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穂積 『うせもの宿・1』 の感想

うせもの宿・1
『うせもの宿・1』



穂積


小学館フラワーコミックスα
2014年10月15日 初版第1刷発行/¥429+税





『 あれが――うせもの宿 です 』



<感想>
少女のような女将がいる古い宿。 案内人に連れられてそこを訪れる客は、失くしたものが必ず見つかるという。 不思議に満ちた「うせもの宿」の謎と秘密とは――!? 叙情の魔術師・穂積が贈る驚きと感動の和風ファンタジー。(裏表紙あらすじより)

何かと話題にのぼることが多い穂積さんの新作は、失せ物が必ず見つかるという宿を舞台にしたファンタジー。 客は、マツウラというちょっと謎めいた男性に連れられて宿を訪れるものの、 「女将さん」 として紹介された人物が少女にしか見えないことにまず驚き、宿の古めかしさに驚き、気付けば己がどうしても欲しかったものと対面することになり、最後には失くしたものを手に入れて宿を出る・・・という1話完結 (話によっては2話完結) の連作となっています。 一つ一つのエピソードを重ねるうちに、宿を訪れることができるのはどういう人物なのかが判明していったり、マツウラと女将さんの関係や、そもそも 「うせもの宿」 とは何なのか?という謎が深まっていく。 結果として1冊をとおしての「物語」となっており、相変わらず仕掛けというか構成が上手だなぁという印象でした。 あ、以下はネタバレ含みますのでご注意!






そもそもは、まず、表紙の 「色合い」 に惹かれました。 少しくすんだ桜色…というかセピア色…というか、何ともせつない色合いの表紙なのです。 気になって手に取ってから 「あ、穂積さんだ」 と気付いて納得。 すごく雰囲気のある表紙なので、帯もその雰囲気を生かした紙をチョイスしてあって良いんですけど、文言がとにかく穂積推し(笑)。 「あの穂積の最新作!」 「穂積作品100万部突破!」……みたいな感じで、マーケティングとして大切なんだと思うんですけど、せっかくの雰囲気がもったいない気がしないでもない。 表紙折り返しの作者紹介もだいぶ張り切って書かれてるので、正直こんなにプレッシャーかけなくても……と思いながら見てました(笑)。 それだけ編集部さんが自信持ってるってことだとは思います。


一話目だけだとちょっと雰囲気のある短編ね、ってな感じで終わっちゃうので、ぜひ1冊とおして読みたいところ。 事実私も二話目あたりでちょっと読み飽きた部分があったのですが、三話四話と進むうちに引き込まれていった感じ。 小説で連作ミステリなんかをよく読む人には、一話ごとの流れも全体としての謎掛けの仕方も、馴染みやすいんじゃないでしょうか。 一話目を読み終えたときに、「うせもの宿ってつまりこういうことだよね?」と考えたことが、四話ラストで明かされた事実と同じだったので、個人的には満足してます(笑)。 

従業員たちの立場も予想通りだったのですが、マツウラの存在が謎めいてますよねー。 宿に入れないということは、つまり生きているということ(あと、宿の人と客人には基本名前が出てこないので、名がある=正者で良い気がします)。 でも、「客」を連れてくることが出来る……生者は決して入れない、その境界線まで。 そしてどうやらそれは「マツウラが自分で決めたこと」らしい。 多分それは、客を連れてくれば女将さんに会うことが出来る(女将さんが拒めない状況を作れる)ってことだと思うのですが、それならどんな関係なんだよ!!ってことがまさに気になる(笑)。 わりとちゃんとシリアスな作品でそんなところばっかり気にしてすみません。 でも気になるんだ!!(開き直った!・笑)

少なくとも一話~四話のお客さんの姿は、生前の姿と一致しているので、女将さんも本当に少女だっていう可能性はあるんですけど、マツウラの接し方は少女向けじゃないし、あとたぶん、いつも羽織っている着物が成人女性用なことを考えると、あの姿が例外で、だからこそ女将さんってことなのかなぁ? マツウラの回想で女性と手をつなぐシーンがあるのであの人が女将さんと考える方が自然だけど、さて、どうなることか。 その辺は続刊で楽しみたいと思います。  では以下各話語り。


