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萩原さおり 『ノスタルジア』 の感想

ノスタルジア
『ノスタルジア』


萩原さおり


集英社マーガレットコミックス
2013年6月30日 第1刷発行/¥400+税





<感想>
マーガレット系誌上に掲載された読みきり5編と、描き下ろし短編を収録した著者デビュー作。 白泉社以外で初めての作家さんの短編集を読むのは、去年話題になった『式の前日』以来です。 書店で見かけて気になって、いつもお世話になってる『マンガ一巻読破』さんが絶賛されてたので、読んでみました。 なるほど!な仕上がりでした。 では1編ごとに感想をば!






●真っ赤なチューリップを君に
両手で抱えきれないほどのチューリップの花束を持つ少年。 入院してしまった同級生の女の子に渡しに行く途中の様々な出来事で花を分け与えてるうちに、残るは一本になってしまって・・・という童話のような物語。 自分の持ち物を他人に分け与えるという点では、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』をちょっとだけ彷彿させるけど、風刺的な要素も毒素もなく、少年らしい善意と正義感、それから仄かな恋心から出来上がっているので、とても心が温まります。 彼が届けたかった言葉は、結局は少女の元までは運ばれなかった。 けれどチューリップとともに想いの断片だけはきちんと届いていて・・・だからこそ、巻末の巻末の描き下ろしが嬉しい。 少年の頃なら、少女のために用意した花束の大半を医者に渡してしまったけれど、今の彼はもう間違えない。 そのことが、何より嬉しいと思いました。 それにしても、子供燕尾服が可愛くて仕方ない!((*゚Д゚*))


●ノスタルジア
表題作。 ケンカ別れをしてしまった少年を久々に駅で見かけた。 そのことで中学時代を思い返すヒロインの物語。 少女マンガではわりとよくある、親友と同じ人を好きになってしまったことで自分の恋心から目を背けてしまう女の子を描いているんだけど、私はずっとタイトルが不思議でなりませんでした。 だって「ノスタルジア」ってふるさとを思い返す、つまり郷愁とか懐古とかそういう意味だと思うので、現在のヒロインが女子高生なことを考えると、ノスタルジアと呼ぶほど昔の話ではないからです。 何でかなーと思いつつも、ヒロインも親友もそして少年もみんな悪くないので、読み進めるのは気持ちの良い作業でした。 そもそも恋心に良いも悪いもない、ただ、想い合った二人が特殊なだけ。 ラストでヒロインは思いきって少年に声をかける。 そのとき、彼は優しく微笑んでヒロインを受け止めるんですね。 ――これか、と思いました。 タイトルの答えは、この景色なんだ。 たぶんヒロインはこの先ずっと、この光景を思い出す。 自分の心の源として、彼のいる風景を思い出す。 だからこその「ノスタルジア」なんだと思いました。 ・・・しかし、ここで微笑むことができる男の子は本当に優しく、珍しい。 絶対に放しちゃいけませんよ!(悪い大人の発想・笑)


●キンモクセイ
病弱だった小学生時代の同級生と再会するも、彼は他人を覚えているのが苦手だという理由で思い出してもらえない。 猫に引っかかれたヒロインを彼(の祖母)が手当てしてくれる間の、短い時間の物語。 最初に思ったのは、いやお祖母ちゃんヒロインを学校に行かせようよ!ってことでした(笑)。 でもそういう優しさって必要なんだよね。 たぶん、ヒロインが「大丈夫」になるまでに、時間が必要だったことと同じ。 少年がずっと「大丈夫」だったように。 金木犀の香りは私も大好きなんですけど、香りと記憶って密接な関係があるらしいんです。 なのでヒロインが最後に感じたことは間違いではないんだろうな。


●ゆめのはなし
美大に進学するための画塾に通うヒロインは、そこで天才と称される少年と出会う。 周りを見渡せば自分より絵が上手い人ばかり。 落ち込みかけたヒロインが描いた絵に対して天才は「あんたにはそう見えてるんだ」と言う。 悪口だと感じたヒロイン、けれど・・・?という、これまた温かみ満載で、私はこのお話が一番好きでした。 天才くんにとっては、ヒロインとの出会いは実はゆめのような再会なんだけど、そのことをヒロインが知らないまま・・・というのは、ある意味究極のロマンチックだと思うんですよね。 彼の夢も、絵を描く情熱も、その源はすべてヒロインとのささやかな思い出。 それだけでもロマンチックなのに、ヒロインはその事実を知らないまま、彼の夢に自分だけの夢を見つける。 その連鎖は、将来の夢を描く希望になり、過去の夢を懐かしみ愛しみ、読者としては物足りないけれど当事者だけが満ち足りている、そんなゆめのような二人の絆を作り出している。 ・・・この一話に出会えて良かったです。 短編の良さが凝縮されてました。


●暖々
タイトルは「だんだん」と読みます。 まだ恋心を知らないヒロインと、そんな彼女に恋をした友達ポジションの同級生とのお話。 ある意味、一冊を通じていちばんスタンダードでありがちな恋愛話ですが、カイロの使い方が光っています。 温かいカイロと、温かい存在である同級生。 存在としては別物なのに、自分にとっては欠かせないもの。 だとすれば、大切なのは一緒にいたいという気持ちであって、恋人だとか友達だとかそういう定義ではない。 ありがちな話を描く時には、そういう部分を味わいたい。 味わえました。



総括。
この本は、表紙も良いけれど裏表紙にこそ本領が発揮されていると思うのです。 何ていうか、ちょっと児童書の挿絵のような雰囲気で、本作の持つ温かさ・柔らかさという魅力がきちんと表現されています。 勝手な憶測だけど、これらの絵を描いたのは、『ゆめのはなし』の彼なんじゃないかな?と思ってます。 いや厳密には作者さんですよ、それは分かってますよ(笑)。 でも、『ゆめのはなし』の彼ならたぶんこういう絵を描くんじゃないかなぁって素直に思っちゃいました。 っていうか、そうあって欲しいな☆





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