深山くのえ 『桜嵐恋絵巻~雨ひそか~』の感想

深山くのえ『桜嵐恋絵巻~雨ひそか』
『桜嵐恋絵巻~雨ひそか~』

深山くのえ
(イラスト:藤間麗)

小学館ルルル文庫
2008年12月13日 初版第1刷発行/¥476+税





「言っておくけどな。 そなたも相当、面倒な荷物を抱えてるんだぞ。 何しろいつまで経っても無位無官で、出世の見込みもない」
「……っ、わたくしはあなた様を面倒と思ったことは一度もありませんし、位や出世などで人のやさしさは量れません」
むきになって言い返してくる、涙を含んだ黒い瞳がきらついた。
「面倒じゃないか?」
「ですから、そんなことは思いませんっ」
「じゃあ、俺とそなたは同じだ。 俺はそなたを厄介とも思ってないし、そなたも俺を面倒とは思ってないってことなんだろ」
「……あ……」
互いにそっくりのことを言っていたのだと気づいて、桜姫は目を瞬かせる。 その拍子に、溜まっていた涙がもう一粒こぼれた。
厄介を抱えたなど、微塵も思わない。 …… むしろこの世にたったひとつ、かけがえのない宝物を見つけたつもりでいたくらいなのに。



<ご紹介>
『桜嵐恋絵巻』 シリーズの第2弾。 「鬼姫」 と誤解される詞子姫と歌を詠めない雅遠との、ロミジュリ的ラブロマンスです。
子供の頃にかけられた呪いのせいで 「鬼姫」 と忌まれる詞子姫。 他者を巻き込まないために一切の関わりを拒もうとする詞子の潔癖さに心打たれた雅遠は、いつしか彼女に恋をするようになっていた。 詞子も雅遠の温かさに惹かれるが、二人の実家は都で対立する名家同士。 恋心を誰にも打ち明けられないまま詞子の元に通っていた雅遠だけど、乳兄弟の安名に怪しまれ、二人の恋がばれてしまう。 時を同じくして雅遠が盗賊に襲われたため、これも 「鬼姫」 に関わったせいだと考えた安名は、詞子に別れてくれと頼み込むのだけど ――。


<感想>
『桜嵐恋絵巻』 第2巻です。 いやぁ、1巻よりもっと面白くなってて満足ですw 事件性も恋愛度もぐっと上がってて、何ともドラマチックなのに、この作品はその描写を 「やり過ぎない」 んですね。 ニヤニヤもホロリもあるのに、過度じゃない。 まぁ、私のラブコメ脳だとその「過度」じゃないところがちょっと物足りないと思ってしまうんだけど、読みやすいのでOK。 そして今回も藤間さんのイラストが綺麗でした。 特にカラーピンナップで抱き合う詞子と雅遠がもう……っ!!ってくらいイイ!!  読了後に改めて見返すと、その切なさに泣きそうになります。 ギリギリの状態で恋をする二人の危うさはこんなに美しく映えるのか、と溜め息。 あと、雅遠が弓を構えるイラストが凄まじく恰好良くてクラクラですよ!! 1巻の時は雅遠がこんなにカッコイイとは思わなかったので、詞子ちゃんの男を見る目に乾杯ですね(笑)。


さて2巻。 詞子と雅遠の恋の前には、「鬼姫」 の呪いと、右大臣派の中納言家の姫君 (詞子) と左大臣家の嫡男 (雅遠) というロミジュリ的対立が立ちはだかっているわけですが、前者を描いた1巻とは違い、この2巻は後者の部分に少し踏み込んだ展開になってました。 物語前半の雅遠はいつもの大らかさとは全く違う頑なさで 「恋」 を守っていて、詞子ちゃんへの半端じゃない気持ちが伝わってくると同時に、ちょっと悲しくもありました。 一番近い安名にも隠さなきゃいけないし、逆に、安名にも分かってもらえないなんて、切ないよね。 私、誰にも分かって貰えなくてもいいから二人でいたい… っていうのは 「逃避」 に近いと思うんだ。 詞子と二人で眠る (といっても健全!) シーンでは、ドキドキすると同時に、このままではせっかくの恋がただの避難場所になってしまうんじゃないかと危惧したくらい。


だから、 『誰に知られても良い』 って言ってくれた時は嬉しかったなー。 彼は基本的に、心配する必要のない人なんだと思います。 いつも公明正大で飾らない。 そんな温かさが詞子ちゃんの心の傷を癒していく様子に、ニヤニヤしてしまいましたw  まさか、琴を取り返しにいけるほど詞子ちゃんが強くなれるとは!!  1巻感想 (⇒こちら) で、詞子ちゃん頑張れ!と書いたんだけど、さっそくそんな場面が見れてすごく嬉しいw  詞子は元々凛とした性格だけど、艶子をやりこめるために自分自身を切り札に使うなんて、頭も切れるし堂々としてて恰好良かった。 やっぱり女の子は、恋をしている時と頑張っている時が、ものすごく魅力的だよねw 


ただお話の展開としては、一応伏線が張られていたとはいえ、朱華ちゃんたちの登場が降って湧いたように唐突だったのがちょっと残念かなー。 詞子を守るために出世したいと初めて願った雅遠に都合よすぎる展開だった。 でも、その後の捕り物自体はカッコ良かった (特に雅遠が・笑) ので満足ですがw  それにしても、雅遠の出来が悪いっていうこと自体がフェイクだったのかーと、その部分はちょっと面白かった。 比べる相手を弟に絞ることで偽の情報を流し、雅遠の競争心などをそぐように仕向けたのは、弟本人なのか父なのか… それとも別の人物なのか。 左大臣はすっかり雅遠を避けてるみたいだし、二条中納言も詞子を持て余してるわけだし、この辺の人間関係が今後の軸になるのかな? 



Loading...
Secret

☆Web拍手ボタン

押して頂くとりるがハリキリます(笑)

☆カテゴリ

☆サブカテゴリ (タグ)

 

☆最新コメント

☆リンク(おすすめサイト様)

☆アクセスカウンタ

QRコード

QRコード

RSSリンクの表示

アクセス解析

関連記事Loader

[猫カフェ]futaha

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

☆検索フォーム

☆購読予定一覧

☆アニメDVDの人気ランキング

☆更新日カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

08月 | 2017年09月 | 10月
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


☆オススメ