こうち楓 『LOVE SO LIFE ・16』 の感想

LOVE SO LIFE・16
『LOVE SO LIFE・16』



こうち楓


白泉社花とゆめコミックス
2015年5月25日 第1刷発行/¥429+税





『 それが 今日で最後だったとしても―― 』


<感想>
苦労は買ってでもしろ、というのは実はわりと酷だと思うのですが、それにしたって私はあまりにも苦労知らずに生きてきた自覚があるので、人の痛みに敏くありたいと思うのに、そうなれない現実があったりします。 優しい人はたいてい悲しいことを乗り越えた人だけれど、もし私が辛い現実に遭遇したときに、その人たちのように壁を越えることが出来るのか、人に優しくなれるのだろうかと不安だったので、『LOVE SO LIFE』16巻はとても身につまされました。 ずっと、大切なはずの双子を悲しませた松永兄(耕一さん)のことを掴みかねていたのですが、何のことはない、私と同じで壁を乗り越える前に立ち竦んでしまった人なんですよね。 そう思ったら、なんだか妙に腑に落ちました。 もちろん育児放棄に対する善悪とは問題が別。 ただ、歩み寄れない感情ではないんだな、ということに気付いたという、それだけの話です。 でも、「それだけ」を感じとるまでに16巻かかりました。 きっと詩春ちゃんなら、もっと前から気付いていたような気がします。 人の心の痛みに敏感な子なので。





というわけで16巻です。 作者さんいわく「お話のラスボス」である耕一さんが帰ってきまして、一気に物語が別れに向かって動き出したお話でした。 それと同時に彼が「壁を乗り越えようとする」お話にもなっていて、別れを描いているにもかかわらずどこか前向きで、むしろしなやかな優しさまで伝わってくる素敵な展開でした。 この作品独特の柔らかい絵柄と、人に対する温かい視線がやさしい目線が相変わらず心地よくて、あぁホントに大好きだなと再確認。 表紙イラストも大好きです。 帯に 「もう一度ちゃんとパパになります」 ってあるんですけど、耕一さんがまごうことなくパパの顔をしていて嬉しくなりました。 そして表紙をめくった折り返し部分には詩春ちゃんと葵くんのセクシー寝姿ショットが!(笑) 詩春ちゃんのこんなに可愛らしい恰好をみたら、松永さん(弟です)が鼻血をだすんじゃないかとひやひやしたんですけど、一方でりるさんは可愛らしい葵くんにメロメロでした。 お尻のクマさんが犯罪級に似合って愛でまくりましたよ(笑)。 幸せです。


読んでいていちばん感じたことは、「赦されるってこういうことなのかな」 ということでした。 今って結構厳しくて、何か間違えたときにすぐに自己責任を追及されたり、訴えるぞって言われたり。 別にそれが悪いわけではなくて、その方が正しくて良い時もあるのは間違いないと思うんですけど、でも、赦されることで救われて、そこから芽吹いていくものだってあるんだろうな、とも思うのです。 本当に赦しが存在しないほどの過ちって、どのくらいあるものなのでしょうか。 ・・・もしかしたら、ものすごくたくさんあるのかもしれない。 でも、あとほんの少しでも赦しがあることで、もっと違う道が開けることもあるかもしれなくて、今回の耕一さんに対する周囲の対応は、まさにそれなんじゃないかと思いました。 

二年間の苦労を顧みもせず、こぶし一つと「おかえり」の言葉で迎え入れた松永さんみたいに。 子供を放り出して隠遁した娘婿に、「良い弟さんがいてくれてよかったわね」と微笑んだ義母みたいに。 そばにいるお子さんをぎゅーっとしないと後悔しますよ!と励ます詩春ちゃんみたいに。 そして、パパって呼んだ、双子ちゃんみたいに。

