『あなたに眠る花の香 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の感想


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『あなたに眠る花の香~ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

青木祐子/あき
集英社コバルト文庫/2007.8.10/\476






<ご紹介>
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズの第8弾は、番外編となる短編集。 雑誌コバルトに掲載された4編と書下ろし1編の、全5編。 今回は「闇のドレス」の謎は少しお休み。 さまざまな事情からドレスをドレスを求める人々が、クリスとパメラが営む「薔薇色(ローズ・カラーズ)」に訪れることで始まる小さな恋の騒動とは…? 本編詳細は、『恋のドレスとつぼみの淑女』レビューをご覧下さいませ。
→関連記事 『ヴィクトリアン ローズ テーラー』シリーズの感想一覧はこちら


<感想>
第7作『恋のドレスと運命の輪』で盛り上がったクリスとシャーロックの物語の後なので、そりゃちょっと物足りない気もしますが(だって、素敵過ぎたの!!)、こちらはいつ読んでもくふくふできる可愛らしさだと思います♪
二人の描写はどこまでも初々しくさらっとしていて、それよりもゲストの事情と恋物語がメインです。 「あとがき」で作者さんが仰ってるように、中短編向きの作品であることは、確かですね(長編向きにするための「闇のドレス」なんですね)。

本編よりもあきさんの挿画がたくさんあるので、ちょっとお得な気分。 総表紙のイラストは、表紙としての存在感は薄いけれど、登場人物紹介のイラストと共に、本シリーズの明るい時の雰囲気が一枚絵でよく表現されていると思います。


●『恋のドレスとプリンセス・リボン』
シャーロックとの結婚を狙うバーンズ家から依頼されたドレス作りが捗らないクリスの元に、小さなお客さまが現れた。 名前はフリル・ウォリンフォード。 赤毛にたくさんのリボンをつけた小さな淑女は、恋しい従兄弟・シャーロックのためにリボンを作って欲しいと依頼をしてきて…!!

リルことフリル嬢の初登場はここだったのか!!と妙に納得した短編。 『恋のドレスは開幕のベルを鳴らして』で当然のように登場してたので、読みながら多少の違和感があったのは、このためだったのですね。

リルがリボンへ執着していることは、本編でも描かれていたけど、その背景に小さなコンプレックスが燻っていたとは…。 このコンプレックスと真摯に向き合ってくれたクリスに好感をいだいたのに、せっかくの綺麗な黒髪を地味に纏めているだけなんて羨ましいし憎たらしいし…!! っていうリルの可愛らしさが炸裂。 お姉さんはもう、メロメロでした(笑)。

ちょっといじけたような表情のクリスのイラストが超可愛いw シャーロックもこの頃は余裕綽々でクリスと接してますね。 笑いたくなりました(笑。 ヒドイ…)。


●『黄色い花の法則(ルール)』
恋人に求めすぎて、すぐに幻滅してしまうのがジェインの悪い癖。 知り合いの詩人・ダイムに揶揄されたのが悔しくて、恋のドレスを作ろうと考えたジェインは、そこで出遭ったシャーロックに一目惚れした。 それを報告に訪れたダイムの部屋で美女と遭遇してしまい、何故か悔しくて…。

パメラを凌ぐ台風娘(笑)ジェインの魅力満載でした。 恋に恋する彼女の地に足の付かない心の揺れ具合い、ちょっと間違うと嫌な女の子になりがちだけど、ここまで荒れてくれるといっそ気持ち良いです。 何て言うか「負」のイメージのない女の子なんですよね、ジェインって。 太陽はきみの色、と言いたくなるダイムの気持ちが分かるような。 二人で車輪を持ち上げながら(笑)逞しく幸せになって欲しいですw

パメラがまたいつになく美人です。 やっぱり彼女は、人をからかっているときが一番美しい(笑)。 シャーロックとクリスは相変わらず、「俺のことはシャーロックでいいと…」のやり取りをしていました。 何度やれば気が済むのか、と思いつつ、実は毎回楽しみなりるです(笑)。


●『さびしがりやの王子』
イアン先生の招待で、キースの舞台を観覧したクリスとパメラ。 そこで出遭ったエルという少女は、大ファンのキースのために恋のドレスを作りたいと言う。 キースにはカリナという恋人がいることをしる二人は躊躇うが、報われない恋を応援したいクリスは依頼を受諾したのだが…。

