『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち・1』の感想

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『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち・1』 壁井ユカコ
テクノサマタ(画)
メディアワークス電撃文庫/2006.11.25/\550




『全部ちぐはぐで、全部自分じゃあないような気がした』



<ご紹介>
『キーリ 死者たちは荒野に眠る』で電撃小説大賞を受賞しデビューした壁井ユカコの新シリーズ。現在3巻まで発売中。 「鳥籠荘」で起こる小さな物語を読みきり形式で綴るお話です。

何故か社会に馴染めない風変わりな人ばかりが集まる、ホテル・ウィリアムズチャイルドバード「鳥籠荘」。 16歳の衛藤キズナも訳あってここの住人だ。 毎日を持て余し気味に過ごすうち知り合った住人の由起から、アルバイトを紹介される。 それは、同じく住人の美大生・浅井有生のために、ヌードモデルを務めるというもの。 躊躇いつつも始めてみたキズナは、次第にその空間を気に入るようになるが、有生には踏み込めない領域があって…。


<感想>
『キーリ』シリーズが大好きだったので、今回もちょっと読んでみました。 相変わらず、何でもないようなちょっとした心の痛みとか、誰にでもあるけど向き合いたくない寂しさ、とかを表現するのが巧い作者さんだなぁ。
その分、決してパッと明るいお話にはならないんですよね。 どこか物悲しいんだけど、辻村深月のように文体に自然に漂う寂しさではなく、敢えて自分をそこに追い込むような、どこか痛々しい部分が物語に表れていて、ちょっと目が離せない感じがする。
『キーリ』はそれを物語性で補っていたけれど、今作は敢えて大きな物語を作っていないので、正直、う~ん、好みが分かれそう(作者自身が「基本的に何も起きません」とあとがきで書いてるくらい)。 そして私は…う~ん、って感じでした(笑)。


第1話「さよなら、泣き虫ポストマン」、ちょっと発育が遅れているジョナサンという人物を中心に、「鳥籠荘」がどんな感じなのかを描いている。 この時キズナは既に有生のモデルであり、時系列的には第2話の方が先になる作りなんですね。 その割りに、第1話で十分に話に惹き込む力はあるから不思議。
ジョナサンがキズナに出会って前向きに変われたのは確か。 でも一方キズナはといえば、どこか彼に対する優越感があったのもホント。 そういう見たくない感情をきちんと描いているから、ジョナサンが見せる綺麗な精神がどこまでも愛しくなる。
この話がとても好きで、うん良いかも、と思ってたんだけど……物語がキズナと有生メインになると、ちょっと考えてしまうのです。


『キーリ』でもそうだったんだけど、どうしても主人公の相手役になる(であろう)存在の思考が、後ろ向き過ぎるんですよね…(笑)。 いや、ハーヴェイは途中からキーリを光だと感じてたので随分変化したけど、それでも頑なにキーリの方を見ないようにしていたと思う。
今回、有生がとことんそうなんですよね…。 基本的にキーリもキズナも恋愛面には前向きなので、余計に痛々しくなるのです。 っていうか、痛い。 ヒロインが癒してくれるのを待ちながら読み進めるのは、ちょっと辛いかな、と思ってしまいました。


<まとめ>
それでも第3話のパパネコの話とかはやっぱりとても良いので、次の本も手にとってしまうんだろうな~(笑)。 あ、この擦り切れそうに繊細な登場人物たちの存在と、イラストの線の細さはよく合っていると思います。 決して好きな絵ではないのだけど(ごめんなさい)、作品にフィットしていれば成功だと思います。


<関連サイト様>
●感想拝読しました・・・『Alles ist im Wandel』 『booklines.net』
●この本を買う・・・ 『bk1』 / 『Amazon』
●壁井ユカコ公式サイト・・・『パルプチャンネル』


キーリ―死者たちは荒野に眠る (電撃文庫) キーリ〈2〉砂の上の白い航跡 (電撃文庫) キーリ〈8〉死者たちは荒野に永眠る〈上〉 (電撃文庫)


鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈1〉 鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 2 (2) 鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 3 (3) (電撃文庫 か 10-13)






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>遠子さん

コメントありがとうございましたw

>私もキーリ、読みました

『キーリ』の1作目がすごく好きで、全作読んだんですけど、あのラストはなぁ・・・切なかったです。 そっちに行っちゃうか、という感じで。

>鳥かご~も迷ってて、りるさんのコメントで読もうと今決めました。

あ、本当に? 結構マイナスなことばかり書いた気がしたので、この感想で敢えて作品読もうと思ってもらえるなんて嬉しいですw 
何が決め手ですか?(と逆に訊いたりしてw)

>「からくり荘の異人たち」

確かにタイトル似てる…(笑)。
アパートなどに集まる濃い人たちを描いた作品は結構ありますよね。 マンガだと、冬目景さんの『ACONY』とかもあります。 
そして割と秀作が多いのもこのパターンかもしれません。

『からくり荘~』は知らなかったのですが、やっぱり楽しそうです。 教えてくれてありがとうございましたw

どうもです^^

私もキーリ、読みました。


鳥かご~も迷ってて、りるさんのコメントで読もうと今決めました。

幸い部活も終わり、夏は暇なので。←受験のことはあえて無視 (笑)

私はあのイラスト気に入りましたけどね。


以前、似たテーマのお話を読んだことがあります。


「からくり荘の異人たち」


タイトルも若干似てますよね。

私それが大好きで。


人にうまくなじめない太一が引越した先に広がっていたのは、妖怪が平和に暮らす異世界で・・・

普通の人とはどこか違う人たち。
そこに居心地のよさを感じる太一。
そして、自由に生きる妖怪。
境界線を守るお気楽大家。


うまく表現できなくて申し訳ないのですが、とてもあたたかくて、日常とかけ離れていて、やっぱり私もそこに居心地のよさというものを感じました。



よければ、読んでみてください。

お勧めです。





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