『スロウハイツの神様』の感想

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)
辻村 深月
講談社
売り上げランキング: 46554


『スロウハイツの神様・上』辻村深月/講談社ノベルス/2007.1./?850
『スロウハイツの神様・下』辻村深月/講談社ノベルス/2007.1./?940

<ご紹介>

講談社メフィスト賞作家・辻村深月の5作目は、上下巻で展開される大人の青春群像劇。
『凍りのくじら』に登場したアノ人も登場するので、前々作が気に入った方には特にお薦め。

十代の赤羽環は、死にたかった。 人気脚本家となった環は、「スロウハイツ」にクリエータの卵である友人を集めて共同生活を始める。 彼女が敬愛するチヨダ・コーキは、猟奇的なファンが彼の小説を模倣して引き起こした大量殺人事件から立ち直り、人気作家の道を邁進していた。 映画監督と画家の卵・正義とスーの、当たり前のような恋愛。 漫画家を目指す狩野の、優しさの奥底にある闇。 それぞれが小さく煌く中、新たに加わった謎の少女の存在が、スロウハイツの時間を動かすきっかけとなる。

<感想>
今までの作品より少しだけ登場人物の年齢層が高く、その分、今までのような淋しげな文体ではなかったように感じました。 つまり、成長する過程で磨り減るって燃え尽きていくものが淋しさなのだ、ということなのかもしれない。 そう思わせるほど、従来の辻村作品、そして若い頃の描写は、ひどく物悲しいのだ。

今回は全体的に俯瞰的な目線で登場人物を捉えていて、感情移入出来そうな、出来なさそうな、ギリギリのラインでメインの7人を描いていたように思えます。 読了してみれば、それが主に語り手を務めた狩野の性格によるのではないか?と思い至るけれど、読んでいる最中は、何となくもどかしくて仕方ない。 ただやはり、ストーリーを進めるのには狩野の並行的な目線は効果的。 特に下巻で問題になる、「誰がチヨダ・コーキのライバルなのか」という謎に迫るためには、必要な演出だったのでしょう。

正直言うと、上巻はストーリーとしてはほとんど動かないので、読んでいて先が見えない。 「ホントに面白くなるのか?」と、確かにちょっと疑った。 人物設定と紹介を1冊かけて描いてるので多少の冗長感があるんだけど、でもその甲斐あって最後には、まるで自分もスロウハイツで暮らしているんじゃないかと思えるくらいの距離感を、登場人物との間に得ることができるのだ。

下巻の冒頭から動きを見せる正義とスーの恋愛も、何度も恋愛を繰り返す環の諦観も、何となく愛しく思えてくるから不思議。 特に環の凄烈な強さは、想像すると絶対コイツとは合わないだろと思うくらいのインパクトなのに、それが環だと仮定するだけで可愛く思える。 なかなか懐かない猫みたいな感じ。

思ったんだけど、「スロウハイツの神様」は、結局誰だったんだろう? 誰、っていうのは変なのかもしれない。 環にとってはあの方だろうし、コーキにとってもあの人かもしれない。 それぞれにとって真剣で真剣で仕方が無いことが、確かにスロウハイツには有って、それを読者はずっと俯瞰的に追い続ける。 もしかしたら、あの家のことを細かに知ってしまった私たちこそ、神の目線に近いのかもしれないよね、何てことを考えながら読んでました。

メイン7人の目線から描いた群像劇とも、各所に散りばめられた小さな謎を回収するミステリとも読めるけれども、やっぱり基本は、素敵な恋愛小説なんじゃないでしょうか?

<関連サイト様>

・感想拝読しました・・・『booklines.net』 『juice78』 『読書日記★PNU屋★』


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