『恋のドレスと舞踏会の青 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の感想

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『恋のドレスと舞踏会の青 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

青木裕子
あき(挿画)

集英社コバルト文庫/2009.1.10/¥495





クリスはシャーロックを見あげて、ほほえんだ。
シャーロックは言葉を探した。 頬や唇に触れたいが、店の中でそういうことをするのは不謹慎なような気もする。
「逢いたかった?」
シャーロックはクリスの瞳を見つめて、やさしく尋ねた。
「はい」
クリスは素直にうなずいて、恥ずかしそうに目を伏せ、体をひるがえした。
扉を抜け、階段を登っていく。 シャーロックは壁に手をついてそのうしろ姿を見つめ、笑みくずれそうになるのをこらえつつ、首をふって前髪をかきあげた。



<ご紹介>
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズの14冊目、本編としては12作目となる本作は、シリーズ屈指の華やかさw 「恋のドレス」を仕立てるクリスと、彼女を気にかける青年貴族・シャーロックが「闇のドレス」の謎と身分の壁に阻まれながらも、恋を貫く物語。 物語詳細はシリーズ過去記事をご覧下さいw
仕立て屋「薔薇色(ローズ・カラーズ)」に届いた一通の招待状。 それは、名門貴族・オルソープ家の舞踏会への招待状だった。 分不相応な申し出に戸惑うパメラとクリスだけれど、パメラは招待を受け、クリスは裏方に回ることに。 舞踏会当日、恋人・シャーロックとの待ち合わせを心待ちにするクリスとは反対に、シャーロックへの想いを諦めきれないオルソープ家の令嬢・アディルは、「闇のドレス」の力を借りて彼を振り向かせようと画策していた。 そして、何故かクリスを気にする男性が現れて…!?


<感想>
シャーロックに質問。 クリスが寝込むほど、あそこで何してたんですかっ!?(笑。野暮ですねw) いや、いろんな意味で幸せな一冊でしたw もうホント好きだなー!!

幸せその1。 ジャレッドさん、来たー!!w(え、喜びポイントそこ!?・笑)
王子様よりも騎士になりたがるキザっぷりが素敵だけど、この人の精神構造はイマイチ読めないです。 でもそんなところもお気に入り。 もっとクリスとシャーロックを引っ掻き回してくれないかなーw(問題発言)。 ところで、ごく普通に登場なさったジャレッド・ソーンダイクさんだけど、単行本派の方にはちょっと唐突に思えたかも。 彼の初出は『Cobalt 08年9月号』に掲載された番外編 『七日目の憂鬱』 なのです(⇒感想はこちら)。 このお話はとにかくシャーロックが 面白くて 可愛くて仕方ないのでオススメですw 
ジャレッドさんに限らず、このシリーズは文庫本編と雑誌の番外編がリアルタイムで絡んでくることが多いので、文庫だけを読んでいるとちょっと分かりづらいことがあるんですよね。


それはともかく、本編。 いつものことながらあきさんのイラストが素晴らしいですw 表紙の柔らかい色合いの薔薇が、絶妙な雰囲気です!! それでもって、クリスの腰に回されたシャーロックの腕が、微妙にいやらしくて大好きですっ!!(えー!?・笑) 「シャーロック、クリスを見つめすぎ!!」とか、いろいろツッコミいれちゃったw  個人的に一番気に入ったのは、パメラとシャーロックが踊るイラスト。 慣れないダンスに焦るパメラが健康的に美しく、そんな彼女相手に珍しく余裕なシャーロックが新鮮で、こんな時しか優位に立てない彼がかなり可哀想でした(笑)。 

「ちょっ……ちょっと、待って。 慣れてないのよ、あたしは」
「知ってるよ」
シャーロックはパメラの手をとったまま、平然と答える。 知っててやってるのか!とパメラはシャーロックに怒りたくなるが、こんなところで言えるわけもない。
シャーロックがくすっと笑う。 いつも『薔薇色』で言いまかしている仕打ちを、こんなところでされるなんて思わなかった!


