『環状白馬線 車掌の英さん』の感想

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『環状白馬線 車掌の英(はなぶさ)さん』

都戸利津
白泉社 花とゆめCOMICSスペシャル
2009.1.25/¥524







『 よかった 車掌さんと会えて 』


<ご紹介>
『別冊花とゆめ』誌上に掲載された読みきり3編+後日談的な描き下ろしが収録された、著者初のオリジナルコミックス(前回は『心霊探偵八雲』のコミカライズでした)。 

「乗り合わせると幸せになれる」 ――円を描いて市内(シティ)を循環する環状白馬線には、そんな噂の車掌・英(はなぶさ)さんが乗っています。 電車には今日もたくさんのお客様が乗り、英さんと少しだけ触れ合って、降りてゆきます。 そんな風にすれ違うだけで終わるはずの人と時間が、小さな奇跡で結ばれた時にうまれる、小さな幸せ。 これは、英さんと一緒に循環する電車と絆を描いた物語です。


<感想>
絵も物語も人の気持ちも、すべてが丁寧に描かれた、とても素敵な1冊。 何度も何度も読み返したくなる作品でした。 そして、何度も読み返すことこそが、この物語の正しい読み方なのだと思います。 第3話まで静かに物語を辿ったら、また最初に戻ってみてください。 あの時英さんが言った台詞の意味、あの人の行動の訳…。 全てのことが、「あぁ、そう繋がっているのか」とますます深く胸に響いてくるようになります。 まるで環状白馬線のように、人の絆はつながり、廻り、その度に強さを増していく。 そんな物語です。


まずですね、表紙が好きです。 何となく懐かしい雰囲気の、強く太いタイトルフォント。 対照的に、しっかり描き込まれた西洋風の電車の背景。 このコントラストにまず惹きこまれました。 でもって、ちょっと内容が分かりづらいタイトルが、何ともそそります(笑)。


お話としては、車掌の英さんとお客様との出逢いを描いた群像劇。 出逢ったこともないはずの「お客様同士」が、英さんの存在を軸に実は深く関わりあっていて、それがまた別の絆を紡いでいくんですね。 生まれた小さな絆は、ちょっと温かく、ちょっと切なく、ちょっと懐かしく描かれていて、最後はきっかりと1枚絵のようにはまっていく。 でもそのことに、英さんもお客様も気づくことはないし、「お客様とは他人のままがいい」 という英さんのスタイルのために、これだけしっかり描かれているお客様でも、名前は一切分からないっていう演出がまたニクイです。 それでも成り立つ構成がとても巧みだし、綿密に描きこまれた背景や美術がイメージを補ってくれるので、目でも頭でも心でも楽しめる1作だと思いました。 オススメです。


●第1話
・『それだけ好きになってたのね、わたし。 この街のこと。』 一瞬驚いて、次の瞬間、泣きそうになりました。 てっきり『あなたのこと』って続くと思ってたんです。 いや、絶対にそういう気持ちはあったと思う。 プライドとか困らせたくない気持ちとかも、絶対あったと思う。 でもそれ以上に、英さんに優しくして貰えて大好きな彼と出逢うことが出来た『この街』が大切で、他人のように接されることが『街』に受け入れて貰えないような気がして寂しかったと言えるお嬢さんが、とても素敵。 素敵な街なんですね、市内(シティ)はw

・犬ネタはズルい……絶対泣くもんそんな展開っ!!(←泣いたらしい・笑) ワンちゃんが「車掌見習い」になったらどんなお仕事をするのかも見てみたかった気がします。 


●第2話
・新人(?)車掌の女の子がめっちゃめちゃ可愛くてツボでした(笑)。 そして、『人としてうれしかったわ』と言い切った楽団員さんにも拍手!!

・車掌さんを探す、という、全く違う2つのストーリーを築き上げてる構成の妙が素敵。 同じ人探しという行為が実は違う人を求めてたことが、同じものを見ても違う感想を抱く英さんと仲良し車掌さんの関係とも対比してあって、とことん巧いなと。 駅舎や市内の描写が半端なく丁寧で美しかったです。


●第3話
扉絵が、第2話の最終ページと対応してるところからして素晴らしいです。 「あぁ、過去も未来も全部繋がってるんだ」と力強く伝わってくる感じ。 チビ英さんの言葉遣いが可愛く、今のぶっきらぼうな喋り方は「親父っさん」の背中を追ううちに身に付いたんだなって思うと、とても微笑ましい。 旅少年くんが見抜いた『照れてる』もそうだけど、一気に英さんが身近になりました。

・世界の「みんな」に逢うことができないように、「世界の全部」を旅することは出来ない。 けれども、想うのは自由。 想うことで自分を強くすることも自由。 旅少年と英さんは、違うようで同じ、なんですよね。 離れてても友達って、カッコイイです。 

・そして物語は、第1話へ。 この作品は、「物語」自体が「環状線」なのです。


●描き下ろし
・とにもかくにも、「Scene:3 見分け方」という小話が、愛しくて愛しくてなりません!! 何度読んでも、微笑ましいですw



⇒都戸利津 『心霊探偵八雲~赤い瞳は知っている・1』の感想
⇒都戸利津 『心霊探偵八雲~赤い瞳は知っている・2(完)』の感想


<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・『マンガ一巻読破』様  1/31『ある休日のティータイム』様 『狭間の広場』様 『漫画読みの憂鬱』
オンライン書店【ビーケーワン】・・・『環状白馬線 車掌の英さん』をbk1でチェック!!


心霊探偵八雲 1―赤い瞳は知っている (1) (花とゆめCOMICSスペシャル)  心霊探偵八雲 2―赤い瞳は知っている (2) (花とゆめCOMICSスペシャル)





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