新海誠 劇場アニメ 『言の葉の庭』 の感想



『 ――ユキノさん 』


<ご紹介>
新海誠監督のアニメーション映画。 同時上映「だれかのまなざし」。 公式サイトは こちら
梅雨入りをしたある日の朝――靴職人をめざす高校生・タカオは、美しい日本庭園の四阿でひとり缶ビールを飲む女性と出会う。 靴のスケッチに没頭しつつも、どこか謎めいた雰囲気のある女性が気になるタカオ。 ふと、どこかで出会ったことがあると感じたタカオに、女性は一篇の和歌を残して去っていく。 この日から、二人は約束もないままに雨の日だけの逢瀬を重ねるようになる。 優しい新緑と溢れるほどの雨の中で、少しずつ近付く二人の距離・・・タカオは誰にも話したことのなかった靴への情熱を打ち明け、女性も「居場所を失くしてしまった」と告白する。 その姿に、彼女がまた歩き出したくなるような靴を作りたいと願ったタカオの心には、名も知らぬ女性への確かな思慕が生まれていた・・・。 







<感想>
6月6日の日記にも書きましたが、劇場アニメ 『言の葉の庭』 を観てきました。 新海作品は初体験でしたが、予告PVの美しい映像と音楽に見惚れたのと、出演声優さんが好きな2人だったこと、それから、ポスターに書かれていた 「新緑の季節ロードショー」 という言葉遣いに心惹かれました。 もしかしたら、最後の理由がいちばんの動機かもしれません。 だってこの表現は、作品の雰囲気とよく調和している。 雰囲気までをとても大切にしていることが伺えて、一気に興味を惹かれたんです。 そこまで愛されて作られているなんて、それだけで素敵ですもの。 まぁあとは、もとさんの 「歳の差ですよ!」 という囁きに背中を押してもらった感じです(笑)。 


本編の上映時間は46分なんですけど、もっと長く感じられたのは、たぶん密度が濃いからでしょう。 映像も、物語も。 映像に関してはとにかく背景美術と効果音の調和が美しかったです。 人物も背景もどこか実写っぽい描き方をされているのに、 「光」 の演出だけに良い意味で写実感がない。 新緑が淡いピンクや黄色を帯びて光を弾く演出は、モネなどの印象派の絵画をみているようでとても綺麗でした。 雨のシーンが多いからといってふさぎこむ様な世界観ではないことが映像からも伝わってきて、そこからして良かったです。 アニメーションならではの表現って、やっぱり素晴らしい! 


その雨も、小雨から豪雨までいろんな雨が登場するんだけど、個人的にいちばん好きだったのは、道路の上で雨粒が弾ける描写。 何ていうか、雨粒が路上で踊ってるように見えたんです(笑)。 タカオとユキノさんも、雨の日をこんな風に楽しみにしてるのかな?っていう。 雫が踊るみたいに跳ねるのが可愛くて、思わずピクミンを想像しちゃったし(笑)、次の雨の日に路面を観察したくなりました。 じつは、私が映画館に足を踏み入れる時間は雨が降り出す直前で、独特のむわっとした空気が木々を匂いたたせていました。 これは偶然の僥倖でしたが、おかげでタカオとユキノが感じ取っていたであろう、日本庭園に咽せかえる新緑と雨の空気感までを映像から感じることが出来て嬉しかったです。


物語の方は……本当にツボで(笑)。 元々、年下の男の子が年上の女性に憧れる関係性に弱いんですけど、もうずっとときめきながら観てました。 タカオは、落ち着かない母親のせいでちょっと大人びた雰囲気がありつつ、でも本当は、夢のために焦りを感じて学校をサボってしまうような落ち着かない思春期を過ごしている。 彼の葛藤は心の中と日本庭園に閉じ込められているため、じつは周囲には見えづらい。 兄でさえ、子供の夢だと信じていない。 だからこそ、浮世離れした空間でのユキノさんとの出会いが運命だったんだろうな。 なぜならば、彼女が抱える孤独の方がタカオのそれよりもより 「閉じた」 世界だったから。 ――この人がまた歩きたくなるような靴を作りたいというタカオの想いは、ユキノの閉じた世界を 「自分が」 開きたいという欲求に他ならず、誰よりもそれを求めていただということをタカオ自身が気付かされたのだと思います。 自分の世界を揺らすような存在に出会ったら、恋せずにはいられない。 そんなタカオの想いは、とても前向きなものに感じられました。


