平川深空 『バルベスタールの秘婚』 の感想

バルベスタールの秘婚
『バルベスタールの秘婚』

平川深空
(挿画:くまの柚子)

小学館ルルル文庫
2012年7月31日 初版第1刷発行/¥533+税





『それで、新たな提案があるんだが』
『提案?』
『僕と結婚してくれないか?』


<ご紹介>
第6回ライトノベル大賞ルルル賞受賞作 & 読者賞 受賞作。 
30歳も年上の男性との結婚を強要する「過去の名家」な実家に反抗し、自由と自立を求めて家出を決行したローダ。 明るい未来に夢を馳せていたのに、駅でいきなりお金と旅券を引っ手繰られてしまう! 厳しい世間の荒波にも負けるもんか!と、行き先さえ知らない、発車ギリギリの列車を追いかけて飛び乗ろうとして――手を伸ばしてくれたフェルウスという青年に助けられることに。 彼は、旅券がないまま逃避行を続けるローダに、とある条件で支援を申し出る。 それは、半年だけの偽装結婚。 望まない結婚を強いられているという点で、二人は同志だったのだ。 利害が一致していると感じたローダは条件を飲むが、フェルウスにはもう一つ、重大な秘密があって…!? 





<感想>
『バルベスタールの秘婚』というタイトルの語感が良かったのと、ルルル賞&読者大賞のW受賞作という触れ込み、そして何より、くまの柚子さんの麗しく可愛らしい表紙に惹かれて、即買いした作品です。 ローダもフェルウスも美しいですよねー! 私、くまの柚子さん大好きなんですw 可愛くって恰好良くって、どこか品のある色使いに惚れ惚れします。 ただ正直、『橘屋本店閻魔帳』 (⇒感想はこちら) のイラストの方が気合が入ってる気がするけど気のせい?(笑) 良いんだ、それでもファンなんだ(笑)。 


さてお話は、過去の名声にしがみつく実家に嫌気がさした少女・ローダが、祖父が残してくれたトランク一つを手に家出を謀るところから始まります。 個人的には、ローダが会ったこともない祖父を慕っているというエピソードがお気に入り。 何だかんだで最後まで活躍するトランクのこともそうだけど、彼女には相手を直感で見分ける本能が備わっていることがさり気なく分かる、よいエピソードだと思うので。 それに、行き先も分からない列車を追いかけてでも乗ってやる!という前向きさがとっても好みでした。 負けん気全開で走る彼女を、フェルウスがどんな気持ちで列車から見ていたのか・・・想像するとちょっと楽しいですw 一見クールな表情の下で、もの珍しさ半分、可愛さ半分くらいの気持ちで見てたんじゃないかな。


そんなフェルウスですが、実はバルベスタール国の王太子。 「全き刃」という組織に常に命を狙われているのに一人で行動したり、敵対するモンギュー候の娘との政略結婚をローダとの偽装結婚で乗り切ろう!と考えるくらいには型破りな王太子なんですね。 ローダの臨機応変に対応できる演技力を評価して抜擢するわけだけど、個人的には可愛いと思う気持ちが1ミリもなければそんな暴挙には出ないと確信しているので(笑)、『結婚してくれないか?』の辺りで既にりるさんのニヤニヤがピークでした(早い・笑)。 偽装なことを見破られないようにするために、ローダとの距離を縮めて甘いセリフを囁くあたりも好きな展開ですw 内心では「もっとやれ!!」とエール贈りながら読んでました(笑)。 


