みもり 『地獄堂霊界通信・1』の感想

みもり『地獄堂霊界通信・1』

『地獄堂霊界通信・1』

みもり(漫画)
香月日輪(原作)
講談社アフタヌーンKC
2010年2月5日 初版発行/¥533+税





『 それぞれの仏の力がお前達を守るだろう その力をどう使うかは――自分達で探せ 』
『『『 …………万事承知! 』』』


<ご紹介>
1994年からポプラ社にて刊行されていた 『地獄堂霊界通信』 を、2008年に講談社ノベルス版として新装刊行。 それに合わせて、新装版イラスト担当のみもりさんによってマンガ化された、人気ジュブナイルシリーズです。
てつし・リョーチン・椎名の三人組は、 「イタズラ大王三人悪」 として、ご近所ではちょっとした有名人。 とある事件をきっかけに、町外れにある不気味な 「地獄堂」 の店主 (おやじ) と知り合ったてつしは、豹変したクラスメイトの裏に不思議な存在が関わっていると気付いて…。 水晶玉で町内のことなら何でも知っているとウワサのおやじから教わった不思議な言葉 「なうまくさまんだ ばざらだんかん」 その呪文が、3人を異世界への扉を開く――!! ちょっと不思議な存在を巡る、小学生の冒険譚です。


<感想>
イタズラ大好きな小学生3人組が活躍する物語。 「マンガ」 としてすっごく面白かったです。 私は根っからの講談社ノベルス大好きっ子(笑)なので、新装版が発売された時から気にはなってたんです。 でも、決定的に「欲しい」と思わせる決め手がなかったんだよね。 今回幸いなことに巻末に原作者によるショートストーリーが載ってるんですけど、私はそれよりも、みもりさんが描き出す 「マンガ」 としての魅力に惹かれました。 なので、マンガ版を選んだ自分を褒めてあげたいです (そこかよ!・笑)。


ちょっと怖くて不可思議なストーリーなのに、どこかほんわりと温かく感じるのは、何よりもてっちゃん達の表情が豊かに描かれているからです。 みもりさんのイタズラ3人組はどの子もとても表情が鮮やかで、すぐに泣いちゃうリョーチンの弱さの裏側にある優しさも、ちゃんと自分の目で物事を判断できる椎名の賢さも、イタズラっ子なてっちゃんから溢れ出る正義感も、画面から飛び出してきそうなほど生き生きしてるんだよね。 かと思うと、地獄堂のおやじの何とも言い難い薄気味悪さや、てっちゃんが 「何か」 を感じ取っているときの 「間」 もちゃんと表現されてて、不思議な空気感がある。 見ているだけで作品に惹きこまれました。 


お話としては、地獄堂のおやじに導かれて 「神仏の力」 を手に入れたイタズラ3人組が、異世界の存在と対峙する…というもの。 妖怪や霊と戦う設定の作品は正直多々ありますが、この作品は前述したように子供の子供らしい魅力で物語を牽引してるのが強みかな。 てっちゃんが異世界の力を欲したのも霊や翳と戦うためではなく、それに苦しむ人を助けたかったから…という正義感溢れるところもカッコイイし、リョーチンと椎名がてっちゃん大好きなところ(笑)もカッコイイ。 

てっちゃんの、イタズラはするけれど弱いものは守る義侠心や、幽霊が復讐に行ったと聞かされてもグっと我慢できる忍耐強さには、私も憧れる。 憧れは第2話で描かれたように一歩間違うと妬みにも繋がるけど、リョーチンたちにそういった負の要素がないのは彼らの美徳だよね。 2・3話が構成として締まっているのも、この対比があるからだと思います。 子供が活躍する勧善懲悪モノかと思うと、4話のように人間の裏に潜む醜さなんかも描かれてて、なかなか深い作りでした。 


地獄堂のおやじに関しては読者もてっちゃん以上の知識は与えられないので、謎めいたままです。 人の不幸も平気で笑えるような冷淡さはホント不気味だけど、てっちゃんたちに人の心を諭すこともあったりして、この人何なんだろーって気になる気になる。 何がしたいんだろ? ところで、作中で度々登場する「いも飴」に惹かれたんですけど、それって何?(笑)
以下各話語り。





・第1話 地獄堂と三人悪と幽霊と
池のほとりの木の下に女の死体が埋まっていると言うおやじに 『女を助けたい』 と答えるてっちゃん。 方法を教えてくれたら俺がやるという彼に、おやじは不思議なお札と呪文を授ける… という最初のお話。 凛としたてっちゃんの決意と、大人に頼り切らない姿勢が好ましいです。 あと、ミッタン!(笑) 小学生に翻弄されるやりとりに笑いましたw

・第2話 翳を食う(前編)
森では人の 「翳」 が食われやすいと知って、同じクラスの吉本の翳が食われたのではないかと疑う話。 椎名がてっちゃんに塗った薬も気になるけど、それ以上に、なぜ椎名以外誰もそれに突っ込まないのかが超気になる!(笑) 誰か気付こうよ…。 森で 『堂々と!』 あろうとするてっちゃんが意地らしかった。 心強くあろうとするってことは、ちょっと怖いってことだもの。 吉本のために奮起したんだなぁ。

・第3話 翳を食う(後編)
続き。 扉絵、気に入ってます。 普段のガラコは超カウイイのに、人面キノコの横で安らげるってことはやっぱり人外なんだなぁ… と一目で分からせてるのが上手。 この回で3人組は正式に 「力」 を手に入れるんだけど、力云々よりも3人でいれば大丈夫っていう絆が良かったです。 椎名、イイ笑顔だなぁw あと、ラストで恐る恐る手を伸ばしたてっちゃんに、まるで気持ちを預けるように頬ずりするガラコがめっちゃカワイイ!!  いや惑わされるな、この子は人語を解してヒヒヒと笑うちょっと怖い子なんだよと思いつつも、その場面から伝わってきたてっちゃんへの信頼にホロリとさせられちゃいました。 …あれ?ガラコ話ばっかり(笑)。

・第4話 地獄堕ち
人の良い冨田さんが気の強い妻と結婚した理由が分からない3人に、地獄堂のおやじは 「あの女は地獄に堕ちる」 と言うけれど… というお話。 これが一番怖いっての!!(泣) それまでがイイ話系だったのでまさかこう来るとは思わず、本気で 「人間が一番怖い存在だ!」 と思ってしまった…。 子供が死んだことはただの不幸、本当の 「地獄」 はもっと恐ろしい。 ううん、恐ろしいというよりは、気持ち悪い。 「業」というものがどうにも避けられないものだとは思いたくないけど、目に見えないものを否定することもしたくない。 あそこで笑える冨田さんも人間なのかと思うと、人間って何なんだろう?って考えちゃいました。 この話を1巻ラストに持って来られちゃうと、次はどう展開するのか気になりますねー。  というわけで、まるちゃんが癒しのお話でした(そこか・笑)。


・原作版 こちらもみもりさんイラストです。
完全版 地獄堂霊界通信(1) (講談社ノベルス)完全版 地獄堂霊界通信(2) (講談社ノベルス)完全版 地獄堂霊界通信(3) (講談社ノベルス コM- 3)完全版 地獄堂霊界通信(4) (講談社ノベルス)完全版 地獄堂霊界通信(5) (講談社ノベルス)


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