全編中、いちばんツッコミどころのあるお話(笑)。 ゲストヒロインであるエルちゃんの心が掴めなくて、読みながら困ってしまいました…。 私にとってこのお話は、エルとジム・キースとカリナの物語ではなく、完全にイアン先生とパメラの物語です。 この二人なら、理解できる世界なので(笑。他は私レベルでは理解できませんでした・・・)。

パメラにせっせとアピールするイアン先生が健気で泣けてきます。 こういう人と恋愛が出来たら幸せだと思うのです。 パメラも恋に対する理想があって、イアン先生の暢気な様子に物足りなさを感じでいるようだけど、それってつまり、どこかで恋愛対象として考えてるからこそ感じる不満なんだよね。 是非うまくいって欲しいな。

すれ違いながらも互いを想うクリスとシャーロックの関係が、本編に一番近かったお話でした。


●『あなたに眠る花の香』
植物の研究が好きなダイアナは、毎週水曜日に雑貨店で見かける青年が気になって仕方ない。 だが雑貨屋の店主は、その男性・ミルトンは1人の女性を幸せに出来なかったろくでなしで、30年前からずっと同じ姿で町にやって来るのだと言う。 悩むダイアナは、相談を兼ねて「薔薇色」を訪れる・・・。

表題作にして一番長いお話。 完全に、ゲストメインでした。
同じ男性の姿が30年変わらないことがあるのか・・・という謎とダイアナの恋心を繊細に綴ったストーリー展開は、本編に一番近い雰囲気でした。 謎そのものの答えは、まぁそうだろうというオチでした。 が、ミルトンのことを調べ知るうちに、年上だろうが病人だろうがその人を愛せると思うに至るダイアナの心情と、その気持ちを支えたクリスのドレスが悲しいほど綺麗でとても良かったです。
「花」というモチーフが良く効いていたのも、雰囲気を盛り上げてましたね。


●『扉をあけるマリア』(書き下ろし)
娼館「マリア」の下働きだった14歳のパメラ。 客をとる前にここから抜け出したいというのが願いだった。 裏庭で出遭ったアイヴォリーという男性に仄かな恋心を寄せるようになったパメラは、ある日、娼婦のドレスを作りに訪れたクリスという少女と出会い、不思議な感情を抱く・・・。

本編でちらりと仄めかされていた、パメラとクリスの出会い編は、パメラの一人称で綴られた書き下ろしの良作!! シャーロックが1巻で見せた推理は、決して的外れじゃないけどやっぱり全然違うものだ。 そりゃ、パメラは怒りますよ。 それが嫌で、決死の覚悟で逃げてきたんだから。 よくあの時殴られずにすんだね、シャーロック(笑)。

ヴィクトリア朝時代の下層階級の生活感と上流階級の考え方の違いが痛々しくて、本気でアイヴォリーに怒り、パメラとクリスを応援しながら読み進めてました。
パメラがイアン先生との恋にいまいち踏み出せない背景にこんな男の影があるなんて、悔しい限り!! そりゃ確かに文字や数学、それから愛情の根本的なもの(230頁「何か大切なもの」)を教えたのはアイヴォリーだけども・・・でももう断然、イアン先生との幸せを私は祈るよ!! 頑張れイアン先生・・・って、彼の押しの弱さが不安材料なんだけどね(笑)。

果たしてクリスと一緒に逃げきれるのか、ハラハラさせられました。 二人が手を伸ばしあうイラストが、本当に良い!! 幼い感じも超可愛い!!(笑。犯罪では・・・) いつもクリスを励ます今のパメラがいるのは、最初にクリスから貰った信頼があるからなんですね。 クリスはパメラの希望だったんだ。 でもそれは絶対、逆も然り、だと思う。

二人の出会い、私のこの作品との出会い。 どれも奇跡のような確立でめぐり合った、素敵なものなんだと、実感させられました。
⇒次作 『恋のドレスと大いなる賭け』の感想
⇒前作 『恋のドレスと運命の輪』の感想
    

<関連サイト様>
●本を買う・・・ネット書店『bk1』
●出版社・・・『Webコバルト』 

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