佑羽栞 『黒猫と侯爵の従者』 の感想

黒猫と侯爵の従者
『黒猫と侯爵の従者』


佑羽栞
(構成協力:蔦森結)


白泉社花とゆめコミックス
2015年4月25日 第1刷発行/¥429+税





『大切なものが正攻法で取り戻せないというのなら
盗み返すのだって 正義だ』


<感想>
大好きな養父を殺され、大切にしていたネックレスまでもを奪われてしまった孤児のキティ。 パーツに分解されて売り飛ばされたネックレスを集めるために貴族の屋敷に忍び込むうちに、英国をにぎわす怪盗キャットテイルとして名を馳せる(?)ことに。 やっとのことで最後のパーツを手に入れたのに、逃走途中で名家・クロフォード家の従者に捕らわれてしまう。 それだけでも最悪なのに、ルカと名乗ったその従者は、彼の大切な主・アレクシスのためにとある宝石を盗み返せばキャットテイルを見逃してやると高圧的に持ちかけてきて――!?





というわけで、りるさんの大好物である怪盗モノでございます。 怪盗モノの何がそんなに素敵なのかは、「風羽洸海 『私情により捕まえます!』 の感想」をご覧いただければクドいくらい分かるので省略しますが(クドいのか・笑)、この作品は早々に怪盗の正体がバレるところから始まるのでまたちょっと趣が違うかもしれません。 でも良いですよねぇ、見目かわいらしい女の子が猫耳黒マント(至福っ!)姿で颯爽と飛び回るとか! 右太もものガンホルダーとか! 快活で機敏な女の子も好みなので、キティちゃんは本当に理想の怪盗ヒロイン(何だそれ・笑)でした♪


キティは大切な祖父の遺品であるネックレスを、そしてルカはクロフォード家に受け継がれる「白雪の接吻」という宝石を取り戻したくて、そして年下当主アレクシスはそんな二人を守りたくて、共闘しつつもドタバタするラブコメディでした。 ルカがキティを捕えるシーンとか、大の大人がいたいけな少女に手を出したみたいでちょっと萌えますよねw(問題発言!・笑)。 いやだって、「ごめん爺ちゃん…」って涙する怪盗を放っておかないって、思惑があったとはいえ素敵だなぁって。 というか、涙する彼女を信じてみたいと思ったからこそ、ルカがあの作戦を考え付いたんだろうなって思うんです。 そもそもルカ自身がアレクシスに拾われているわけだし、いろんな経緯を鑑みても唯一の出会いだったと思いました。 ふたりとも黒が似合うので、メイドさんの目を欺くためとはいえ抱き合うシーンは綺麗だったなー☆


綺麗といえば、第2話でキティがルカの傷に触れようとするシーンが綺麗で好きです。 絵も綺麗ですけどそれよりも、相手の傷に触れようとするキティの覚悟と、自分を受け入れてもらうために傷をさらすルカの覚悟が、綺麗だと思ったのです。 1話では強引になされた紙切れとしての契約が、心からの契約になったのが嬉しかった。 1冊を通していちばん好きなシーンだったりします。 キティの毅然とした目がとても綺麗で、この段階でルカさんけっこう絆されてますよね!?とニヤニヤしちゃいました(笑)。
 

ただニヤニヤ度で言えば、もっと絆され感があっても良かったかなーって。 3話のキティとアレクを救出したシーンでも、ルカが彼女を放っておけないと感じた描写はあったんだけど、もうちょっと押してくれないと4話の「なんであんなに本気になって来てくれたの?」に対する答えが弱いなぁって。 気付けよ!ってルカがぷんすかしてるの可愛かったけど、正直「え、いつの間にそこまで好きだったの?」とちょっと驚いちゃいました。 キティちゃんが本気でときめいちゃうくらいの描写がなかったので、これじゃ伝わらないのかなって。 激烈に鈍そうですし(笑)。 そこがちょっと残念だったかなー。 これは他の部分でも言えるんだけど、たとえばルカとアレクの出会いとか、あともうちょっとエピソード足してくれるだけでもっと深くなったかなって。 ストーリー展開が早すぎて欲しいところに手が届かないような部分が微妙にあって、全体的にちょっと勿体ない・・・。 まぁ絵が綺麗なので補完できちゃうんですけどね☆


キティは祖父を殺されたという思い過去があるし、ルカはそんなキティを脅して盗ませようとするわけだし、実は根っこの部分ってけっこう重い。 ただ、キティとルカの会話は傍から見るとすごく相性良さそうで、その掛け合いで根底の重さを感じさせないのは上手だな、と思いました。 それってたぶん、彼らが本当に取り戻したいのは宝石という「物」ではなく、宝石にまつわる「想い」だから、なんですよね。 キティにしてみれば祖父との思い出だし、ルカにしてみればアレクシスが正当な当主であるという証こそが、本当に欲しいもの。 でも、そんな風に誰かのことを思っているばかりいる相手のことを、少しだけ心配もしていて…という距離感までもがちょっと似ている。 私の目にはキティとルカはとても近い人間に見えました。 これを俗に、お似合い、と言います(笑)。 


そしてそんな二人が守りたいものを、一番年少であるはずのアレクシスが当主という立場で守ろうとする――この構図がとても良かったです。 当記事の最初に引用したとおり、キティにしてみれば「盗み返すのだって正義」だし、ルカも思考としてはそこに近い。 でもアレクだけは、日陰な仕事を負ってくれたふたりのために、大叔父のまえに正々堂々と姿をさらす。 信じてくれるルカとキティのために、負うべき義務を果たす「ノブレス・オブリージュ」を体現しようとする。 「家族」としてキティとルカを守ろうとするのが本当に恰好良くて、個人的にはキティはアレクと付き合えばいいのに!と思いますけど(ごめんねルカ・笑)、少なくともアレクはルカの気持ちに気付いているし、ルカを押しのけてまでキティを手に入れようとは現時点では考えてなさそう。 なので、裏表紙にある「三角関係ラブストーリー」は間違いです(なんでそんな煽り方をしようとしたのか…編集さん?)。 描き下ろしの『黒猫の約束』にあるとおり、「いつ気付くのか」を見守る距離感のまま、ずっと一緒にいる関係なんじゃないかなって思います。 その分、ルカには頑張ってもらって少しでも早くキティに気付いてもらえる日を用意して欲しいものです。 それぞれが失った家族の絆を、それぞれが取り戻せたことを考えると、キティ達が本当に盗み返せたのは、そんな「幸せ」の日々だったのかもしれないですね。





Loading...
Secret

☆Web拍手ボタン

押して頂くとりるがハリキリます(笑)

☆カテゴリ

☆サブカテゴリ (タグ)

 

☆最新コメント

☆リンク(おすすめサイト様)

☆アクセスカウンタ

QRコード

QRコード

RSSリンクの表示

アクセス解析

関連記事Loader

[猫カフェ]futaha

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

☆検索フォーム

☆購読予定一覧

☆アニメDVDの人気ランキング

☆更新日カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

03月 | 2017年04月 | 05月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -


☆オススメ