小椋アカネ 『蒼のラプソディア』 の感想

蒼のラプソディア
『蒼のラプソディア』

小椋アカネ

白泉社花とゆめコミックス
2011年2月10日 第1刷発行/¥400+税






『 ・・・もしかして 心配してくれてるんですか? 』
『 ――脅迫してるんだよ! 』


<ご紹介>
5編の読み切りを収録した、小椋アカネさん初の短編集。 
金銀財宝が眠るといわれる黄金大陸・・・複雑な海流ゆえ渡航の難しいその土地に、唯一上陸したのがアレグラの父親だった。 その父も大陸までの航路を示した「蒼の海図」を残して亡くなったため、アレグラは海図を狙う海賊たちに追われる毎日・・・。 今日も今日とて海賊に絡まれていたところ、何と、とっても素敵な男性・クレインが助けてくれた! 感動するアレグラだけど、実はクレインも海賊。 海図を欲しがるクレインと海図を「見せたくない」アレグラ、二人の攻防戦の行方は・・・? (蒼のラプソディア)


<感想>
『LaLaDX』で活躍されてる小椋アカネさんの、初の短編集です。 うわぁい、大好きなので嬉しいです! 以前の白泉社さんは短編集にはあまり積極的ではなかった(*あくまでも個人の感想ですw)けど、ここ数年はこうやって読みきり集を出してくれるので、楽しみの幅が広がった気がします。 

というのも、私も愛読している『LaLaDX』という雑誌は、隔月発売という特性上、雑誌の半分が読みきりなんですね。 で、それが好評だと連載に発展することもあるんですが、やはり狭き門なわけです。 そのため、かなり秀逸な読みきりでもそのまま・・・ということが多かったのですよ。 それって本当にもったいない! 個人的には、短編集こそ『LaLaDX』作品の真髄だ!…くらいに思ってるので、こうやって日の目を見るのは関係者でもないくせに嬉しいのでしたw

収録作品のご案内。 作品名・掲載年月・概要 と並べますね。
・『蒼のラプソディア』 2011年掲載・ドタバタ海賊モノ
・『紅色狂騒曲』 2001年掲載・学園ラブコメ
・『わたしのすてきなひと』 2002年掲載・天才偏屈芸術家×女子高生
・『王様遊戯(ゲーム)』 2004年掲載・刺客はメイド様
・『夏のレクイエム』 2005年掲載・黄泉の国で思い出探し

『蒼のラプソディア』と『紅色狂騒曲』とでは、その差10年の開きがあります。 作者さん自身も仰ってますが、絵柄はやっぱり違います(笑)。 でも、せっかく短編を集めるならそのくらいの盛りだくさん感があって良い気がする。 昔の良いところ、今の良いところ・・・そんな部分を探しながら読めて楽しかったですよw 
では(前置き長くなりましたが!)以下、個別感想。 





●蒼のラプソディア 
あらすじのお話。 「小椋さんといえば異国ファンタジーなドタバタラブコメ!」というのが私のイメージなのですが、そのイメージ通りのお話でした。 海賊モノなので当然船の絵がたくさん出てくるんですけど、これ見てるだけで楽しい! 特にアレグラが樽から発見される場面を俯瞰で描いてあるコマがすっごくお気に入りで、船って綺麗だよねっていうのがひしひしと伝わってきました。 あとはもう、アレグラがひたすら可愛く、クレインがひたすらヘタレだというのが最高です!(笑)

私、小椋作品のヒロインが持つ素直な感情表現がすごく好きなんです。 クレインとの初対面時、アレグラは感嘆の瞳と合わせた掌で「カッコイイ人に助けてもらえた」感動を素直に表してるんですね。 乙女ですから、イケメンが颯爽と現れて助けてくれたら当然嬉しい訳だけど、それ以上の「何か」が伝わってくる程アレグラは感動してる。 その「何か」は海賊さんにまで憐れまれる境遇が背景にあるわけだけど、そんな辛いことを背負ってても、素直に喜びを表現できるアレグラが、本当ーに可愛いんです!! そりゃークレインも「心配」するわな(笑)。 お宝の地図よりも「海図そのもの」が宝物になっちゃったクレインさん一行と、5年ぶりの平穏な時を過ごして欲しいな☆
(雑誌掲載時の感想もご参照ください ⇒『LaLaDX7月号』の感想(後編)


●紅色狂騒曲
デビュー作とのこと。 今回の短編集で唯一記憶にないお話だったのですが、だから余計に新鮮で楽しかった。 そして萩野くんがめっちゃ好みです。 ちゃっかり壷で儲けてるとか楽しすぎるw  何ていうか、クレインはヘタレ度がツボっていう意味で大好きで(暴言?・笑)、萩野くんはリアルに好みというか…こういう飄々とした人に弱いです。 さらっとキザ。 これ最高(笑)。

