『スパイラル~推理の絆~・15』の感想

『スパイラル~推理の絆~・15(完結)』 img20060205.jpg
 城平 京・作
 水野英多・画
 スクウェア・エニックス ガンガンコミックス 2006.2.22 ?429


<ご紹介>
月刊コミックガンガン誌上で6年半連載されてて、2005年にめでたく完結。
全15巻+原作者による小説4冊、アナザストーリー『スパイラル・アライヴ』が1冊発行済み。
う~ん、惜しい作品をなくした(笑)。

原作者はプロのミステリ作家として著書も出ている城平京。
何がどーしてマンガの原作を担当することになったのかは不明ながらも、コレが大ハマリ!!
一方の水野英多は当時まだ新人さんだったはずで、 『アクトレイザー』でも書いたけれど
新人さんに原作付き作品を担当させることでヒットを生むエニックスマジックは、本当にお見事。

ストーリーは、タイトルからそこはかとなく漂ってくる通り、推理もの。

鳴海歩はどーにも無気力な高校生。 天才と謳われた兄の陰で生きてきたが、その兄は「ブレードチルドレンの謎を追う」という言葉を残して失踪してしまった。 ある日学園の屋上から生徒が転落、歩はその容疑者扱いされてしまう。 面倒がりつつも、何故か付きまとう(学園長さえ恐れるという噂の)情報通・結崎ひよのと刑事の義姉・まどかの助力を得て犯人を探し出した。 だがその事件には「ブレードチルドレン」が関わっているらしい。 連続して起こる事件の裏に兄の存在が見え隠れする・・・。 ブレードチルドレンとは何なのか、兄は無事なのか、そして歩はこれからどうなっていくのか―――。


という感じで始まったのだけど、最終的には歩の成長記録。
例えば「金田一」などとは全くの別物で、描かれるのは思考における論理性。
仕掛けてくる相手の思考をいかに読み、先を行くか。 知恵と勇気は幸福をもたらすのか。
なかなかにカッコいいテーマではあるのです。

途中から、「ん?これはもしかしてファンタジーなのか!?」という設定も出てきて焦ったけれど、
そもそも当作品の世界観は、一般的なミステリ作品よりも基本はファンタジーだと思い直した。
例えばコナンや金田一が毎回毎回殺人事件に遭遇するのはやっぱり有り得ないけど、
普通の恋愛や学園生活の枠を外すことはない。
けれど『スパイラル』は、「兄に全てを奪われてきた」という鳴海兄弟の設定も、
「肋骨が一本無い」ブレードチルドレンの存在も、そして登場人物のアイデンティティさえもが、
作られた状況の中で繰り広げられているファンタジーだ。
読み手はいつの間にかその空間に招待されてしまっているので、たまに学園生活が出てくると、
正直に「うわ、嘘っぽい!!」と感じてしまう。
そして「嘘っぽい」といのは、歩もその通りと感じている「正しい」感覚なのだ。
この作品にはきちんと狙いを持って作られた世界観があり、その中で推理し結論を導き、
辛い未来に希望を見出し進んでいく歩の姿を描く、ファンタジーであり青春ストーリーであり、
そしてやっぱりミステリなのだ。

何たる贅沢!!

そんなファンタジーな世界観の中で、この最終巻で向かえた歩と「彼女」の別離というのは、
最大級の現実感でした。
彼女がそういう存在だというトリック?には随分前に気づいてましたが、
こういう形になるとは想像もしなかった。
私は根が少女マンガ読みなので、ヒーローとヒロインにはやっぱりちょっとだけ、
何となく「そういう二人なんだ」っていう明るい未来を想像させるシーンがあると嬉しい。
でも、そんな期待は今回は完全に外されました。良い意味で。
巻末で城平氏が「二人を対等な存在にしたかった」と書いている通り、
確かにあのままの二人では、対等ではなかったと私も思う。
こんなにもファンタジーな世界観の中で、二人を対等な存在にしたいというのは、
もっとも純粋で現実的な願いのように受け取れました。

こういう風にすることで二人が対等な存在として向き合えるのならば。
ブレードチルドレン達の唯一の存在である歩にも、「唯一」対等な立場の者がいるのならば。
やっぱり未来は明るくて希望があるのだ、と、更に強く思える気がする。
歩は、まどかとずっと一緒にいても、その思いが叶うことはなかった。
ならば、その逆だってあっておかしくない。
人の心の距離は、肉体の距離とは全然違うのだから。

さて。
時に暗くなりがちな(主に主人公の責任/笑)ストーリーを支えるのが、水野さんの絵の力。
硬派な展開と可愛い絵柄・・・このギャップが、唯一のピースであるかのようにぴったりと
ハマったことが、この作品を最高に導いたのだと思う。
ただ、「楽しんで描いてる感」は初期のほうがあったように思えるけれど。
お疲れ様、そして『スパイラル・アライヴ』も待ってますので宜しく(笑)。


<こんな方にオススメ>
・推理もの、にちょっとでも興味ある人には俄然オススメ。少なくても5巻までは絶対面白い(笑)。
何故5巻?と思った方は手にとって見てくだされば、何となく分かって貰える気が・・・。
個人的には★★★★★!!


