巻では物語の視点がぐっとスミスさん自身にフォーカスされているんだけど、その土台があるからこそ、異文化の中にポツンと入り込んだ彼が体験することになる不遇逆境にも 「理由」 があることが理解できるんだと思う。 


でも、20歳が行き遅れだとか (りるさんヤバイじゃん・・・)、 父親の権限の大きさとか、そういう価値観の違いを頭で理解していても、今回みたいに無理矢理恋が破られるのはやっぱり納得できないよね・・・。 異国の文化にどうしようもなく惹かれてフィールドワークにやってきたのに、実体験として得られたものはこのモヤモヤ感。 ただ、それこそが異文化なんだから、ある意味ではこれが 「知る」 ということの醍醐味なのかもしれません。 理解と納得って、全然別物なんだよね・・・。 ラスト、焚き火を背に懐中時計を投げるシーンで、スミスさんがまるで深遠を覗いたような描写になっているのは、その象徴みたいに感じました。 彼はあの暗闇に何を想って一石を投じたのかな? 時計もタラスさんも彼の元に帰って来ると信じてます――私は信じてますよ! (森先生のラブコメを!・笑)


しかしそれにしても・・・森先生の描かれる女の人って本当に魅力的! いや、男性も魅力的なんですが (今回うっかりスミスさんにときめきっ放しだったし・笑)、 タラスさんもアミルさんも私が嫁に欲しいくらいw(笑) 個人的には、タラスさんがスミスさんへの恋心を持て余してることにアミルさんが気付くシーンと、結局スミスさんにアプローチしたのがタラスさんからだって部分に、めっちゃときめきました! 可愛い女の子は強いなぁw 違うか、強い女の子だから可愛いのかw アミルさんが何かに気付くたびに、自分から話すのではなくてカルルク少年から喋らせる・・・っていう気遣いも素敵。 そしてアイコンタクトで察せちゃうカルルクくんも素敵! この夫婦は見ていて和みます。 スミスさんもパリヤさんも新キャラ・アリくんも、彼らみたいに幸せになって欲しいな・・・w


アミルさんの実家方面でロシアとの対立が深まる気配があるのが怖いです。 気丈なアミルさんが珍しく顔を強張らせていたのだから余程かも。 スミスさんが目指すアンカラは、現トルコの首都で、ペルシャ周りでトルコに行くとか私にとって夢のような体験ですが、こちらもただでは済まなさそう。 その辺の描写とラブコメに期待しつつ(笑)、4巻を待ちたいと思います。 

以下、各話語り。





●第12話 『逗留』
スミスさんとタラスさんの出会いの回。 私、基本的に一目惚れって信じてます。 顔が好みとかそーゆーことではなく、醸しだす雰囲気に惹かれるって意味で。 二人が気持ちを深めていくのに時間がかからなかったのも、たぶんそういうことだと思うんですよね。 それを感じさせる出会いのシーンがすごく好きw あと、場長さんがマジ恰好良い!(笑) 本当に上に立つのはこういう人なわけで、後々タラスの叔父の小者ぶりが強調される、良い役割でした。 子のないまま夫に先立たれたときは夫の兄弟と結婚する、という話は聞いたことあるけれど、全員って・・・。 結婚の自由があるって凄いことなんですね! やっぱり、タラスさんの恋は実って欲しいな。


●第13話 『懇願』
メガネを外すと美青年・・・美青年! でも猫背 (←ここ重要・笑)。 こういう細やかな人物描写って、その人への思い入れを深めるためにも必要ですよね。 押しに弱い感じがよく出てますw 娯楽の少ない土地で一日働くしかないとはいえ、タラスさんが働き者過ぎて、己の不精っぷりを反省しました・・・。 ただ生きることの難しさと、有難さ。 それを実感しながら生きている人は美しいなぁ・・・! 義母の懇願は嫁を想うゆえの盲目さも感じるけれど、生きる難しさを知りながらも誰かの幸せを願えるというのは、素敵なことだと思うのです


