『霧の街のミルカ 帰らぬ王子と初恋の都』の感想

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『霧の街のミルカ 帰らぬ王子と初恋の都』

青木祐子
集英社コバルト文庫
2009年10月10日 第1刷発行/¥495+税






「スティーヴン?」
半信半疑でミルカが言うと、相手もびっくりしたように、問いかけてきた。
『――ミルカか?』
「そうよ、わたしよ、スティーヴン! ミルカよ。 とってもひさしぶり! うれしいわ。 あのね、いま、アッシャーのエドマンドホテルにいるの。 それで――」
なつかしさのあまり、早口でそこまで話したところで、ぶつりと電話が切れた。
ミルカは受話器を握りしめたまま、立ち尽くした。
――なに。
一瞬、理解できない。
それから、ショックが襲ってきた。



<ご紹介>
二十世紀初頭のロンドンを舞台に、ご令嬢の 「話し相手(コンパニオン)」 を職業とする少女・ミルカの活躍を描く、シリーズ第3弾にして最終話(多分)です。
ミルカが所属する職業斡旋事務所の所長・オシアンは、最近仕事を回してくれない。 それどころか、まるでデートのような夕食に付き合わされたりと油断ならないが、約束と違って連絡をくれないスティーヴンのことも気になるし、いろいろ大変なのだ。 けれど、北国の姫・フィオナの 「家出」 が、ミルカやスティーヴンに思いがけない事件を齎して…。


<感想>
うわぁもう、いろいろビックリした!! 帯を見て、「え、最終話なのっ!?」 とか。 ミルカの生い立ちに、「えぇっ、ミルカってそうなの!?」 とか。 ラスト、「ひょぇぇ、ラブなシーンはないの!!??」 とか(笑)。 何だかちょっと、どれもが唐突な印象で、驚きっぱなしの1冊でした。 いや、面白かったんです、面白かったんだけどさ!! 何ていうか、心の準備が全く出来ていなかったんです。 その分、早く先が知りたくて、ドキドキしながら読めたのは良かったのですけどねw


前2作は、ミルカが 「話し相手(コンパニオン)」 として働くことになったお屋敷で起こる、不思議でフクザツな事件を描いたものでした。 けれど今作は、ミルカが抱える騒動の種が発端となっているので、フィオナというトラブルメーカーは登場するものの、ミルカ自身の物語が展開されたと言って過言ではないでしょう。 身元不明ながらも育ちの良さそうなミルカには何らかの事情があると気付いてはいたけど、それはもう少し時間と伏線を使って消化されていくものだと思っていたので、この展開に驚いたんですよね。 せめて今までに北の島国との絡みがあればなぁ・・・と、伏線の張り方にはちょっとうるさい(自称・笑)ミステリ読みとしては、 「勿体ない!!」 と思ってしまうんですよね・・・。


それでも、ミルカちゃんの秘密のヴェールを一枚ずつ剥いでいくような物語は、やっぱり面白かった。 ミルカという少女はいつも前向きで、自立心と好奇心とお節介の固まりみたいな女の子で、その溌剌とした存在感は私にはとても魅力的なのです。 なので、ミルカちゃんの過去の選択も自由を愛する彼女らしいと思うし、フィオナと二人ホテルから抜け出す作戦も、スティーヴンとの悲しい電話という予測できない事態をもおしてやりきったところなんかは、すごくカッコイイと思う。 それでも結局は誰かの・・・というかオシアンの掌の上で転がされていた訳だけれども、自分の身一つで事態を切り抜けようとするミルカちゃんの強さ、私は憧れるほど大好きですw 「コンパニオン」 として見知らぬお屋敷に乗り込む時も、彼女はいつも自分の能力一つでご令嬢から信頼を得てきた。 身一つ勝負な性格は、彼女の最大の武器だったんですね。


でもって、そんなミルカちゃんが気になって仕方ないスティーヴンがもう可愛くて可愛くてっ!!(笑) オシアンの意地悪のせいですれ違った二人が、お互いにフラれたと思いつつも諦めきれない様子は、ホント胸が痛かったです。 それに、ミルカの出自を知ったスティーヴンが、動揺はしても態度を変えなかったところもすごく好き!! オシアン達からもう会うなと通告されても拒否したシーン、感動したなぁw あとはやっぱり、ラストのオシアンとの直接対決!! ミルカちゃんを好きな一人の 「男」 として、足を組んで微笑む――なんて、普段のスティーヴンからは考えられない男らしさです。 あまりのカッコ良さに、私が惚れそうでした(笑)。 そして、そんなスティーヴンを心のどこかでずっと信じつづけ、再会したときに泣いてしまったミルカちゃんの可愛さったらもう…っ!! 人前を憚らずにいちゃいちゃ(誇張)する二人に、メロメロでしたw


――だから、だからこそ!! 何で二人がちゃんとくっつかないのか、ホント残念ですーっ!!(マジ泣きっ) もうね、ここ最近で一番の心残り!! オシアンは諦めムードとはいえ、ミルカちゃんとスティーヴンの決定的な場面もなかったラストは、私が苦手な三角関係の結末パターンだったので、しばし呆然と…。 いや、これは単純に私の嗜好と思考が偏ってるからであって、物語としては面白かったんだけど、残念なものは仕方ないです(笑)。 あら、ラブラブシーンが見たかった…。 あとがきで、「これが最終巻です。 たぶん。」 ってあったので、最終巻じゃない可能性もなくはない!! というわけで、是非ラブラブな短編を熱烈に希望します。 オシアン視点とかも読んでみたいし、是非お願いします。 もうホント、切実に…!!(笑) 



・1作目 ⇒『霧の街のミルカ 忘れられた花と人形の館』の感想
・2作目 ⇒『霧の街のミルカ 円卓の乙女とただひとりの騎士』の感想
・関連  ⇒『恋のドレス』シリーズ感想一覧


<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・10/6 『- `)。oO(少女小説読みの日記)』様 (いつも的確に面白くまとめてあってスゴイです。あ、私もオシアンによろめきました・笑)
オンライン書店【ビーケーワン】・・・『霧の街のミルカ 帰らぬ王子と初恋の都』をbk1でチェック!!






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