クリスへの謝罪を賭けた攻防戦でコテンパンに負かされた(91頁辺り)のを目撃した身としては、このシャーロックの勝ち誇りっぷりが、読めば読むほど 不憫 可愛く思います。 何だかんだと「友情」を育んでいるこのコンビをますます好きになったシーン。 幸せその2でした。


でも最大の幸せはやっぱり、クリスとシャーロックの臆面のない(!!)ラブラブっぷりです!! もーホント初々しいよぅ☆ 『Cobalt09年1月号』から連載が始まった、パメラちゃんメインの『聖者は薔薇に囁いて』感想で私は、

前からずっと楽しみにしてきた手袋のプレゼントと、シャーロックの誕生日イベント、そして『シャーリーと呼んでくれ』の結論が、あまりにもあっさりと描かれてしまったことだけは、りるの核から「残念」が噴出するほど残念でしたっ!!(ぇぇ!?) そこはもっと身悶えたかった…抱き寄せるじゃ済まないほどの激情が見たかったのに…っ!!(笑)。

と書いたのだけど、それは全部この本編で語られてました。 そっか、あっちは番外編だもんね、でもそれなら発売順ややこしくね? とちょっと思いましたが、面と向って『シャーリー』と呼ぶクリスがあまりにも可愛かったのでオールオッケーなのです!! 「抱き寄せるじゃ済まない激情」も、見れたしね(笑)。


嬉しかったのは、今回初めて、クリスとシャーロックが「ケンカ」らしきものをしたってこと。 今までのどこかよそよそしい関係から、少しでも歩み寄れたからこそ、ケンカも出来るんだもの。 この進展には、2人の恋心だけではなく、シャーロックがリンダやコルベールの存在を知ったことをクリスも実感したことが、大きく影響してるはず。 100頁の 『もどかしいのは ぼくのほうです』 というシャーロックの手紙は、相当な本心なんだと思う。 彼女が他人を遠ざけてきたのは、その秘密ゆえだから。 秘密の一部が露呈したことが、クリスという存在の輪郭を、少なからずくっきりと表し始めたんじゃないかと思いました。
 
同じ理由で、ラストでクリスがした初めての「おねだり」も、とても嬉しかったです。 「甘え」も歩み寄らなければ出来ない。 ただラブラブなだけではなく、2人が大切に育んできた想いが結晶化された、素敵な描写だったと思います。 あー、ホントに幸せでしたw


タイトルの「青」。 舞踏会の象徴的な存在であるアディル嬢を輝かせる「青」。 その舞踏会でクリスが目の当たりにしたのは、シャーロックが住む権威の世界と自分との格差。 何となく、この「青」と「権威」というのは、同じものなのかもしれないと思いました。 アディルは権威の世界に留まり、クリスはその大きさに途惑った。 輝かしく大きく深い「青」い存在と、緑のようにそっとそこに在る存在と。 ふたりの女性が、これからどんな風に輝きを増していくのか、今後の展開がますます気になりましたw あ、ハノーヴァさんは「闇のドレス」に何となく嫌な予感を抱いてるんですね。 それから、バーンズ夫人のクリスへの好意には、泣きそうになりました!! くぅ、良い人w パメラちゃん、オマケ増やしてあげて!!(違)



⇒次作 『恋のドレスと宵の明け星』の感想   ⇒前作 『恋のドレスと約束の手紙』の感想
⇒シリーズ全感想はこちら

オマケ。 以下、台詞へのツッコミを少しだけw(収納します)。





100頁 『ほかの男がクリスを見つけるまえに。 なんとかして、クリスが俺のことを好きなうちに』 
…自信なんてものが打ち砕かれるほどクリスを好きなシャーロックを、私は大好きですw

137頁 『アントニーはパメラが好きなのだ。 望みのない話だ』
…シャーロック、鬼か!!(笑)

171頁 『本当は蹴ってやりたいところだ』 
…蹴っちゃえ!! パメラちゃんに惚れそうw

176頁 『どちらにしろこの男にクリスと逢う権利などない。 まして俺より先に逢ってどうするのだ。 クリスがおとなしいのをいいことに、俺に逢えないさびしさにつけこむつもりか』 
…自分で言った!!(笑)

200頁 『クリスに首ったけだものね、あんた。 クリスもだけど』
     パメラが呆れてつぶやくと、シャーロックは、少し照れた。
     『まあね』
…そんな2人に、私がメロメロですw(笑)


<関連サイト様>
●感想拝読しました ・・・『Reading Diary-MEMO』様 『西の風のすむところ』様  09.07『Sincerity』様  09.10『独裁switch。』
オンライン書店【ビーケーワン】・・・『恋のドレスと舞踏会の青』をbk1でチェック
●Amazon
恋のドレスと約束の手紙―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫) 窓の向こうは夏の色―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫) 恋のドレスと黄昏に見る夢―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫) 恋のドレスと大いなる賭け―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫) 恋のドレスは明日への切符―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)





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