物語は、フェルウスを狙う「全き刃」と、彼に娘を嫁がせて実権を得ようとするモンギュー候、そしてフェルウスの婚約者寸前の美女・リザベーヌと絡みながら進んでいきます。 モンギュー候とのやり取りでは、ローダがダンスでやり込めるシーンがすごく好き。 そして、その後の毅然としたセリフも。 ローダが怒るのも心配するのも、それはいつも自分ではない誰かのため――ひいてはフェルウスのため。 それが自然と出来る子なんだな、というのがよく分かるシーンで、フェルウスじゃないけど見惚れるってもんですw 彼女やフェルウスを狙う「全き刃」が誰なのか…という推理要素もほんのりあって、物語のハードな部分は割りと楽しめました。 最後の敵対するシーンでは、巧妙にローダたちをおびき寄せたわりにはあっさり素顔晒しちゃうんだ!?とツッコミ入れたけど(笑)、少女小説ならこんな感じでOKな私です。


それよりも残念だったのが、妖精のような美女・リザベーヌとのやり取り。 フェルウスが彼女との結婚を拒むエピソードをもっと強調して描いて欲しかったな・・・。 そういう面と比較して、だからローダが良いんだよ、っていうフェルウスが推しまくるくらいの山場が欲しかったです。 ローダが彼に惹かれる描写は多々あるんだけど、逆の描写をもっとあざとく盛り上げてくれても良いくらい。 でもって、リザベーヌとフェルウスの関係に、もやもやしてしまう可愛いローダをもっと見れたら最高だったんだけどなー(笑)。 ・・・まぁそんな物足りなさはラストで爽快なまでに払拭されるんですけどねw フェルウスさんってば、何てもどかしい言い訳しながら告白するのかしらっ!?(爆笑!) 穴の開いたトランクに、美味しい食べ物。 どちらもローダの愛するものに違いはないけれど、そこはもっと自信持って僕って言おうよ!?と思わず手に汗にぎってしまいましたw 情けなさから一転して、王子様度全開でのプロポーズは楽しかったです。 でもやっぱり、「誘惑に負けかけ」るフェルウスの様子をもっとプリーズ!なのでしたw


ところで。 タイトルが『秘婚』です。 つまり婚姻譚です。 自分でも「またかよ!」って思ったりするんですが(笑)、この「ある日突然出会った人と結婚!?」みたいなシチュエーションは大好物なのですw 最初は何とも思ってなかったはずなのに、一緒にいるうちにドキドキしてきて…!?みたいな感情もときめくし、そもそも「最初から何とも思ってない」なぁんてことはないに違いないってくらいの運命的な出会いにもドキドキします! 『キスよりも早く』 『狼陛下の花嫁』 『幽霊伯爵の花嫁』 『Love me do!』 ・・・などなど、過去に何作もこのシチュエーションの感想上げてて、それでもまだ同じ設定で楽しめるんだから、少女マンガや少女小説って堪りませんw  『バルベスタールの秘婚』 はたぶん、客観的に見たら「よく纏まってるけどそれ以上ではない」作品だと思うんですが、そんな訳で個人的にはたいそう楽しませていただきました! ローダとフェルウスが繰り広げるじれったい距離感と、内緒のロマンスというシチュエーション、ごちそうさまでした!





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桜♪さんへ

>桜♪さん

初めまして!
お返事が年を跨いでしまって申し訳ありませんでした。
コメントありがとうございます。

> はなのみ亭を見て、こっちにも来ました。

『はなのみ亭』さまは素敵なブログですよね!
来てくださってありがとうございました。

> 幽霊伯爵の花嫁、バルベスタールの秘婚、桜嵐恋絵巻、橘屋本店閻魔帳と私の好きなシリーズが載っていて凄くテンションが上がりました。
> ↑の4つの中でどれが一番好きですか?

この中だと『幽霊伯爵の花嫁』です。しかもダントツで。
作風もキャラクターもイラストもとにかく大好き!

でも少女小説でいちばん好きなのは『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズですよw

はじめまして

はじめまして
はなのみ亭を見て、こっちにも来ました。
幽霊伯爵の花嫁、バルベスタールの秘婚、桜嵐恋絵巻、橘屋本店閻魔帳と私の好きなシリーズが載っていて凄くテンションが上がりました。
↑の4つの中でどれが一番好きですか?
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