『コッペリア』の感想

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『コッペリア』
加納朋子 講談社文庫 2006.7.14(初出:2003.7) \629


 

<ご紹介>
日常に潜む小さな謎を扱うミステリを書かせたら天下一品!!
と私が勝手に思っている加納朋子さんの、初めての長編作品。
普段は専ら、短編連作を重ねて1作品、というパターンなので、
ファン待望の作品になるのではないでしょうか。
(お金がなくてハードカバーで買えなかったので、私はやっと今デスヨ)

が心奪われたのは、人形だった。 
作者の名前から「まゆらドール」と呼ばれているものの一つ。
だがその人形は無残にも、僕の目の前で、まゆらの手によって破壊された。
再びまゆらの家を訪れた僕は、窓辺に置かれた「彼女」を見つけてしまう。
今までのどんな人形とも違う「彼女」に、僕は恋に落ちた。
それなのに、「彼女」にそっくりな女優・が現れる。
この酷似は、偶然? 必然? それとも・・・?



<感想>
『人形館の殺人』に続いて、またもや人形モノになってしまったのは、怖い偶然です。
人形、苦手・・・。
だって、ヒトガタですよ? ウツシロですよ? 怖いじゃん!!(落ち着けや…)


物語は一人称で綴られていて、語り部は聖と了を中心に、章ごとに変えられている。
今までの連作短編で、1作ごとに視点を変えながらも大筋を描いていた作者にとっては、
長編の節ごとに視点を変えるのも、難しくはなかったのかもしれない。
そう思わせるほど見事なまでに軸がぶれず、
散りばめられた小さなヒントが謎に向って収束していく様子は素晴らしかった。
再読してみると、「あぁこんなところにも露骨にヒントが!!」と発見しつつも、
初読の間はまったく気づかなかったのだから、簡単なわけないと思うのだけど…。


読者を混乱させるメイントリックは、3章だてのうちの第2章の途中であっさり明かされる。
その潔さに、作者が本当に書きたかったのはトリックそのものではなく、
その後の聖や了の行動や生き方なんだ、
と見当をつけるのは誤りではないと思う。
トリックは本当に鮮やかで、どんなに素晴らしいかめちゃくちゃ書きたいけど、
さすがに書けないのが悲しいところ(笑)。
是非本で体験していただきたいな。


基本的に自分大好き!!な聖が、3体の人形を持ち主に返すために奮闘するのは、
夏休みの宿題のように強制されたものではなく、
自分が進んでいくために過去を清算する、とても自発的で綺麗な行為だと思う。
読者がそれまで読んでいた聖の小悪魔的なしぐさや行いが、
全て彼女が彼女を騙すための演技だったことに気づかされる。
そこに至るまでの「人形」の廻りあわせはとても運命的で、
もしかしたら有り得ないくらいの配置なのかもしれないけれど、
人間と人形、双方の意思が呼び込んだ結果なんだな、と妙に納得してしまった。
その後で「人形の意思?」と自らのコワイ感想に突っ込んだけど・・・、
何となく、そう考えるのが一番しっくり来た。


全てが絡み合うような仕掛けを用いて描かれているため、ミステリとして面白いけど、
多分これは、恋愛小説なのだと思う。
作中で描かれる悲恋が起こす悲劇。 対照的に、爽やかな想いが呼ぶ結末。
その対比を際立たせつつも柔らかい読後感が、とても素敵なお話でした。
っていうか、もうね、私が聖にメロメロですよ(笑)。

個人的には、★★★★★星五つ!!



<関連サイトさま>

『bk1』にTBさせていただきました。

『読書とジャンプ』
『トミーのエンタメ日記』
 


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