『窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の感想

koidore.jpg

『窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

青木祐子(著)/あき(挿画)

集英社コバルト文庫
2008.7.10/¥533





『たったひとつのきっかけで人はかわってしまうものだわ』


<ご紹介>
大好きなヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズの番外編第2弾です。 雑誌『Cobalt』に掲載された物語に重点をおいた2編と、キャラにスポットをあてた書き下ろし2編を収録。 さまざまな事情からドレスを求める人々が、クリスとパメラが営む仕立て屋「薔薇色(ローズ・カラーズ)」を訪れることで紡がれる恋のお話とは? 表題作は、寄宿学校生時代のシャーロックの物語。
⇒『恋のドレス』シリーズの感想一覧はこちら!!(新しいもの順)


<感想>
番外編集です。 4月に大盛り上がりを見せてくれた本編の続きも超気になりますが、今回はちょっと一息的な、ゆったりした時間が流れるお話ばかり。 前作もそうだけど、番外編の表紙は笑顔に満ちたアットホームな雰囲気が多いですねw クリスとくっついてるパメラちゃんにまで嫉妬してそうなシャーロックの狭量なお顔が、堪らなく楽しいです(笑)。 

4編それぞれ雰囲気の違う仕上がりで、作品の出来としては満足なんだけど、ただ、あの………もっとクリスとシャーロックのいちゃいちゃっぷりが見たかった!!っていのうが本音かな(笑)。 二人が一緒なのが1編だけなんて悲しすぎる~!! その分、ケネスとファニーでラブを補充しました。 いいもん、本編まで楽しみに取っておくもんっ!!(落ち着け)


●ドレッシング・ルームの高い窓
姪のケイトを育てるグレイスは、ピンクのドレスばかりを着せたり、勝手にローリーという青年と引き合わせたりと、少し過保護な未亡人。 そんな彼女が「薔薇色」で注文したケイト用のドレスは、やはりピンク。 クリスは小さな恋の光を見るのだが…?

「薔薇色」に訪れたお客様の隠された気持ちをドレスを通じて開いていく展開は、4編の中でも一番本編に近い作りだったと思います。 

見えそうで見えないミセス・グレイスの不器用な「恋」が形になったときに、クリスが言った「紫が似合います」の一言。 もの凄くドキドキしました。 だってこんなところで、本編でシャーロックがクリスに贈ったクレマチスの紫が効果的に働くとは、思いもしなかったんだもの。 「一夜だけ」という切なくも情熱的な花言葉を持つクレマチスは、そのままミセス・グレイスの若き日の恋を表しているんですね。 

その未熟な恋への憧憬が、クレマチス色のドレスを纏うことで成熟したラストが良いです。 「ドレッシング・ルームの高い窓」からグレイスが見ていたのは、強すぎる恋への憧れによって歪められた世界だったのでしょう。 自分も納得し、ローリーを見惚れさせたことで、その世界が閉じられたんだろな。

何気に、一番良いところを持っていったのは、執事のスチュアート老だと思います(笑)。
   ⇒クレマチスが出てきた、『恋のドレスと運命の輪』の感想はこちら


●希望という名の猫 
ある事件を通じて恋人になった弁護士のケネスと男爵令嬢のファニー。 身分の差から両親に結婚を反対されながらも、ファニーはひたすらにケネスを想っていた。 けれど、どうしても言い出せないことがあって「薔薇色」を訪れ、クリスにある相談をするのだけれど…。

「物語」としての完成度が一番高かったのは、このお話。 ファニーの悩みが招いた小さな嘘が、ちょうど良い「謎」になって、物語を最後まで牽引してくれました。 ジェフリーの登場に不安になったり調べたりと、いちいち翻弄されるケネスが面白かったです。 ケネスは持っているものがコメディちっくなので(笑)、重くなりすぎない雰囲気も二重マルw

で、またイラストのあきさんがイイ絵を描くんですよ!! ジェフリーを上目遣いに睨む表情までが妙に可愛いから不思議だわ(笑)。 とてもラストでファニーと……な美麗イラスト(これまた大満足な出来栄え!!)と同一人物だとは思えないコメディっぷりに、とても癒されました(笑)。 ジェフリーもまた絵に描いたような当て馬っぽい(酷)イラストに仕上がってて、ホントあきさん素晴らしいっ!!と大満足でしたw

ファニーが何故そんなにイレーネを気にしていたのかは、正直よく掴めませんでした。 ただ、ケネスと出会えたのは全てイレーネのおかげで、結局ファニーはその「お礼」を言いたかっただけなんじゃないかと、勝手に想像しました。 もしくは、イレーネが撃った「希望」という名の猫は、死ななかったよ、と伝えたかったのかも。 イレーネの「希望」も、きっと死なないんだよ、って。

で、4編中唯一のクリスとシャーロックのツーショットがある作品だったんですが。 これまたシャーロックのヘタレっぷりに、大満足でした(笑。そこかよ)。 クリスの指貫にまで嫉妬するとはっ!!(笑)。 あーもう、じゃぁ指輪くらいあげなさいよ!! 二人で見詰め合って満足してないで、ケネスを見習って愛の言葉くらい囁きなさいよ!! とツッコミ入れつつも、二人の醸し出す柔らかい時間が、私はやっぱり大好きなんですw 可愛いなぁ、もうっ!!


