『恋のドレスと約束の手紙 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の感想

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『恋のドレスと約束の手紙 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

青木祐子・著
あき・挿画

集英社コバルト文庫2008.9.10 第1刷/¥476





『 目的がなければ、迷うよ 』
『 目的がなければ、迷いません 』


<ご紹介>
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズの第13冊目、本編としては11作目となる本作は、シリーズ屈指の甘さですよ!!(笑) 「恋のドレス」を作る仕立て屋・クリスと、彼女を気にかける青年貴族・シャーロックが、「闇のドレス」の謎に迫りながらも恋を貫く物語。 個人的に、冷静ではいられないほど大好きなシリーズです!! 物語詳細はシリーズ過去記事をご覧下さい。
遂に互いの心を確かめ合ったクリスとシャーロック。 溢れる想いを言の葉にのせ、手紙を通わせ合うが、会いたい気持ちは募るばかり。 そんな時、仕立て屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』にギルレイという男性がやってくる。 依頼は、ロンドンのある女優のためのドレス製作。 男の名前に心当たりのあるクリスは不安を覚えるが、仕事がてらシャーロックと会えることに胸が躍る。 でもそれは、「闇のドレス」の巧妙な罠。 クリスは翻弄されていく。 そしてシャーロックもエドの記憶を頼りに「闇のドレス」の謎を探り、ある驚愕の事実を掴むのだが…!!


<感想>
まず、表紙のラヴさに撃沈(笑)。 物語のモチーフになっている薔薇に!! 二人の間に煌く光に!! そしてクリスとシャーロックが新に得た「二人だけの距離と表情」に、最初っからノックダウンでした…素敵過ぎる…!! ホント、毎回毎回、イラストのあきさんの描く世界にまず惹きこまれてしまうんですよね。 なくてはならない存在感です。


見開きの登場人物紹介欄にも、手紙を読みあうっていう小さな物語が絵で表現されてて。 他人からは些細に見えるその行動が、お互いには至上のものだということが、クリスとシャーロックの表情から伝わってくるから素敵です。
今回6枚のイラストが挿入されてるけど、どれも素晴らしいっ!! どちらも手を取り合った構図のクリスとシャーロックのイラストは、今までと二人の関係が変わったことが見て取れるしっとり感。 『シャーリーでいいよ』というお約束のやり取り(笑)も、格段に色っぽく見えるから不思議です。 パメラちゃんのイラストは、どちらも生命力溢れる鮮やかな瑞々しさが魅力。
そして極めつけは、シャーロックとエドの男の戦い(笑)を描いたコメディタッチのイラストがもうっ…!! あきさんは、シャーロックのエド嫌いがお気に入りみたい(笑)。 最新の雑誌『Cobalt』でもネタにしてるけど、なんか可愛くて大好きなイラストだったりします。 あぁ、もう好きすぎるっ!!


えーと、落ち着いて本編のお話。
冒頭から繰り広げられるクリスとシャーロックの文通模様に、またもや撃沈させられました!!(落ち着いてないじゃん・笑) 微笑ましい1ページ目のお手紙はともかく、シャーロックの2通目からの内容が、愛しすぎてもうダメです。 『きみがぼくを覚えていられるように、薔薇を贈ります』…って、溢れてるっ、気持ちが溢れてるよシャーロック!!と一人で身悶えてました(笑)。


今作の前半はずっとこんな風にくすぐったいほどの甘やかさが漂ってて、しかもシャーロックにツッコミどころがありすぎて (『どうしたらいいのかわからないなら、俺が教えてやる』――って、何をさ!?とか・笑)、私はずっとメロメロしっぱなしでした。 クリスへの返事で自問自答したり、そんな煩悶をパメラにあっさり看破されたりするヘタレな彼(誉め言葉!!)が、愛しくて堪りませんw クリスはクリスで、ゆっくりと、でもしっかりとシャーロックに想いを還すので、モスで飲んでたホットココアより甘く感じました。 『一緒にいるだけで満ち足りた』と言われたシャーロックの、感慨深い様子が、とても印象的。 きっと、身に深く染み入るようなクリスの愛情を感じたことでしょう。 乗り越えた「身分」という現実の壁、そしてそれ以上に精神的な壁の高さを思うと、思いっきり「恋心」に翻弄される二人の幸せな様子に、困るくらい幸せになります、私も。