『スパイラル・アライヴ』 『小説スパイラル』もあったり。
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たくやさんへ

>たくやさん

初めまして! りると申します。
このたびは、たくやさんにとって大事な作品である『スパイラル』絡みで私のブログを見つけてくださってありがとうございます。
私もこの作品が大好きです。 いわゆる少年マンガの枠に収まらない、観念的な深遠さが魅力的でした。

たくやさんにコメントをいただいて、とても久しぶりに自分の感想を読み返しました。 ・・・カッコつけたこと書いてますね(苦笑)。 当時感じたことは嘘ではないけれど、今ならもっと違う書き方が出来ると思います。 それこそ、「ひよのマジかよ!」的な感じで(笑)。  

>中学生のときにスパイラルのアニメを観てハマり

なるほど、アニメからだったんですね! 私は完全にコミックス派でして、アニメは未視聴なんです。 見たくなかったわけじゃないんですけど・・・アニメも面白かったですね? それなら、ファンとしては嬉しいですw

>子供だった頃の自分はこの作品から多くを学んだ気もします。大袈裟ですかね

大袈裟なんてことは、絶対にないと思います。 むしろ、素敵なことなんじゃないでしょうか。 
私もいろいろ学びましたよ。 今でも、電車からひよのが鍵を落とすシーンが大好きです。 その手があったか!と思わされることの多い作品ですが、あのシーンは特別そう感じました。 歩とひよのもお似合いでしたしねw 

>僕はストーリーは勿論ですが、何よりキャラに惹かれました

ストーリーだけでは硬派すぎてしまうけれど、水野さんの可愛く表情豊かな絵柄のおかげで生き生きとした魅力が溢れてました。 私も出す気ですw 

>二人とも一緒に時間を過ごして生きてほしかった。

仰るとおりです。 私もそう思います。 二人がずっと一緒にいて、ニコニコ笑いながら過ごせたらどんなに素敵だろうって今でも思います。 そしてたぶん、誰よりも歩とひよのが、そう願っていたんだと思うのですよ。。 
でも、だからこそ、二人の選択を尊重してあげたいっていうのも強く思います。 相手のために、自分のために、敢えて厳しい選択をした二人を応援してあげるくらいしか、私には出来なかったのです。

・・・とはいえ、ラブラブな二人が見たいのも本当ですーっ(>_<;)  アイって難しいですね・・・。

>長々とすみません。でも絶望の中でも前を向く、スパイラルが好きでした。

長いコメントは大好きです。 たくやさんの「大好き」が伝わってくる、素敵な内容でしたよw  最初に「変なことを言ってしまうかも・・・」と仰ってましたが、そんなことは全然ありませんでした。  
こちらこそ、コメントありがとうございました! また何かの機会にお越しいただけると嬉しいです。

はじめまして。

はじめまして。
こういったサイトにコメントするのは初めてで、変なことを言ってしまうかもしれません。そのときはすみません。

中学生のときにスパイラルのアニメを観てハマり、気付いたら漫画を集めていました。もう作品が終了してから大分経ちますが、先日、古本屋でアライブが置いてあり懐かしく買って読んでみました。
推理の絆にしろ、アライブにしろ、こんなに読み終わった後に色んな感情を抱いた作品はこれだけです。
子供だった頃の自分はこの作品から多くを学んだ気もします。大袈裟ですかね。
他の人はどんな感想だったのかな?と思ってパソコンを開いたら、りるさんのサイトを見つけ、感想を読ましてもらいました。
共感するところ、そういう考え方もあるのか、当時を思い出しながら楽しませてもらいました。

僕はストーリーは勿論ですが、何よりキャラに惹かれました。
様々な壁にぶつかるも、ひよのの存在でヘタレから成長する歩、可愛い顔して肝の据わってるひよの。他のキャラも個性的で面白いです。

読後、強く思ったのはひよのマジかよ~です。なんで清隆の指示に従うんだよ、てか清隆の用意した道具だったのかよ。まんまと騙されました。
歩とひよのはめっちゃ似合ってたし、いや理屈はわかるけど、二人とも一緒に時間を過ごして生きてほしかった。りるさんは、「人の心の距離は、肉体の距離とは全然違うのだから」と書いてあいりましたが、病室で歩1人のときとか切なすぎる。

書き出したら、いくらでも書けてしまいそうです。長々とすみません。でも絶望の中でも前を向く、スパイラルが好きでした。
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