●窓の向こうは夏の色
14歳――寄宿学校時代のシャーロック。 学校脇の小高い丘で緑色の瞳の少女を見かけて気になるが、同室のビアードが言うには、何故か上級生からは「緑色の瞳の女とつきあうな」というお達しがあるらしいくて…。

物語としての完成度が一番低い(というと語弊かな)のは、このお話。 その分、シャーロックという人物が普段覆い隠している部分に迫っているから、違う面白さがありました。 っていうか、タイトルページのあきさんのイラストがまた超良いですねっ!! きっと本当にあんな真面目くさった顔して、アイスクリームの作り方を調べてたんですよこの人!!(笑) くそぅ、不覚にもときめいてしまいました、シャーロックに(笑。不覚なのか)。

この本の帯や、表紙の折り返しに、「シャーロックの初恋」だの「淡い恋」だの書いてあるんですけど、あれ?そう読めなかったのは私だけ? っていうか、その恋の相手って誰? いやまぁ、「緑の瞳」のキーワードといい、相手はグラスなんだろうけど…あれって「恋」なの?と、ちょっと違和感。 迫られてただけじゃん、いつもみたいに(笑)。 珍しくその気になってましたが!!(爆笑) 以前シャーロックがどこかで、「恋は学生できちんと卒業した」と言ってたから、きっと「こどものできないやり方」を教わったんだなと、思わず下種なかんぐりをしてしちゃいました(笑。アホか)。 っていうか、クリスに恋している今の彼の可愛らしさを見ちゃうと…ねw

ケネスがとても上級生っぽくて、現在のシャーロックとの関係とあまりに違うのが面白かったです。 反面、ビアードの手の早さはこの頃から達者で。 この二人の印象は、他の作品での彼らの印象と少し違う気がしました。 「成長」、してるんですね、男の子達もw 『エマ』や『コルセットに翼』を読んでも思いますが、イギリスの寄宿学校の上級生が下級生を教えるというシステムは非常に良いな、と思います。


●幸福な淑女
恋人だったビアードとの別れを決意したコーネリア。 母ドロシアもそれを喜ぶが、コーネリアには何が正しいのかは分からない。 頑ななまでに夫ヘンリーを愛し、今の生活を愛するドロシアの胸中とは?

『結婚したさに、嘘をついたのに決まっているんだから』
ドロシアがコーネリアに言ったこの台詞が、そのままドロシアの半生だったという物語が悲しい。 ラヴィニアとアップルへの強烈な嫉妬心を見ようともしない彼女が、本当に痛々しい。 

ドロシアが、本人が思い込もうとしているように、地位と財産と「正妻」という立場に本物の幸せを感じられる女性だったら良かったのに。 でも、違うでしょう? 貴女が欲しいのは、ヘンリーからの愛情なのに…。 それなのに、結婚するために愛はいらないと嘘をつくなんて…。 そしてさらに、愛のある結婚からコーネリアを遠ざけようとするなんて…。 何かもう、痛々しくて見ていられない感じでした。 彼女の複雑な愛情が、ヘンリーさんに届く日は来るのかしら。

コーネリアに愛を告げたビアードと、拒絶しながらも彼を思うコーネリア。 二人の行く末共々、気になる家族ですホント(笑)。

⇒次作 『恋のドレスと約束の手紙』の感想
⇒前作 『恋のドレスと黄昏に見る夢』の感想


<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・『booklines.net』
オンライン書店【ビーケーワン】 ・・・『窓の向こうは夏の色』をbk1でチェック!!


   




Loading...
Secret

☆Web拍手ボタン

押して頂くとりるがハリキリます(笑)

☆カテゴリ

☆サブカテゴリ (タグ)

 

☆最新コメント

☆リンク(おすすめサイト様)

☆アクセスカウンタ

QRコード

QRコード

RSSリンクの表示

アクセス解析

関連記事Loader

[猫カフェ]futaha

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

☆検索フォーム

☆購読予定一覧

☆アニメDVDの人気ランキング

☆更新日カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

07月 | 2017年08月 | 09月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


☆オススメ