弓きいろ 『私が欲しい氷の男』 の感想

私が欲しい氷の男
『私が欲しい氷の男』



弓きいろ


白泉社花とゆめコミックス
2015年6月10日 第1刷発行/¥429+税





『 冷たい目をした 誰より優しいあなたが欲しい 』


<ご紹介>
『AneLaLa』に掲載された表題作『私が欲しい氷の男』、先生視点の『私を欲する炎の女』、単独読み切りの『ジャーナル☆革命』『蝕の華』を収録した短編集。 弓きいろさんは2015年6月期、『図書館戦争LOVE&WAR』と2冊同時発売でした。
思い込んだら一直線!な女子高生・森下みほ、通称「炎の女」は、冷静沈着で常に氷点下のクールさを誇る「氷の男」西堀先生に絶賛片想い中。 熱い想いを分かってもらいたくて、校内どころか授業中でも先生に告白しつづけているけれど、フラれた回数もよゆうで50回をオーバーする撃沈ぶり。 たとえ今すぐ振り向いてもらえなくても、氷のような先生の心を少しでも溶かせたら・・・そんな思いで告白を続けるみほだけど、体調を崩した先生のお見舞いに行った数日後、みほと先生の日常は急転を迎える――。 炎の女VS氷の男、恋の熱量で勝つのは果たして!?


<感想>
若気の至りという言葉がありますが、自らの過去を思い出して顔から火が出る思いをすることって多々あります。 ついこの前も食器を洗っているときに唐突に己の振る舞いを思いだしちゃって、 「なぁぁんであの時あんな生意気なこと言ったかなっ!?」 と動揺してお皿を落として割ってしまいました (←それはまた違う問題が・・・笑)。 上手く生きるには経験値が必要で、私だって少しずつ学びながら生きている・・・はずだと信じたい。 いつかは 「若気」 な時期が終わって、立派な 「大人」 になれるんだって信じたい。 ・・・でもちょっと待って。 それって全部若さのせいなの? たとえば今また同じ場面に遭遇したら、私はどんな選択をするの・・・? ――と考えることがたまにあります。  『私が欲しい氷の男』 を読んだあとも、そのことをすごく考えました。





表題作は何となくタイトルからも想像できる通り、大好きな西堀先生に対してだけ肉食女子と化すヒロイン・みほちゃんが、鉄壁の無表情を誇る先生に対して猛烈に求愛するお話です。 作者さんいわく 「攻め女子」 なみほちゃんの造形が、もしかしたら好みの分かれるところかもしれないなーという印象を受けるけれど、私は好きだなー。 だって、 「可愛いと思えれば女子はみんな好き」 っていう作者さんのお言葉はまさに至言だと思うから。 授業中にまで告白するとか行き過ぎたところは本気で迷惑だけど(笑)、キリっとした目で先生に突進していく姿なんてウリ坊みたいですっごく可愛いと思うのです (←褒めてます・笑)。


何しろ思い込んだら一直線すぎて他が目に入らない娘さんなので、たびたび失敗します。 西堀先生を好きになったのだって、元々は彼女の失敗を先生が咎めたことがきっかけ。 私がみほちゃんを好きだなって思うのは、やらかした己の失態からのリカバリーが逞しすぎるからです。 失敗を直視するのって、すごく勇気が要る。 特に西堀先生の指摘は正論だからこそより痛くて、受け止めるにはより大きな勇気が要ると思うんです。 ――でも、みほちゃんは受け入れたから。  「言葉も出なかった」 って、先生の言葉を飲み込んだから。 正しいのは自分じゃなくって相手の方だって、認めた上で恋に落ちる度量があるから。 そういう彼女を好きだなって思うし、友達に土下座してでも許してもらいたいって思えるところがもっと好きだなって思う。 面倒くさいひとには変わりないけど(笑)、良い子だなぁって思うのです。


でも結局、人って何度も失敗するんですよね。 先生に救われた彼女が先生を好きになって、ただ好きだって伝えたくて好きになって欲しかった・・・それだけなのに、彼女のしたことは結果として先生の人生を左右するほど大きなものになってしまう。 今回のことは自分が悪い、というみほちゃんに対して、女性教師が 「1年前から今までのあなたの言動が原因です!」 と事実を突きつけるシーンがすごく好きで。 いや事実だからぞっとするほど怖いんですけど、でもこれって大人だから言える正しさだよなって思うのです。 1年前、みほちゃんを叱った西堀先生にような圧倒的な正しさが心地よい。 今どころか1年間ずっと失敗し続けてるような生徒を、庇うのも叱るのも大人の役目で、その事実を 「子供」 であるみほちゃんが苦しみながら受け入れるのがすごいと思いました。 そこから8年かけてのリカバリーも見事です。 私はこんな素直な 「子供」 だったかな。 こんな風に子供を導ける 「大人」 になっているのかな。 真正面からぶつかることって怖いけど、痛いけど、失うものも大きいけど、でも、得るものも大きいんだなぁってしみじみ思いました。 