一方のユキノさん。 本当に可愛くて!(笑) 27歳の女性の声が花澤さんでは可愛すぎる、という意見もあるみたいだけど、年下の男の子が憧れる27歳の女性に可愛い面がなくてどうする!と私は思います。 可愛くて、でもどこか危うくて、ピッタリですよ。 あと、タカオとの隠された関係性についてはまったく気付かないまま観ていたので、思わぬ再会を果たしたシーンではタカオ同様に驚いてしまいました。 ときめき過ぎてその辺気にしてなかったw 私はお酒も好きだけど食べるのも好きなので、彼女の抱える障害は本当につらいだろうな・・・と。 でもタカオが偶然とはいえまず胃袋から攻略しにかかったのは素敵でしたね! 年上の、何かちょっと参っちゃってるっぽい女性を篭絡するには、まず胃袋から。 これテストに出ますよ(笑)。 


クライマックスへの盛り上がりは凄かったです。 もう、泣きに泣きました。 ユキノさんが大人ぶろうとして失敗してから駆け出すシーンは特に切なくて。 彼女が駆け出すまでに、タカオの靴は間に合わなかったんだなーって思うと泣けました。 でも、タカオは靴ではなく 「タカオ自身」 で、ユキノさんの閉じた世界をこじ開けたんだよね。 追いかけてきたユキノに対して、それまで通り 「――ユキノさん」 と呼びかけるシーンが、今作でいちばん好きです。 歳の差も、職業も関係ない。 それまで纏っていた大人びた雰囲気すらもかなぐり捨てて、ただの15歳の少年として 「大好きな大人の女性」 に酷い言葉を投げつける。 ――タカオの世界も、ユキノによって開かれたんだと思います。 ED曲の歌詞に 「♪どしゃぶりでもかまわない」 とありますが、暴風雨のような葛藤ををさらけ出すこの場面を象徴しているようでした。 


ラストシーンで出来上がったタカオの靴。 とても可愛らしい、そして 「ユキノさんのためのデザイン」 に仕上がってて、一目で気に入りました。 ユキノさんにも見せてあげたいなって、よけいなお世話ながらも願ってしまった・・・彼女は喜ぶかな。 ところで私の中では、未来的にタカオとユキノさんが結ばれるのは確定事項なんですけど(笑)。 タカオの母が若い分タカオが大人びていたのは、年上の女性と恋をするためだったんだなーって思うから。 彼と一緒にいるときのユキノさんの幸せそうな表情が忘れられません。 いつの日か、 「♪こんなふうにきみとは終われない」 未来が来ることを祈ってます。





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もとさんへ

>もとさん

こんばんは! コメント+TBありがとうございました☆

>雨(水)と緑の表現が綺麗で、さすが新海監督作品だなぁって映画でした

ねー、すごい綺麗でした! 私は初体験だったのですが、これならさすがって言われるの分かります。やっぱりアニメーションなので「見る」部分で飽きさせないって大事なことだと思いました。

>社会人としてのユキノさんはわかるだけに観ててつらかったですが…(苦笑)
でもタカオは分からないから「よく会社クビになりませんね」とか言ってる。そんな悠長な段階でないことは社会人なら分かるわけで、まだ子供っていうのはその辺もありますよねー。

>走り出して大泣きしたり(笑)。
そこ書こうかなーって思ってやめちゃいました。もとさんと話せたのでもう満足しちゃったので(笑)。ここでまた喋れて楽しかったです!

No title

こんばんは!
雨(水)と緑の表現が綺麗で、さすが新海監督作品だなぁって映画でした。話も上映時間や作中時間はけっして長いわけじゃないのに短さを感じない密度の濃い映画でした。
“歌”っていうアイテムの使い方もうまかったですねー「雨の日じゃなくても会える」っていう。社会人としてのユキノさんはわかるだけに観ててつらかったですが…(苦笑)。
スタドラ観たいに“勢い”のある作品もアニメの良い所ですが、こういう作品もまたアニメの良い所…題材としては実写向きでも“アニメだから許される”表現ってあるんですよね。走り出して大泣きしたり(笑)。
Secret


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映画『言の葉の庭』

新海監督最新作。15歳高校生と27歳女性との歳の差、そして靴職人を目指す少年ということで足フェチ映画です!(違)。

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