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雨川恵 『にせもの公主の後宮事情 君子は豹変するものです?』 の感想

にせもの公主の後宮事情
『にせもの公主の後宮事情 君子は豹変するものです?』


雨川恵


一迅社アイリス文庫
2013年7月1日 初版発行/¥590+税





「やあ、はかどってるかい。ここで会うなんて、久しぶりだね、淑蓉」
「――親王殿下!」
聞き慣れた優しい声に、微かな笑いの気配が混じっている。反射的に顔を上げ、声の主を見つめた淑蓉は、思わずほっと息をついた。警戒する必要はない、淑蓉がここで本を読んでいても、この人なら咎めたりはしない。……正直に言えば、相対してまるで緊張しないというわけでもないのだが、とにかく他の誰よりも歓迎すべき相手なのは間違いない。
しかし、どうやら彼女は間違えたらしい。見上げた相手は軽く眉を顰めると、不満そうに頭を振る。
「そういう呼ばれ方は嬉しくないな。それとも、少し会わない間に、私の呼び方なんて忘れてしまった?」
「そ、そんなことはありません! えっと、その……」
――天黎様。
「お兄様……」


<ご紹介>
雨川恵さん初の中華風ラブファンタジー。 すがはら竜さんのカラーピンナップ付です。
新米官女、だけど「にせもの公主」でもある淑蓉の立場は、とても微妙。 生母が寵妃の位に登りつめたため、国主と血の繋がりはないのに後宮で育った変り種なのだ。 それでも慎ましく暮らしてきた淑蓉だけど、女性が嗜むべきではないとされる文学好きが高じて、周囲からの視線は厳しいまま。 実の妹のように可愛がってくれる天黎だけが唯一の理解者で、淑蓉は彼に妹と呼ばれるたびに感じる胸の疼きを持て余していた。 そんなある日、淑蓉のもとに「公主」として断れない縁談が舞い込んだ。 それを知った天黎は大激怒し、淑蓉が見たことのない険しい表情で、彼女を後宮から連れ去ってしまい――!?






<感想>
大好きな雨川さんの新作なので楽しみにしてました。 しかも初の中華風! あとがきを読むと「中華っぽいのは固有名詞が漢字なだけ」とありますが、いやファンタジーですし、充分雰囲気ありますから。 っていうか、じれじれなすれ違いと、愛情深いけどある意味一方的な恋心(笑)を書かせたら天下一品(だと私が勝手に思ってる)な雨川さんの本領が、これでもか!ってくらい発揮されてて、めちゃめちゃツボなお話でしたよ。 特に天黎のキャラはいっそ清々しいほどの二面性が面白くて魅力的でしたw サブタイトル通り、豹変、しましたねぇ(ニヤリ)。


さてヒロインの淑蓉ちゃん。 健気で一途な性格が、とっても可愛いです。 冒頭で幼少期のイラストがあるんですけど、これまた垂涎の可愛らしさで!!(りるさんはそろそろ本気で幼女愛がヤバイと思う…w) 周囲のキャラが濃すぎて目立たないんだけど、でも芯は強い娘さんだなぁと思います。 東園の宴で天黎が「近くに大きな牡丹があってみんなそれに気をとられてなかなか気付けない穴場」に淑蓉を誘うんですけど、その描写がそのまま淑蓉のことを言ってるみたいに感じられました。 天黎や美妃として名高い母のように大輪のごとく咲き誇る人に目が行きがちだけど、淑蓉はその横でひっそりと咲き誇る小さく可憐な一輪の花。 天黎がその穴場を好むのも、たぶん淑蓉を思い出すからなんじゃないかな、などと思いながら読んでました。 天黎さん、何てムッツリな…(えー!・笑)。 


