塩島れい 『ぶっこん ~明治不可視議モノ語り 』 の感想

ぶっこん~明治不可視議モノ語り
『ぶっこん ~明治不可視議モノ語り』



塩島れい


白泉社花とゆめコミックス
2016年6月10日 第1刷発行/¥429+税




『 今まで大切にしてくれたこと 感謝します 』


<ご紹介>
『LaLaDX』に掲載された全4話を収録した塩島れいさんのデビューコミックスです。
時は明治。 名門の剣術道場の一人娘・あやりは、急死した父に代わりやってきた叔父に命を狙われ、父の形見の刀をもって逃げ出したところを、天助という青年に救われる。 「修繕屋」を名乗り、ガラクタばかりの部屋の中で壊れた仏像に話しかけながら修理するあやしげな天助を信用しきれないあやりに、天助はふるびた眼鏡をかけさせる――と、ガラクタの周りにまるで幽霊のようなたくさんの「物魂(ぶっこん)」がいるのが見えるように。 物魂と会話し、その魂を修繕することでモノを直すという天助の特殊な能力により、あやりは自分だけでなく、形見の刀も道場を守りたいと思っていることを知る。 そして天助と物魂たちとふれあうなかで、自分の本当に大切なものは何なのかを考えるようになって・・・。


<感想>
『LaLaDX』 で読んだ時から 「ほんのり温かくて白泉社っぽい作品だなぁ」 とお気に入りだった 『ぶっこん』、4話で完結と知った時に私がいちばん危惧したことが 「コ、コミックス出ますよね・・・!?」 でした。 余計なお世話なんですけど(笑)。 でも白泉社では新人さんの読み切りから不定期連載になった作品ってコミックス化されにくい過去がありましたので、これも大丈夫かなって。 どうか単行本になりますようにって。 別に私の祈りが通じたわけではないと思うけど、何にしろコミックスデビューおめでとうございます!!\(^o^)/ これでこの愛すべき可愛い作品をずっと手元に持っていられるのかと思うと、私も嬉しいのです。





物魂、いわゆる付喪神をモチーフにしたお話です。 モノにやどる魂が見え、さらに修復まで出来てしまう天助さんと、彼のモノ達への愛情に惹かれていく剣術美少女あやりさんとの恋物語。 表紙から伝わると思いますが、左上の青年(少年?)が天助さん。 右下の袴姿で剣をもつリボンでポニテの美少女があやりさん。 そして天助の右手にいるのが 「ぶっこん」 です。 ぶっこんは白黒でも可愛かったけどカラーだとなお可愛い! まぁこんな可愛い子ばかりではなく、こわもての武士姿や神仏姿のぶっこんさんもいらっしゃいまして、魂なので寿命もあったりするのです。 この物語には、モノへの愛情、人への愛情、そして 「モノから人への愛情」 が込められていて、己の存在意義をかけてでも守りたいものは何なのか・・・というテーマをちょっと切なく、でも温かく描いているのがとても気に入っています。 個人的には 「モノから人への愛情」 がこの作品の最重要項目だと思っていて、いろいろと考えさせられました。

ガラクタ同然のモノでも、魂は在る。 それは、いっときは誰かがそのモノに愛着を持っていたから。 人はその愛着を忘れてしまっても、形ある限り物魂はその愛情を覚えている。 そこでモノだって悲しんだり、恋情を募らせたり、役に立ちたいと願ったり、誰かのために命を散らせようと決意したりしているんですね。 でもその事実を普通の人は気付かない。 物魂を見ることができる天助だけがそれを知っている。 だから彼は人にどんなに白い眼で見られようと、一見ガラクタでしかないモノを集め、修理し、愛情を注いでいる――たったひとりで。 

たとえば。 私にそういうモノが見えたとして、彼のように愛せるのか・・・いつかその視界に慣れてしまって気にしなくなるのではないだろか、とか。 物魂が見えないとしても、モノをきちんと大切にできているかな、とか。 そもそも魂の有無に関わらず大切にしたいと思ったから大切にしていたはずなのに・・・その気持ち、どこに行っちゃったのかな、とか。 考えていたら自分の不甲斐ないところばかり目について、とりあえず身の回りの物を少しキレイに拭いてみました(笑)。 天助さんがモノ達を見るときの表情がとてもやさしくて、本当に大切にしていることが伝わってくるので、私もその1%でも見習えたら・・・と。 そういう初々しい気持ちを思い出させてくれる意味でも、このお話は大切にしたいなって思うのです。