●第14話 『タラスの想い』
タラスさんが美しすぎてどうしようかと!! 羊と遊ぶシーンもスミスさんにキスするシーンもそうだけど、台詞なく絵の美しさで魅せるのは森先生の得意技とはいえ、ステキすぎますw これは惚れるだろ…w  そして蛇が怖すぎる! スミスさんが果敢に攻める場面は思いがけず彼の男らしさが出ていてこれまたステキでした。 こんなお膳立てしてもらっておきながら躊躇してどうする!って思うんですけどねー(笑)。 あと、毎回テントの描き込みが丁寧で見惚れちゃいます。 


●おまけ 『パリヤさんはお年頃』
一見微笑ましいですが、本人にとっては大問題なんだろうなぁ。 でも微笑ましいw アミルさんへの懐き方が特に、ね。 


●第15話 『再会』
タラスさんとの再会、そしてカルルク・アミル夫婦との再会でもありました。 正直このままアミルさん達の出番ないと思ってたので、嬉しかったなーw 牢内で思わずタラスさんとのキスを思い出しちゃうのがある意味超リアル(笑)。 あとは本文で書ききりました。 


●第16話 『市場で買い食い』
登場したばかりのアリさんが突然仕切ってるw 一言で羊を丸ごと差し入れさせる彼は侮れません(笑)。 婚姻譚と食事というのは民俗学的にも興味あるし、単純に美味しそうって意味でも、こういうシーンって楽しいです。 キジを見て美味しそうとかアミルさんの生命力ハンパないし、それをちゃんとフォローしてお金を払うカルルクくんとか、この夫婦の雰囲気ってホント好き! 楽しかったー。


●第17話 『アンカラへ向かって』
急転直下とはこのことか!という展開に、気持ちがついていかなかったのは私もスミスさんと同じです。 結婚をするために働く、というアリくんの考えを聞いたってなかなか実感できないのと同じで、この土地では好きとか愛情とかよりも優先されるものがあるというだけのことが、やっぱりなかなか納得出来ない・・・。 しかもこのモヤモヤを分かってくれる人は周囲に誰もいないわけで、スミスさんの孤独っていうのは強いと思うんですよね。 
今は急な展開に実感を得られないまま流されているけれど、ふと気付いた時に何を思うのかな?って気になります。 懐中時計、誰が拾ってくれるのかな・・・?



乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)  乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)



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optiさんへ

>optiさん

コメントありがとうございますw

>驚きつつも、感想が読めてうれしいです。

そう言って頂けると、私も本当に嬉しいです。 いつもありがとうございます!!
もうちょっと早く読みたかったんですが、時間のあるこのタイミングで読めてよかったような気もしてます。

>いろいろと見所の多い巻でしたね

仰るとおりw どこを捲っても見所見所。 目で楽しめて、心にも訴えてくるので、いろいろ油断できません。 楽しかったです。

>たしかに、文化の違いを理解はできてもこの流れは納得はできないですよねぇ

悲しかったですよね・・・。 カルルク少年のことは好きだけど、「父親だからしょうがない」と言われても納得出来なくて・・・途中まで幸せだったからよけいに突き放された気もしちゃいました。 切ないよぉ!!
やっぱり、今後も難しいでしょうか・・・。 私は、そこは信じてみたいんですけど、どうかな?

>さっぱり予告としての意味はないような(ぉ

確かに! でもちょっと、次回のアミルさんの獲物が何なのかは気になるような・・・(笑)。 いずれにしろ、刊行楽しみですねw

No title

発売されてからちょっと時間差の感想!
驚きつつも、感想が読めてうれしいです。
市場での食事のシーンとか、パリヤさんの4コマ(たぶんいちばん笑ったのはこの部分w)とかいろいろと見所の多い巻でしたね。
そして、やはりスミスとタラスのラブな部分が楽しめた…のですが、最後がアレなので悲しかったです。
う~ん、たしかに、文化の違いを理解はできてもこの流れは納得はできないですよねぇ。
個人的には結ばれて欲しい二人ですが、かなり難しそうにも正直思えます。
…しっかし毎回楽しいあとがきながら、さっぱり予告としての意味はないような(ぉ
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