で、天黎は完全な二面性キャラです。 淑蓉を想うあまりに、別人格でもいいから愛して欲しくて兄を演じるような人です。 良く言えば一粒で二度美味しくて、悪く言えば……愛が重いっていうね(笑)。 前半後半でキャラ違いすぎるだろ!と思うんですが、そこが楽しかったし、豹変した天黎を知りたいと思うようになる淑蓉ちゃんがやっぱり健気で可愛くて、ホント天黎には勿体ないっていうか何ていうか!(笑) 彼は弘くんと会話してるときがいちばん素っぽくて良いですね。 っていうか、弘くんがホント癒しでした。 よくよく思い返してみると、雨川作品にはこの手の直球な男の子っていない気がして新鮮です。 彼は私が天黎に対して感じたことを全て言ってくれました。 本当にありがとう! お陰でいろいろスッキリしました(笑)。 楽しめたのは、彼の存在が大きいと思います。


さて、そんなこんなでバタバタする人間関係ですが、タイトルに「後宮事情」とあるとおり、淑蓉は知らず知らず後宮内の不正や企てに巻き込まれていくことになります。 良いな、と思ったのは、淑蓉がただ巻き込まれているだけではなかったことでしょう。 作中では女性の学問は厭われてる設定になってますが、淑蓉はそれが出来たからこそ、自分なりの考えを導くことも出来ている。 国主と淑蓉の母との特殊な関係も「後宮事情」に含まれるし、淑蓉を中心にいろんな「事情」が描かれているので、読んでて楽しかったですね。 まぁでも今回はやっぱり天黎の豹変にみんなが(主に淑蓉と弘くんがw)巻き込まれてえー!?ってなる物語だったので、インパクト的にはそちらが大きいです。 そして私はそういうのが大好きなのでした。 あんまり出番なかったけど、太子様の政治や己の立場に対する潔癖さも好感度高かったです。


ただ個人的にちょっと驚いたのは、こ、このお話って続くんです…よね!?っていう疑問。 雨川さんだし、サブタイトル付いてるしで、てっきりシリーズものだと思ってたんですけど、何気に1冊で綺麗にまとまっているんですよ。 特に残ってる謎もないし、淑蓉と天黎の関係は落ち着いちゃったし、今回展開した「後宮事情」は解決しちゃったし。 ん?あれれ??お話どっちに進むの???っていうか、進んでくれるんですよね……!?と、多少取り乱しております(笑)。 まさかの1話完結ってことはないと思うので、タイトル的には新たな「後宮事情」が生まれると考えるのが妥当かな? 今回のように政治色を絡めるのか、それとも女の園的なドロドロが描かれるのか……いやいや後者はなさそうだし、そもそも天黎って太子ではないので淑蓉は後宮を取り仕切る立場にもならないわけですし、やっぱり一体どうなるの!?という疑問が残ります。 考えられるのは、国后が仰った「後宮の時間は止まっている」っていうことかな。 淑蓉と天黎が、止まってしまったその時間を進めるようなお話になると楽しいなぁと思います。 あとは女性は学問が出来ないっていう決まりを変えていくとか。 いずれにしろ、私が伏線を見落としてるだけならむしろ安心なので、ぜひ続いて淑蓉ちゃんを思いっきり愛でる天黎の姿を見せて欲しいです。 私も天黎と一緒に淑蓉ちゃんを愛でますから!(なぜ!・笑)




●雨川恵『アネットと秘密の指輪』シリーズ
アネットと秘密の指輪  お嬢様のおおせのままに (角川ビーンズ文庫)身寄りのなくなったアネットが、ひょんなことから伯爵令嬢だったことが判明し、伯爵家の執事・リチャードに恋をしたり、リチャードに令嬢にふさわしくなるべく厳しく躾けられたり、躾けきれなかったり(笑)、母の形見の指輪がイギリス王家を揺るがすものだったり、リチャードが実は…!?な事実にも負けず恋心を貫いたりするお話です。 感想はこちら⇒雨川恵『アネットと秘密の指輪 -お嬢様のおおせのままに』の感想


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