・『客人1・不機嫌な客』
どうでも良いですけど、女将さんが墨で書いたやつを見せたとき、「ランドルト環の出来損ない?」と思ってしまった私は大バカです(笑)。 指輪か・・・これ女子力必要かもしれませんw 日本人は特に働きすぎだと言われてるので、このお客さんみたいに頑張る方向が家族の求めるものとズレちゃうビジネスマンは普通にいそうな気がします。 そして我慢して我慢して最後に爆発しちゃった奥さんの立場の人も、きっとたくさんいるんだろうなぁ。 でもそれこそが五話で語られる「意味を求める、人間の愛しい性」なのかもしれません。

・『客人2・霜葉』
ちなみに「霜葉」とは、霜がおりて紅や黄色に変色した葉のことを言います。 気になるのは「ママがぼくのためにつくってくれた」と言われたときの女将さんの顔でしょうか。 子供の頭に手を伸ばす彼女もまた、もしかしたら過去に子供のために何かを作り、泣いていたら頭をなでて慰めたりしたのでしょうか・・・そんなことを考えながら読んでいました。


・『客人3・笠の雪』
ものすごく個人的なことを言わせて貰うと、帰る場所っていうのは既にあるのに確かめないといけないような場所なのでしょうか。 私はこの客人の言っている意味が分からなくて、ただ山が好きなんだ、って言ってくれた方が嬉しかった。 奥さんはたぶん、笑顔を見せつつも覚悟をして送り出していたんだろうなと思います。 そういう気持ちが、旦那さんに少しでも伝われば良かったな、と願うばかりでした。 お話としては「うせもの宿に訪れる客とはどういう人なのか」が明確に判明する回なので、客自身が己の異変に気付く展開は上手でした。

・『客人4・薄紅』
生徒と先生って関係性が大好物なので、読みながら泣ける泣ける。 冒頭1ページ目とかいちど言われてみたいセリフですよね!(同意を求めるな・笑)。 あと、「俺が頼んで代わってもらったんですよ」の生徒さんの表情が完全に恋する顔で、こんな風にまっすぐに求められる素敵な先生だったんだなぁとあそこで全部分かった感じです。 だからこそ、どれだけ自分が惹かれていても、生徒さんを拒んだんだろうな。 あと、「持っていきたい物が見つかる宿なのね」のコマで女将さんが複雑な表情を見せるのも印象的でした。 女将さんはこの宿で「持っていきたいもの」を、「見つからない」のか、「見つけない」のか・・・。 


・『客人5・迷い椿』 『客人6・帰り猫』
メインエピソードが一緒なのでこのくくりで。 五話冒頭で客人が宿に入ったときに女将さんが顔をしかめてマツウラを問い詰めようとしたのは、あの時点であの客人が生きていたから、ですよね(見つかったときは息をしていたと兄が話している)。 生者はくぐれない。 マツウラも、どれだけ女将さんに近づいても触れることが叶わない。 その一歩が大きな違いを踏み出す、宿の門……。 この描写があるだけで、六話で息子を拒む母の気持ちがとても強いことが分かるのでホント巧みだよなぁとしみじみしてしまいました。 実際、六話のシーンではマツウラと女将さんの複雑な表情も一緒に描かれています。 それまで「くぐらせればいい」と他人事だったマツウラでさえ、最後は息子を止める役割をする。 本当にこの人たちに何があったんだ、とちょっと余所見しちゃったんですけど(笑)、息子さんの叫びが痛々しくて、でもどこまでも本心なのが伝わってきて、もう本当にそれだけで十分なんだっていうお客さんの気持ちも伝わってきて、こっちまで号泣でした。 生きることにも、死ぬことにも、意味はない。 でも意味を求めたくなるのが人間で、でも突き詰めればやっぱり、「生きててくれれば良かったんだ」っていうのが真理な気がします。 ただずっとずっと、一緒にいたいだけなんですよね。 6人目のお客さんと、飼い猫のように……。




____関連作品Kindle版____






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