『無貌伝~双児の子ら~』の感想

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『無貌伝~双児の子ら~』

望月守宮
講談社ノベルス/2009.1.8(初版)/¥1200









望が息を呑んだ瞬間、世界から全ての音が消え去った。 凍りついた世界が身じろぎして、耳鳴りが起こる。 望にとっても、もはや馴染みのある現象だ。 諱乗り(いみなのり)。
そして、望の目の前で、秋津の顔をした男がまぶたを閉じ、歌うように、
『我が名は、魂と人間のヒトデナシ』
目を開き、笑う。
『・・・・・・無貌!』



<ご紹介>
講談社が誇るメフィスト賞の、第40回受賞作。 人間と「ヒトデナシ」と呼ばれる怪異が共存する世界で起きた、不可解な謎をめぐる物語です。

古村望は、名探偵・秋津こそが世間を騒がせているヒトデナシ・無貌だと考えていた。 確かめるために単身で秋津の事務所に押しかけたものの、今の秋津は本物の無貌により「顔」を奪われ、失意の日々をすごすだけのただの探偵だった。 しかし…「無貌か。 会えるかもしれないぞ」 鉄道王の孫・榎木芹の「舌」を奪うという不可解な無貌の犯行予告。 芹の護衛のために榎木家に乗りこむこんだ望と秋津だが、事件は一気に血生臭く、不可思議に、そして悲しく続いていく。 殺人事件の真相は? 秋津の「顔」は? そして、「ヒトデナシ」とは…!?


<感想>
めちゃめちゃ個人論だけど、ミステリで大切なのは「雰囲気」だと思ってます。 動機? トリック? それは、二の次(笑)。 重要なのは、不可解な「謎」を、いかに魅力的に見せてくれるのか。 どれだけ独創的な世界を作り上げてくれるのか。 そういう部分に真っ向から勝負した作品に、私は惹かれます。 なので、この『無貌伝~双児の子ら~』、とても面白く読むことが出来ました。  帯でも「森博嗣、西尾維新、辻村深月」と歴代の実力派メフィスト賞作家と並べ立ててるけど、期待したくなるの、何となくそれ分かるなぁw


名探偵、生意気な少年助手、由緒ある名家をめぐる陰謀、悲しく対立する双児、影だけが動く怪奇現象、血生臭い殺人事件、そして切ない恋……。 畳み掛けるように投入される、新本格らしいお約束な展開は、私の弱いところを全て網羅してます(笑)。 くぅ、雰囲気は絶妙。 掴みは良いですね。
  

ただ、読んでみると「ミステリ」としての説得力は弱いんです。 真相に気づく瞬間も、犯人が固執した理由も、単独では絶対に弱い。 でもそこに、人外の存在・ヒトデナシという独特な設定がプラスされることで、望のひらめきにも説得力が生まれるし、犯人の固執にも哀愁が深まる。 事件もひっかき回されて奥行きが出る。 そして何より、物語にちょっとした「怖さ」が生まれるのがポイント。 ヒトデナシって何なんだろう、これからどんな不思議が起きるんだろうって、怖いけど楽しみになる。 「匂色」の未来視って何だろうとか、少年少女の「キス」にそんな意味があったなんて…!!とか、薄ら寒くなるような雰囲気があって、ドキドキしました。


主人公の望くん。 最初は、目的のためには手段を選ばない…とか言っておきながら、ただフラフラしているだけのように感じちゃったけど、でもそんな彼が、無貌と出逢ったことで「自分」のアイデンティティを実感した第7章以降の展開は、相当熱くてカッコよかった!! アイデンティティを取り戻したはずなのに、それまでの望くんとは人が変わったかのような描写も、深いですよね。 つまり、それまでの迷っているだけの、言い訳ばかりしてた望くんは、彼の本質ではないってことだから。 迷いながらも一歩ずつ進み、初恋の人の死にボロボロ泣く素直な彼が、本当なんだ。 


そんな彼と秋津探偵の絆が一気に引き合うラストには、思わず泣きそうになりましたよ。 第8章までは、お互いに「信じたい、でも、信じて良いのかな」っていう気持ちだったのが、『俺の助手に手を出すな』で一変したところとか、もー大変(私が・笑)。 望が、秋津と同じ「覚悟」を抱いていたことが、私も秋津も嬉しいんだもの。 その『ひどく馬鹿げた』覚悟があるから、信じられる。 今回は上手くいかなかったけど、その「覚悟」はずっと持ち続けて欲しいし、そのために秋津が再び立ち上がるっていう展開がカッコイイです。 父と息子のような、でもただのパートナーのような不思議な関係。 それが、溝口と秋津、奥さんと秋津…と伝播していくのが、未来視なんかよりずっと魅力的でした。 


ヒロインとなる芹ちゃんが、かなりミステリアスに魅力的に描かれていた反面、悪魔のようだと言われる無貌と誰からも好かれたという真人の描写がイマイチなのが惜しいかな。 真人の「愛される」部分がよく分からず…残念。 あとは、全体的にちょっと冗長でした。 ヒトデナシの能力や恐ろしさがもっと分かると良かったのにー。 とはいえ、デビュー作らしい気迫が感じられたので、個人的には満足。 物語は、「上手さ」より「情熱」です!! 秋に発売予定の続編も、読むぞ。 秋津の話だといいなーw
最後に。 読む機会をくれたMさん、ありがとございました!!




<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・『棒日記V -I will carry on-』様 
オンライン書店【ビーケーワン】・・・『無貌伝~双児の子ら~』をbk1でチェック!




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