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西尾維新 『掟上今日子の備忘録』 の感想

掟上今日子の備忘録
『掟上今日子の備忘録』



西尾維新


講談社BOXピース
2014年10月14日 第1刷発行/¥1250+税




掟上今日子。
彼女の標語は――『忘却』である。



<感想>
掟上今日子――またの名を、忘却探偵。 すべてを一日で忘れる彼女は、事件を(ほぼ)即日解決! あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介は今日も叫ぶ。 「探偵を呼ばせてください――!!」
スピーディーな展開と、忘却の儚さ。 果たして今日子さんは、事件の概要を忘れる前に解決できるのか? (初版版帯より)


というわけで、西尾維新は久々に読みました。 何度もいいますが、りるさんは『新本格魔法少女りすか』の続きを熱望してますので!(一応アピールw) でもたぶん文芸誌『ファウスト』の最終巻までおあずけなんだろうなぁ・・・。

それはともかく。 新シリーズは『忘却探偵』掟上今日子(おきてがみ・きょうこ)さんと、最強の巻き込まれ脇役キャラ・隠館厄介(かくしだて・やくすけ)との連作短編集でした。 西尾維新初となる電子書籍版同時発売だったり、講談社さんが専用サイトを作ったり(MOVIEや厄介くんのビジュアルが観れたりしちゃいますよ!)と、何かと気合を感じさせてくれます。 表紙イラストは『物語シリーズ』でもタッグを組んだVOFANさん。 表紙の今日子さんからは、一度目が合ったら視線を外せないような可愛らしさと不安定さが感じられてドキっとしました。 やばい、これは買っちゃう(笑)。  でも可愛いから良いのです!





さて。 帯には「今日子さんには、今日しかない」という魅力的なコピーがついていますが(というか作中の一文なんですけど)、そもそも忘却探偵とは何ぞや?というと、文字通り、今日子さんの記憶が一日しか保てないがゆえのネーミングだったりします。 厳密には一日というよりも、眠ると記憶がリセットされてしまうんですね。 なので眠らなければ日付をまたいでも覚えてますが、寝てしまえば同じ一日のうちでも忘れてしまいます。 そのため、今日子さんは起きているうちに事件を解決しなければならない、ある意味「最速の探偵」でもあるわけです。 この設定がまず凄い。

一方の隠館厄介は、常日頃から難事件や凶悪犯罪に巻き込まれ、至って善良な一市民であるにもかかわらず何故か「必ず」犯人扱いされてしまう……というまさに厄介(やっかい)な人、だったりします。 おかげで彼の携帯は過去にお世話になった探偵たちの連絡先で埋まっているというせつなさ弾けるキャラクターです。 当然今日子さんとも過去の事件で出会ったわけで、厄介自身は彼女のことがちょっとだけ気になったりしてるんですけど、何しろ今日子さんは忘れちゃいますから。 覚えてないですから。 加えて厄介くん自身が控えめな性格なので、二人が出会っても進展するのは事件だけで人間関係は一向に深まらず……というそこはかとないラブコメ色もあり、なかなかに好みの設定でした。

登場人物はこの二人がメインで、サブとして紺藤さんという編集者さんが控えている感じ。 あとは事件に関わる人がわずかに登場するような、西尾維新にしてはひじょーにコンパクトな人間関係で構成された作品で、正直驚きました。 だって『戯言シリーズ』で捨て駒のようにキャラを登場させていたのが嘘のように、シンプルな構成なんだもの! いやあれはあれで新しかったし楽しかったし個人的には巫女子ちゃんが大好きなのですが(笑)、前と同じことをしないという意味では本作もとても新しい。 厄介くんの一人称で語られる文体がなめらかで読みやすいことと併せて、西尾維新初心者向けな作品なのではないでしょうか。 って、私も全部読んでるわけじゃないけどさ(ごめんなさいー!)。


最初に連作短編だと書きましたが、この1巻に収録されたのは全部で5話。 まず1話目は盗まれたSDカードを探し出すという、わりとオーソドックスというか「えぇぇこれ西尾維新!?」とこれまたちょっと戸惑う雰囲気のお話。 次に「おまえの100万円は預かった。返して欲しければ1億円用意しろ」というわけの分からない要求と、それに応じようとするこれまたわけの分からない被害者の謎にせまる、ある意味「らしい」第2話。 3~5話目では、ひとりの小説家の死の謎を様々な角度から描き出しつつ今日子さんと厄介の人間性を掘り下げていき、そして全体を通して、今日子さんというとても危うい存在を描き出す物語として構成されています。 

特に重要なのはやはり5話目。 厄介が「天井のメッセージ」に気付いた瞬間は、それまでの平和なテンションが覆って、物語が一気に謎めいた瞬間でもありました。 探偵物語として提示される様々な謎もたしかに魅力的だったけど、彼女以上に謎めいたものはありません。 そうか、これは探偵小説として謎を語るものではなく、「探偵」を紐解く物語だったのか。 つまりこの1巻というのは、「掟上今日子という存在そのものについての謎のプロローグ」なのか。 ……そう気付いたとき、それまで淡々と読み進めてきたのが嘘のように体温が上がった気がしました。 

たった二行の「置手紙」で探偵であることを定められた今日子さんと、常に巻きこまれ被害者となる厄介くん。 どちらも己が決めたことではなく、気付いたときには他者によってそう設定されていた厄介なアイデンティティを抱えているのに、その犯人を捜そうとする今日子さんと、どこか受け入れてしまっている厄介くん。 似ているようで似ていない、でもやっぱり似ているのかもしれなくて、そんな曖昧な境界線上に立つ二人が一気に愛しくなった瞬間でもあります。 小説家の須永が一生を賭して脇役を主役として描きつづけたように、何を中心に捉えるのかはその人次第。 今日子さんと厄介くんも、己の中心に何を据えるのかを決める日が来るのかな。 その辺を楽しみに、次巻を待ちたいと思います。 ……まぁでもいろいろ書いたけど、個人的最大の楽しみはやっぱり、二人のラブコメ展開なんですけどね!(笑) 厄介くんは、裸、見せちゃったのでしょうか……(そこ?・笑)。




------- Kindle版だと1080円です --------
掟上今日子の備忘録

掟上今日子の備忘録
posted with amazlet at 14.10.29
講談社 (2014-10-15)



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