でも実は。 物語的にはとても大きく動いていて、後半は一気にシリアスモードに変調。 前作でアディル・オルソープ嬢を翻弄した「闇のドレス」を斡旋するコルベールの、驚くべき人物像が判明するまでのエドたちとのやり取り、そして何より、ラストのシャーロックとギルレイの対決は、かなりスリリングでした!! いや、でも、ウォーレンと聞いて瞬間的に思いだせなかったくらい久々な伏線…!! 作中で隠し子(これって、ギルレイとの?それともヒューとの?)がいると仄めかされてたけど、正直、「彼女」に繋がるとは思いませんでした。


そして、クリスの母・リンダが3年前に作った「闇のドレス」が、狙ったはずのコルベールを殺せなかったという事実がまた痛い…。 しかも今は、そのコルベールの下でドレスを作っているなんて。 舞台で違う人生を生きていたから死なずに済んだというコルベール。 「闇のドレス」が万能ではないことを知っているからこそ、何故その闇に手を染めるのか…。 まだ語られない闇が、残っているということですよね。 「彼女」がクリスに殺して欲しそうにしてたことを考えると、コルベールが欲しているものももしかして…と、嫌なほうに想像が膨らんでしまう。 クリスに「闇のドレス」を作らせて、死にたいの? そんなの、違うよね? だってやっぱり、最後は幸せになって欲しいのよ、リンダにも、コルベールにも。 パメラとクリスに救われた、シリルのように。


作中でキーワード的に使われた、「母に従う娘」という言葉。 以前のクリスがそうだったように、「彼女」も同じ道を辿っていたんですね。 そして、実の父からシャーロックの形だけの妻にと差し出されたコーネリアも、この括りに入っていたはず。 でも。 クリスが自力でその殻を破り、コーネリアも傷つきながら這い出たように、「彼女」も呪縛から逃れる日が来るかもしれない。 そして、娘たちが自力で立ち上がる姿を認められた時に、リンダもコルベールもモアティエ侯爵も、何かから解き放たれるのかもしれない。 そんな風に感じました。

今回、一人で「闇のドレス」に立ち向かおうとしたクリスは、今までよりとても強かった。 シャーロックへの愛情を自分への力に変えて頑張ったんだろうな。 でもきっと、シャーロックと二人で立ち向かえば、もっと力が出るんだよクリス。 彼女が最後の心の扉(=闇のドレスの部分)を早くシャーロックに開いてくれることを、私はずっと祈っています。


で。 
実は一番大泣きしたのは、パメラちゃんを想うイアン先生の愛情に、でした。 前作で危惧した通り、やっぱり先生の求愛を弾こうとしてたパメラを見抜き、「嫌い」以外の言葉を受け付けない先生の強さが素敵でした。 それほど、ありのままのパメラを好きなんだって伝わってくる。 自然と甘えた声が出るってことは、パメラちゃんは意外と自分の気持ちを把握しきれていないんだろうな。 そんなの、もう絶対に「大好き」ってことだよ、パメラ!! クリスを大事にするように、「パメラ」のことも大事にしてあげてね、パメラちゃんw

あとはもう、エドに八つ当たるシャーロックの大人気なさがものすっごく魅力的でした(笑)。 普段のシャーロックの「大人」な部分は、演じている部分だって伝わってきて面白いです。 だから「かっこつけ」ってパメラに看破されるんですねw 彼の抱える矛盾は意外と深くて、だからこそ魅力的だと思うので、もっとクリスを好きになってもっと魅力的になって欲しいです。 頑張れ男の子!!
次はもしかして、誕生日イベントが見られるのかなー♪


●関連記事
・次作 『恋のドレスと舞踏会の青』の感想
・前作 ⇒『恋のドレスと黄昏に見る夢』の感想
・一覧 ⇒『恋のドレス』シリーズ感想



<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・9/7 『booklines.net』様 '09.06『Sincerity』様  09年9月『独裁switch。』
オンライン書店【ビーケーワン】・・・『恋のドレスと約束の手紙』をbk1でチェック!!



    




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