『酸素は鏡に映らない』の感想

酸素は鏡に映らない
上遠野 浩平著
講談社 ミステリーランド(2007.3)
通常24時間以内に発送します。


→amazonで見る『酸素は鏡に映らない』 No Oxygen,Not To Be Mirrored
上遠野浩平/toi8/講談社ミステリーランド/2007.3.30/?2000


「君もまた毒なのだ――それを理解したとき、君も世界の支配者となる

<ご紹介>
「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」児童向けミステリ全集・講談社ミステリーランドの、第12回配本作品です。 もちろん書下ろし。

クワガタを追って辿りついた公園で、健輔は不思議な人物に出遭った。 そして、バイクで飛び込んできた青年・守雄にも。 「ふたつにひとつ、だ」 ”オキシジェン”と名乗る人物が投げかける問いから始まる不思議な問答。 幻のエンペロイド硬貨を探すように暗示された健輔と守雄は、健輔の姉・絵里香と共に手がかりを掴むが、訪れた美術館で銃を持つ強盗団に出くわしてしまい…!?

    
<感想>
それは多分、不確かなもの。
明確な姿を持って鏡に映ることはないけれど、きっとずっと側にあるもの。

何とも不思議なお話でした。 どーなんでしょう、所々目に付く点はあれども、割と伝えたいことは明白でした。
「世界の支配者」を名乗る(割には大した出番はない)オキジジェンが繰り返す不可解で深遠な問答と、『無限戦士ゼロサンダー』という作中作の世界観を上手くリンクさせて、それを表現しようとしている手段がなかなか面白かったかな。

基本的には、健輔がオキシジェンとの出会いにより、硬貨の謎や世界の理に触れ自分自身の世界を拡げるお話。 硬貨に纏わる冒険は子ども心をくすぐるし、特撮ちっくな作中作もなかなか面白い出来で思わず映像で見たいと思わせる何かがある。 ミステリ要素は少ないけれど、この部分で楽しめます。

けれどやっぱり肝心なのは、中間部にある健輔とオキシジェンとの問答でしょう。 タイトルにもなっている「酸素」の考察を経て人間性を描くやり方が、非常に上手い!! 酸素は毒物であり物を燃やす触媒であり、そして導き出された結論は、それまでの穿った物の見方とは違う、根源的なものでした。

「人が人を信じるっていうのは、酸素と同じなんだって」

ここだけ見たら、陳腐なセリフに見えるかもしれない。 けれど、あの問答を読んだ後だとすぅっと心に入ってくるから不思議。 呼吸するくらい自然な行為なんだけど、ということは、毒物である酸素を吸い込んででも関わりたい悲しい行為なのだということ、かな。 逆説なのに順接的なオキシジェンの言葉は、とても興味深かったです。

難点を挙げると、まず途中で挿入される語り口調の文章が邪魔だということ。 『刀語』でも見受けられますが、この手の語りは作品の世界に没頭することを阻むので、個人的には嫌いな手法。 まぁ、好き嫌いなのかな?
あとは、上遠野浩平の人気シリーズ『ブギーポップ』シリーズと作中世界がリンクしているので、この作品単体で楽しむには不明な点が多いということ。 逆に言うと『ブギーポップ』読者なら読んでおくべきと思われる描写があるので、ファンは楽しみなのかな? ちなみに私は『ブギーポップ』を未読なので、この不満は多少ありました。

それはそうと、『コミックファウスト』誌上に掲載された横山光輝『マーズ』のノベライズ作品は、まだなのでしょうか…? すっごく気になってるんですけども!!

<関連サイト様>
・出版社・・・『講談社ミステリーランド』
・感想拝読しました・・・『Alles ist im Wandel』 『ラノベなPSP』 


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