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森博嗣 『ムカシ×ムカシ』 の感想

ムカシ×ムカシ
『ムカシ×ムカシ』



森博嗣


講談社ノベルス
2014年6月4日 第1刷発行/¥1000+税





「河童じゃないよ」真鍋は言った。
「どうして?」
「河童は、この世に存在しないから」
「うん、でも、被害者がどう思っているかは、別問題でしょう?」


<ご紹介>
Xシリーズ第4弾。 
「やっぱり、河童の祟りですか?」 大正期、女流作家の百目一葉を世に出した旧家・百目鬼家。 当主の悦造・多喜夫妻が、広大な敷地に建つ屋敷で刺殺された。 残された美術品の鑑定と所蔵品リストの作成依頼がSYアート&リサーチに持ち込まれる。 河童が出ると言う言い伝えがある井戸から、新たな死体が発見され、事件は、異様な連続殺人の様相を呈し始めるのだった。 百目鬼一族を襲う悲劇の辿りつく先は? (ノベルス裏表紙あらすじより)


<感想>
うわぁ気付いたら第5弾の『サイタ×サイタ』が発売しちゃったじゃないですか!!・・・と、慌てて読み始めた『ムカシ×ムカシ』です。 というわけで久々のミステリ感想です。 副題の「Reminiscence」は、回想・追憶・・・などの意味。 なるほどなるほど。 そして読了してから表紙を見ると、もうホント結局そこですよね!?と意味深さ。 毎度素晴らしいですよね! そして以下はネタバレ注意ですー。





これもいつも思うけど、Xシリーズは小川さんと真鍋くんの掛け合いトークが楽しくいので、読んでいても気が楽・・・っていう表現は変ですが、すごく親しみやすい感じがします。 作品にも人柄ならぬ本柄があるとすれば、小川さんの人の好さが全面的に出ている。 それなのに、そのほんわかムードのすぐ横で、椙田さんがミステリアスワールドを展開しているっていうバランス感がもう堪らない! 何というかこの絶妙に相容れない雰囲気に、猫に鰹節的に飛びつきたくなってしまいます。 今回も楽しく読めました。


とは言ったものの、分野がミステリだからといって「いわゆる探偵小説」としての楽しみを期待すると肩透かしを食らうのも相変わらずです。 旧家で起こる連続殺人事件、しかも莫大な遺産が絡むとなれば、ちょっとエキセントリックな探偵が登場して捜査して推理して最後に「おまえが犯人だ!」的なイベントが発生するモノですが、そこは森博嗣なので。 Xシリーズですので。 イベント発生はありません。 そういうのが欲しい人には向かない作家さんだしシリーズだと個人的には思っています。 実際、犯人が特定された「科学的証拠」だって結局明言されていないので考えるしかないですからね。 探偵が「これが動機です。それが証拠です」みたいに派手に披露してくれるのも大好きですけど、そうではないからこその味わいがあって良かったです。 真鍋の推理があって、小川さんの人情があるからこそ、ですもんね。


さて、久々に主要メンバーが追加された本作。 実は永田さんのことをまったく覚えていなかったので、いっそのこと!と思い立って『イナイ×イナイ』から読み返しました。 続けて読んでまた実感したけど、やっぱりこのシリーズ大好きです(笑)。 えーと今回は特に、永田さんと真鍋の推理合戦・・・というか永田さんの一方的な侵略に真鍋が必死で防戦するトークが新鮮でした(笑)。 小川さんと真鍋だと、たとえば今回の「ぶすになるべからず~」を真鍋が解いたときのように、どことなく思考回路に親和できるというかお互いの思考を尊重できる部分があるんだけど、真鍋と永田さんだと、わりと真っ向勝負になるから面白い。 常に一歩引いている真鍋が自分のことで必死になるってあまりなかったのですしね。 永田さんが真鍋に侵略を仕掛ける理由がまだ明確ではないけど、小川さんが椙田とくっつくことで安心、みたいに話してたから真鍋に好意があるってことで良いのかなぁ?などなど、今までにはない深読みもできてラブコメ脳も満足でした。


一方で、小川さんの人の好さが今まで以上に爆発したお話でもあったと思います。 今でも鮮やかに思い出しちゃうくらい、一柳さんのこと好きだったんだなぁとか。 犯人のこと、全然疑ってなかったんだなぁとか。 どうも椙田に一柳さんを投影してる気持ちは大きいみたいだけど、それだけじゃないんだろうなぁとか。 椙田が「危険な部分っていうのが誰にもあって、そこをちょっと見てしまうんだ」と言っていたことと、真鍋が「とにかくやさしい」と思っていること、これはたぶん根っこが同じなんだと思うのです。 要するに小川さんは人間に興味があるから親身になるし、小川さんも興味を抱かせるような人間なので、相手は何となく隙を見せちゃうんだろうなって。 でもそれ以上に小川さんは人情が絡むとわりと隙だらけなので、そこを狙われちゃうんだろうなって。 今回のラストも犯人とふたりきりになるシーンは本当に無防備だったので、読みながら「いやいや小川さん、その人めっちゃ怪しいですから!今なにか試されてますから!!」と心配しきりでした(笑)。 結果何事もなくて良かったんですけど。


謎の解決については相変わらず真鍋が大活躍で。 彼が以前椙田に「脳内のバッファが足りない」と評されたように、考えながら喋っていることがほぼ正解、といういつものパターンでした。 私はじゅうぶん真鍋は凄いと思うのだけどなぁ。 被害者が頭に皿を乗せていた理由を「(犯人は河童だというメッセージが)わかる人がいるんです。その人に残したメッセージなんですから」と言ってて、最初はよく分からなかったんだけど、要するに百目鬼家では「河童=百目一葉」なんだと気付いてなるほどって。 実際に河童の絵もあるし、「河童の日記」といえば百目一葉の日記だったし。 百目一葉が存在しない今では「一葉」の部分をひっかけたダイイング・メッセージだったわけですよね。 それまでもずっと一葉さんはアヤシかったけど、そこで私も気付けたから、前述したとおり小川さんの無防備っぷりがホント心配でした。 でも、一族皆殺しの理由がアイデンティティの崩壊だというのは真鍋の推理が及ばないところというか、一葉さんの心に寄り添った小川さんだから気付けた秘密なのだと思います。 


それにしても! ラストの椙田とアキラさんのシーンにいろんな意味でドキドキしました! えーと、あのアキラさんで良いんですよね?(どの?・笑) この二人は妙に色っぽいし、椙田さんはこのために小川さんを雇ったんだろうなぁということがバレバレなくらいに、今回ゴッホ関連しか働いてませんもんね(要するに美味しいトコ取りならぬ危ないトコ取り)。 そして危ないトコ取ってるから危険な人も寄ってくるっていう・・・10万ドルのものあっさり強請れるって凄いな・・・。 「一つだけ教えて欲しいな」「一つだけ教えてあげるわ」から始まる2行のセリフがきっちり同じ文字数で美しいのと同時に、内容の恐ろしさに思わず震えました。 天才、といえばあの人、ですよね。 そして、それなりに危ない橋を渡っている椙田のことさえあっさり消せるくらいの影響力がまだある、ってことですよね。 Xシリーズではあの人の存在が明確に描かれたことは今までなかったので、遂に来たか、という印象でした。 これ、次の『サイタ×サイタ』に引き継がれるのかなぁ? 気になるけど、すでに手元にあるからすぐ読めるのだ(笑)。 確かめて来ますー。




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