一方のあやりさんは、率直で飾らなくてちょっと視野がせまいくらいにまっすぐで、物魂なんて見えなくたって道場と刀をずっと慈しんできた女の子。 個人的には袴姿の剣術美少女 (しかもポニーテール!) という段階でメロメロなのですが(笑)、何より好きだなって思うのは、 「弱さ」 を見せることをためらわない 「素直さ」 です。 あやりさんの性格は一直線すぎて、好きも嫌いも悲しみも情けなさも喜びも、ぜんぶが筒抜けになってしまうほど。 特に好きなのは3話で 「私ひとりじゃだめだった」 と泣くシーン。 こんなにも無防備に自分の弱さをさらけだせるのって、もう逆に強さですよね。 自分の弱さを認めることができないほど、弱いことはないのですもの。 大切なのは自分を守るプライドではなく、どうすれば事態をよくできるのか考えること。 自力で実行してみてできなくて、簡単に天助さんに甘えてしまう自分が不甲斐なくて、でも頼れば絶対に助けてくれるっていう信頼感までもがあの涙に含まれているんだと思います。 あぁ可愛い・・・こんなんされて天助さんも絶対にあやりさんにときめいちゃうのでは!?と期待したのに、彼は彼で顔を真っ赤にして 「寂しいじゃないですか・・・」 とか言い始めちゃったものだから、「君たちどっちもどっちでどこまで可愛いの!!??」 とりるさんは大混乱でした。 可愛いなぁもうっ!(笑)


あやりさんにとっての天助は、困っているところを助けてくれたヒーローに間違いないけれど、天助にとっては日常をうちやぶる存在との出会いに他ならないんですよね。 天助と物魂たちだけだった世界に、突如さしこんできたまぶしい光――そんな感じなんじゃないかなって思います。 強烈な光は落ち着かない気持ちにさせるけど、でも、孤独で平穏だった世界よりきっと格段に温かい。 少なくとも、それまでの自分の考えを改めてでもあやりさんを助けたい!って覚悟させるくらいには、大切な存在なのだと思うのです。 物魂の想いを尊重しつつもラストできっちりあやりさんを守ってくれる天助さんは私から見ても立派なヒーローっぷりで、これじゃぁ乙女はときめきますよねーと微笑ましいくらい。 天助さん自身は強くもなんともないんですけどね、武器似合わないし(笑)。 でも、彼の強さは圧倒的な共感力にあるんだろうなって思います。 物魂たちの心を聞きたがる、天助さんの優しい強さが好きでした。

このお話では一貫して人やモノに対して 「ありがとう」 を伝えていて、そんなところもすごく好きなポイントだったりします。 私も 「ありがとう」 って言える人でありたいなって思うし、 「ありがとう」 って思って貰えるような人でいれたら良いなって思います。 相手からの感謝が欲しくて行動するという意味ではなく、自分が信じて行ったことが結果として誰かのためになればいいな、という意味で。 でもそれってすごく難しいことこの上ないので、とりあえず喧嘩っぱやい性格を直さないといけない・・・私の魂も補修できるかなぁ?(笑) でもまずはやっぱりこの言葉で。 素敵な物語を、ありがとうございました!





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はるさんへ

>はるさん

お返事が・・・大変遅く・・・本当にすみません!!

>オビ、表紙記念の♪

オビ表紙記念のアレですよね。私がウザイくらいに熱く語ったアレですよね(笑)。
載ってました。本当に可愛いお話です。

>明ちゃんにも似た、りるさん好みの美少女ですね~

私の好みはいろんな人にバレバレです(笑)。
仰る通り、大好きなのですよー。可愛い可愛いと愛でておりました。

>こういう可愛いふたりを愛でる空気感の作品もいいですね

私は現実がけっこうシビアなので、こういう雰囲気の作品ばかり読んでは癒されています。

>またいろいろご紹介くださると嬉しいです!

いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます。
頑張りますね。

No title

初めて買ってみたあの時の本に載っていましたよね?

オビ、表紙記念の♪


可愛いお話でした♪


こちらで教えて頂いて大好きになった
明ちゃんにも似た、りるさん好みの美少女ですね~


最近もコミックにはハマっているのですが
少女漫画からは離れていたので
こういう可愛いふたりを愛でる空気感の作品もいいですね



またいろいろご紹介くださると嬉しいです!
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