結果として暴走を繰り返したみほちゃんですが、では彼女の恋ゆえの暴挙は若気の至りで済む話だったのか・・・といえば、私はNOだと思うのです。 先生の退職を知った夜、泣いて反省して絶望したみほちゃんが感じたのは、 「それでも、どうしようもなく先生が欲しい」 でした。 つまり・・・おそらく彼女は、先生を得るために何度でも同じ失敗をするんだと思います、良い意味でも悪い意味でも。 若さゆえではなく、先生を欲しいっていう気持ちゆえで、先生を求めて失敗するんだと思うのです。 ・・・そう思ったら、もうなんかすごく愛おしくてダメでした。 それも良いなって。 きっと正解はなくって、今回だって先生が受け入れていたから許されるだけであって、決して認めてはいけないんだろうけど・・・それでも、先生の氷を溶かしたのは間違いないから。 お互いが幸せになる布石だったのなら、若気の至りも良いものだよなって思うのです。 いいじゃないですかラブアンドピース。 いろんなことを考えさせつつ、ベタな結末を迎えるなんて素敵です。 そういう意味ではラストの甘さも含めて理想的。 先生が何度眼鏡を抑えたのか数えたくなりましたけど、名誉のために止めて置きますね(笑)。


●『私を欲する炎の女』
タイトルから察せられるとおり、恋人になってからの先生視点でのお話です。 先生がひたすら甘い!(笑) 氷の鉄面皮がみほちゃんの炎でどんどん溶けていってる様子が可愛くて仕方ないです。 二人の関係が 「子供と大人」 ではなく 「女と男」 になっているので、若気の至りがどうこうとか考えなくて済む(笑)、まるでご褒美みたいな作品です。 あと、先生は前髪を下すべきだと強く主張したいところです(笑)。 


●『ジャーナル☆革命』
表題作について長々と語っておいてなんですけど、1冊のなかで一番好きなお話はこれだったりします (えー!・笑)。 ダメなんです、弱いんですよ、さらっと気障なセリフをいっちゃう男の人が面白くて (←褒め言葉・笑)、すっごくツボなんです―――!!(笑) 乙女ゲームにハマる気持ちも分かるし、こうやって一人のストーリーを作り上げてくれるんだなっていうのも分かって嬉しかったし、恋愛下手で眼鏡のにあう靖子さんカワイイし、必死で涼しい顔を作る三村さん楽しいし好感度高いしで、めちゃめちゃ萌えました!  「好かれるよう努力するよ」 っていう言葉を裏切らず、いろんな努力をしているのが微笑ましくて心が温かくなります。 外見を変えたのも良い上司になろうとしたのも恋の打算ゆえ、って言っちゃえばそこまでだけど、そうさせたいくらいの恋なんだって思うとときめきが止まりませんっ。 にわかイケメンがどこまで乙女ゲームを参考にしてるのかは分からないけれど、靖子さんの心を溶かした 「好きになってよ」 だけは、彼の本気の本心だから届いたんじゃないのかなって思います。 だって絶対、本心だもん!! この二人、基本的に尽くすことが苦にならないタイプって意味でも似た者同士でお似合いですよね。 お幸せに☆


●『蝕の華』
これだけ 『赤LaLa』 という増刊号に掲載された作品です。 『赤LaLa』 の 「赤」 はブラッドなイメージの赤でして、ダークテイストの作品を掲載するコンセプト増刊号でした。 弓作品はいつも元気なイメージがあったので、この作風は雑誌で読んでいても新鮮でしたねー。 助さん、ちゃんと 「人間」 になれたんだと信じております。 あとはもうツインテールなはなちゃんがひたすら可愛くてですね!(笑)  可愛い可愛いと愛でながら読みました。 ダークどこへ行った・・・(笑)。




●完結しました! 感想はこちら⇒ 弓きいろ/有川浩『図書館戦争LOVE&WAR・15』の感想

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