『エマ・10(完結)』の感想

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『エマ・10(完結)』

 森薫
 エンターブレイン ビームコミックス/2008.5.7/?660






『 「ストゥナー」と。 先生もきっと 許してくれる 』

<ご紹介>
本編完結(7巻)後の3冊目の番外編にして、完結編。 本編で描かれたエマとウィリアムの結婚式をメインに、他5編の短編を収録した、とても満足度の高い1冊でしたw
    ⇒ 『エマ・9』の感想
    ⇒ 『エマ・8』の感想
    ⇒ 『エマ・7』の感想


<感想>
英国を舞台に、メイドであるエマとジェントリのウィリアムが紡いだ身分違いの恋。 その完結編は、とても幸せな1冊でした。 
この恋の成就には、二人の情熱と、支えてくれた人の理解と、途惑いながら認めてくれた人の誠意、そんな全ての想いがはちきれんばかりに込められている。 そして最後にとても大きな「時代」という後押しを得て、幸せな実を実らせてくれました。 森先生の美しく力強い「絵」が、その情感をあますことなく記してくれています。 読み手にまで幸せを運んでくれた完結編に、まずはありがとうを、それから、これからもお幸せに、を伝えたいです。


めでたく結婚をすませ、「奥様」となったはずのエマなのに、10巻の表紙はメイド姿。 この辺に森先生の並々ならぬ愛着を感じるけれど(笑)、似合ってるから良いのだっ!! それに、彼らが辿ってきた身分との戦いを忘れない為にも、この姿で最終巻を迎える意味があるんだろうな…。


全編、どれも良かったのだけど、冒頭で掲げたウィリアムの台詞のところで、突然涙が溢れて止まらなくなったのには、自分でも驚きました。 エマの気持ちを見抜いて、身分の壁に怯えるエマに『あなたなら大丈夫』と応援してくれたケリー先生の言葉が無かったら、二人の「今」はきっとなかった。 それをちゃんとウィリアムが分かってくれていたこと。 それから、メルダースの旦那様にエスコートされていても、エマがある意味、ケリー先生の娘としてウィリアムと結ばれたことが、何よりも嬉しかったんです。 
先生なら、『きっと』どころか、『絶対に』許してくれる。 むしろ喜んでくれた。 それなのに今はいなくて、でもアルがその不在を悼んでくれて。 こうやって人の「想い」は、優しく連鎖していくんだなぁと、しみじみ思って、もう一度泣きました。 


物語も、人物も、まさに成熟した完結編。 なんの不満もなく、ただその幸せを祈れる喜びに溢れていました。 オススメ。


さて、テンション上げて(笑)、以下各話語り。 『続きを読む』からどうぞw




●第13話 『自転車』
ウィリアムとエマが自転車に乗ってお出かけをするお話。 ただそれだけなのに、何でこんなに面白くて色っぽいのだ!? お互いの視線から、相手を想う光線が出てて、視線のやり取りだけで愛情が伝わってきましたw 今後の予定を立てるウィリアムを見てエマが顔を赤くする辺りで、何だか私まで赤面でしたよ。

一番好きなのは、エマが少しブレーキをかけて、後ろを走っていたウィリアムと肩を並べるシーン。 今までの二人の関係って、立場的に、ウィリアムがエマの少し前を歩いて彼女の手を引いてきた感じだと思う。 でも、身分の差とか関係なく、ウィルと肩を並べて同じ目線で自転車を走らせようとしたエマの態度に、今までよりもずっと強く「ウィリアムと生きていく」意思を感じました。 だから、好き。 前方から吹く爽やかな風が、明るい未来を感じさせる風景描写もさすが。 「二人で前に進む」というこのお話が10巻の冒頭にあることで、ラストの結婚がより感動的になったと思います。


●第14話 『アデーレの幸せ』
ミステリアスなメイド長・アデーレと、一見正反対なマリアさんの、見えづらい友情をさらっと描いた大人のお話。 どちらも、自分の欲求に真っ直ぐ生きてるという最大の共通点があったんですね。 お酒と煙草と仕事が出来る女性達のカッコよさったらないです!! ラスト、メイド姿が初々しいアルマに、思わずターシャを重ねてしまいました。 アルマ的には不本意かもしれないけど(笑)、可愛くてw


●第15話 『規律』
晴れて監督生の立場を得たアーサーが、「人の上に立つ」ことを学ぶお話。 以前読んだ『コルセットに翼』(⇒感想)とか有名な『小公女』でもそうだけど、イギリスの学園生活って、上級生が下級生をきちんと指導し模範となるよう励む姿がよく描かれてますよね。 監督生を目標にやってきたけど、ここが「ゴール」じゃなかった。 そんな日常に、普段クールなアーサーが振り回されながらも向き合っていく姿は、等身大だからこそ見ていてとても気持ちがよく、私の背筋も伸びる感じでした。 わが身を省みないと…(笑)。


●第16話 『後日』
第8巻『ブライトンの海』で描かれた、エレノアとリーヴの出会いの、後日談。 個人的に大好きな二人なので、この結末は嬉しいっ!! リーヴって、この作品でも随一の好青年ですよね(笑)。 その好青年の積極的な申し入れが、めちゃツボでした!! タイトルの『後日』は、後日談という意味合いよりも、この二人に「後日」、つまり「未来」があるっていうニュアンスな気がする。 その方が、この二人には合う気がします。 


●第17話 『いつまでも愉しき日々』
4コマです。 面白いです!! やっぱり上手なマンガ描きさんは、4コマも巧いなー。 いろんな人の日常の姿をさらっと描いてあってどれも良いんだけど、個人的に最大のヒットは、119ページのハンス。 彼の高身長・高収入をさんざん褒めておいて、『これでハンスじゃなかったら完璧なのに…』って、全否定じゃんっ!!(笑) アデーレさんとうまくいくと良いなぁ。 貰った絵を全部保管してるスティーブンスさんには思わずしんみり。 愛情がないと出来ないお仕事ですよね、執事って。 長生きしてください…。


●第18話 『新しい時代(前編)』
結婚式編。 ロンドンまで馬車ではなく、自動車で移動している辺りに、急激な時代の流れを感じさせる冒頭の演出が上手。 成熟したエマの美しさも素敵でした。
が!! ごめんなさい、りるはハキム好きなんです!!(笑) エマへの直球の告白とその後の想いも、ウィリアムのことを実はかなり好きなところも、純粋でキレイ。 いきなり居る!!っていうお約束(笑)もかなり大好き。 という訳で、18話はハキムがメインってことでw 


●第19話 『新しい時代(中篇)』
ほぼ前述済みなので、軽めに。 ヴィヴィアンを慕うエーリヒが可愛いですねっ(それか!!)。 でも、一番はやっぱりハキムなんですけど…(笑)。 使用人同士の思惑が、妙にリアル。 いつの世も、出会いには一喜一憂ですねw


●最終話 『新しい時代(後編)』
ちゃっかり新郎席に座ってるハキムが(以下略)。 ウィリアムの結婚を祝うご老人方が、幼い頃のウィリアムの逸話(笑)を口にするあたりに、とても深い愛情を感じてちょっと涙ぐんでしまった。 
いろいろな人が、全然別のことを考えながらも、祝いの席で幸せを願える。 その贅沢な光景が、圧倒的な画力もあって、もの凄く力強く伝わってきました。 最高の最終回。 圧巻でした。



<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・『漫画読みの憂鬱』 『ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん』
●TB送信先サイト・・・『或る書店員の戯言@週休1日モード』
オンライン書店ビーケーワン







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