お話としては、ある日突然モテ体質になっちゃったきぬちゃん(註・男ギライ)のドタバタな一日を描いたもの。 男子に追い回される→きぬちゃん逃げる→萩野くんがフラッと現れるのリピートなんだけど、そうこうするうちに、自分の弱さみたいなものときぬちゃんが向き合っていくのが良かったです。 何故突然モテたのか、という謎の答えを出すのがちょっと遅いので前半ちょっと読みづらいのですが、あとはDXっぽくてすごく良い。 特に、萩野くんの台詞に赤面しちゃうことと口紅をかけて「口紅は顔中に広がりなくなった」っていうモノローグがお気に入り。 萩野くんの態度が変わらなかった理由(オチ)には、泣いてるきぬちゃんをもの凄い勢いで心配した冒頭のコマが伏線だったのか!と気づかされる巧さもあって、読後感の良い作品でした☆


●わたしのすてきなひと 
この大胆な可愛さがたまきさんの魅力なんだな、と一目で分かる扉絵がすごく好き。 そして、そんなたまきさんに「すてきなひと」と表現させるひとってどんなひとなんだろう?と自然と興味を抱かせるタイトルも好きですw お話としては、俺様な芸術家と、そんな彼に一目惚れしちゃったたまきちゃんとの恋愛攻防戦。 徹底的に二人しか存在しない狭い世界が舞台なので、この距離感で意識されないたまきちゃん辛いよね・・・と共感度が高いのが面白い。 絵画や絵の具などのモチーフも完全に先生側のもので、唯一たまきちゃんだけが先生の世界のなかで異質なんだろうなぁと思うと、彼がその魅力になかなか気づかないのも説得力あります。 

個人的には一目惚れってあると思ってて、それは相手の外見は元より、纏う雰囲気などに惹かれているんじゃないかと思います。 たまきさんにはそういう感性があって、先生にはなくて。 だからこそすれ違うけど、その「違い」を、扉絵のように大胆な行動で自分の力へと変換させたたまきちゃんは恰好良くて、同じ女として誇らしいなぁw 萩野くんをリアルに好みだと思ったのと同じように、ヒロイン的にはたまきちゃんがいちばんリアルに好みでした。 「また今度な」って普通は口先だけの言葉だけど、この二人には本当に「今度」のタイミングが訪れるんだろうなw 


●王様遊戯(ゲーム) 
王様の刺客として送り込まれた(ハズ)のネネと、そんな彼女をネネちゃんと呼んでメイドさんにしちゃうルウとのお話。 もう、ベッタベタのラブコメでして、りるさんこーゆーの大好き(笑)。 あと私は建物フェチでもあるので、ドーム屋根の宮殿をしっかり背景に描いてあるだけで幸せになります。 あとあと、私は可愛い女の子フェチでもあるので、ネネちゃんのメイド服姿を見るだけで幸せになります!(笑) でも本気の話、あのメイド服は一見の価値アリじゃないかと。 ネネちゃんが刺客だという設定もあの衣装だと映える(太ももからナイフ!)ナイスデザインでした☆

猫のように懐かないネネちゃんはそれだけで可愛いんだけど、案外ドジっ子というギャップがまた可愛い。 財務長官を軽く投げるくらいだから、ネネちゃんって意外と実力派だと思うんですけどね(つまり、ルウが出来る奴だという証明ですね)。 お気に入りはお風呂のシーンで、せっけんの3段オチには私も爆笑でしたw そういう彼女に癒されてるくせに主導権を渡さないルウ・・・ちょっとキュンとなります。 (蒼のラプソディアの)クレインは、国王を見習えば良いと思うよ!(爆笑) 国王の義務と男の義務の使い分けにめっちゃときめきましたが、それ以上に、背後からのキスシーンにはホントもう完敗です! ツボすぎて大好きなお話なのでしたw


●夏のレクイエム 
表題作がラプソディ(狂詩曲)で、2話目が狂騒曲(音楽用語的には狂想曲)で、最後がレクイエム(葬送曲)。 そのお話自体を表しているのは当然だけど、こうやって並べてみるとコミックス1冊としての起承転結みたいな印象もあって、なかなか面白い配置ですねw

崖から海に落ちてしまったトキが、次に目覚めたら「黄泉の国」で…!?というお話で、そこから帰還するための案内人のお兄さんとのやり取りがメインです。 唯一恋愛が絡まず、トキとお兄さんだけで構成されているお話のため(火の玉はカウント対象外・笑)、「お兄さん」の正体には早い段階で気付いてしまうのが弱点かな。 でも基本的に白泉社の作品は、分かった上でも楽しむことが出来るのが強みでもある。 このお話もその典型で、一歩間違えばしんみりしちゃうテーマを、コメディ寄りに描ききったところが良かったです。 っていうか、火の玉たちがプリティ過ぎるだろ…(笑)。 その分、そんな可愛い火の玉にお兄さんが変化してしまうコマが妙に切なくて、思わず涙が滲みました。 夏になったら、もう一度読みたいです





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