耕一さんと、彼を取り巻く人たちとの久々の対面は、私が想像していた以上に温かくてやさしくて、こんな赦しが現実にもあったら良いのにって思わず泣きそうになるくらいでした。 本当はもっと言いたいこともあるだろうに、そういうのをいったん呑み込んで笑顔で迎えいれた人たちの懐の広さと比べると、ふだんの自分の狭量さが恥ずかしくなります。 マンガだから綺麗ごとを描いてるだけだって言うのは簡単だけど、私はそんなことよりも、この人たちのようにもっと人にやさしくなりたいって本気で思いました。 たぶん、耕一さんも同じだと思うのです。 何度も頭を下げながら言葉を紡ぐ姿は誠実で、周囲の人たちに受け入れてもらったことへの感謝のように感じられました。 彼はたぶん二度と同じ間違いはしないだろうし、しないための努力を惜しまないでしょう。 その姿こそ、周囲の人の温かさが育んだものだと思うのです。 とても肥沃な「家族」、でした。


・・・ラブコメの話をしましょうっ(←いろいろ台無しです・笑)。 今回も楽しませていただきました。 物語の流れ的にふだんより少なめだったし、そもそも裏表紙のあらすじでも 「詩春と双子のハートフルDAYS」 と称されているように、詩春ちゃんの相手役である松永さんのポジションって、基本三番手なんですよね。 実際私もこの作品にはハートフルさを求めているわけですが、それでもやっぱり詩春ちゃんの恋の行方だって気になるってものです。 15巻では、おそらく少女マンガの相手役史上(・・・そんなのあるの?)稀にみるほど重い告白をした松永さんですが(重いって言うな・笑)、そのおかげか93話で詩春ちゃんが今まで以上に赤面している様子が可愛いし、しかも「心まで温めてくれる大切な存在」とまで!! 良かったね松永さん!と私涙目でした(笑)。 お泊りのことを伝えたときの詩春ちゃんの反応があんなに可愛かったのに、一瞬で本能に鍵をかけて理性を勝たせた松永さんは本当にえらいです。 


何ていうか、恋愛に対する詩春ちゃんの感じ方って、やっぱり松永さんと似ている気がするんですよね。 世の中にはいろんな恋の形があるだろうけど、詩春ちゃんと松永さんって恋の刺激よりも「温かさ」とか「穏やかさ」みたいなものを求めているのかなって。 15巻で松永さんも言っているように、恋と同時に家族みたいな愛情もある関係を、詩春ちゃんも欲しがっているような気がするのです。 そういう意味では本当にお似合いで、やっぱり直くんじゃないのかなって(ゴメン・笑)。 ラストシーンで「手をつないで家に帰る こんなに幸せなことってない」って感じたときの詩春ちゃんの笑顔は本当にひだまりみたいな温かさで、こちらの気持ちまでほっこりするほどでした。 いつも人のことを気にしてしまう詩春ちゃんが、自分の幸せをかみしめているのが我が事のように嬉しかったです。

でもでもですよ! 個人的に私、松永さんのいちばんのライバルは他の誰でもない、葵くんだと思うんですけどいかがでしょうか!(笑)。  15巻で詩春ちゃんに夕日をプレゼントしようとする葵くんに男気を感じたのですが、16巻でも大好きなおばあちゃんより詩春ちゃんを選んだり、泊りにくるって聞いただけで爆発しそうになったりと、「慕っている」を越えるレベルで大好きなんだと思うんです。 もちろん茜ちゃんだって詩春ちゃんが好きなわけだし、詩春ちゃんLOVEっていうのは松永家のDNAに刻まれているじゃないかと思うくらい強力です(笑)。  『花とゆめ』本誌の方では最終章(?)がスタートしたっぽくて、双子ちゃんが小学生になっているようですが(花ゆめ表紙をみての推測です。違ったらごめんなさいっ)、そうなると詩春ちゃんと松永さんの関係が気になるし、もっといえば双子ちゃんと耕一さんと祖父母さんたちを含めた「家族」がどうなっているのかも興味深々。 彼らが出した答えがどんな未来に繋がっているのか・・・今から楽しみです。




●16巻と同時発売でした
小説・LOVE SO LIFE 桜の花の咲く頃に (花とゆめCOMICS)
望月柚枝
白泉社 (2015-05-20)
売り上げランキング: 1,816




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