深山くのえ 『桜嵐恋絵巻~火の行方~』の感想

深山くのえ『桜嵐恋絵巻~火の行方』
『桜嵐恋絵巻~火の行方~』

深山くのえ
(イラスト:藤間麗)

小学館ルルル文庫
2009年7月6日 初版第1刷発行




「世の人々がそれぞれに、不幸せなようで幸せなこともあり、幸せに見えてもその中に不幸せも抱えているならば……私も世の人々と、それほど違いはないのかもしれません」
呪われた身でなくても、悲しみはある。
呪われた身であっても、喜びも悲しみもある。
どちらが幸せで、どちらが不幸せとは、ひと言であらわすことなどできないのかもしれない。
「少なくとも、今のわたくしは、幸せだと思います」
「……幸せか」
「はい」
頷き、手を伸ばして、詞子は雅遠の頬に触れた。
「幸せです。 ……不幸せな身の上ではありますけれど、それでも、雅遠様がいらして、わたくしは幸せです」



<感想>
とある理由により 「鬼姫」 と忌まれている呪い持ちの姫・詞子と、左大臣の嫡男で詞子の呪いを恐れない雅遠との恋絵巻、第3巻です。 二人の想いはもう充分通じ合ってるので、お話は、やっと仕官した雅遠の奮闘ぶりと、出世をかけた大博打がメイン。 博打といっても遊びではなく、帝の寵愛を一身に受ける女御の暗殺計画をあぶり出すのが狙いなんですね。 詞子を守るためには、父親 (=左大臣) に頼らず、かといって敵 (=右大臣派 )にも与せずに出世しなければならない。 それならば帝に取り立ててもらうしかない―― と立ち回る雅遠は、今までの幼さが嘘のように立派でしたw  うっかり女御様を預かることになった詞子が見せるいつもより少女っぽい雰囲気も可愛いし、結構見境なく 「一緒に寝る」 ことをねだる雅遠も面白くて仕方ない。 も少し耐えろ!!と思ったけど、可愛いんだから仕方ないですね(笑)。


でも実は、読了後に一番強く感じたのは、 「あれ、もしかして利雅ってブラコン!?」 という身も蓋もないものだったりします(笑)。 いやだって、今までは単なる嫌な奴だと思ってたんですよ。 出来が良いのを鼻にかけて、兄 (雅遠) を見下すような男の子にみえたから。 でも最後の挿絵で利雅が真っ赤になってるのを見たら、もしかして雅遠にどう接したらいいのか分からないだけなのかもしれない、と思ったんです。 気にしたくないのにどうしても気になっちゃう、みたいな。 小学生のラブコメか!くらいのイメージです(笑。ゴメン利雅…)。  いやだって、雅遠の分の狩衣を用意してるって、妙に可愛くないですか!?(笑) もしかしたら、衣裳合わせを知らずにノコノコ現れた雅遠に 「しょうがないですね」 とか言って狩衣を渡してレッツ コミュニケーション!みたいな展開を望んだのかなーって (えー・笑)。 いや、違うかもしれないけど、少なくともそんな妄想ができる挿絵を描かれた藤間さんに乾杯ですw


それにしても、雅遠の役に立ちたいと願っていただけの詞子ちゃんが、女御様に 「幸せ度」 で宣戦布告したり、雅遠の狩衣を徹夜で縫い上げる女力が、すっごく恰好良かったです。 やっぱり頑張る女の子ってホント可愛いw  可愛いといえば、今まで雅遠だけが褒めてた詞子の容姿についても、今回登花殿の女御から 「ずいぶんきれい」 とお墨付きを貰えたので、読み手としても 「そうだろうそうだろう」 とまるで雅遠のように嬉しかったです(笑)。 今までは二人の忍ぶ恋ゆえに第三者的視点がなかったから、描かれなかったんだよね。 好きな人の衣裳を縫って自分の香りで閉じ込めるなんて、究極の独占欲みたい。 詞子ちゃんが精一杯頑張った狩衣で雅遠の評価が上がるのをみてると、お互いに高め合える恋って素敵だなぁと思いましたw  やっぱり人を取り巻く 「世界」 は、狭いより広い方が素敵。 詞子の小さな世界への扉を開いたのは雅遠に間違いないけど、雅遠の扉を開けたのも、間違いなく詞子なんだな。


さて、雅遠の仕官が始まり、作中に宮廷での仕事の様子が描かれるようになりました。 詞子のために一生懸命お仕事を頑張っている雅遠くんには大変申し訳ないんだけど、個人的に私は日本史が大の苦手なので、 「左兵衛府」 だの 「右衛門督」 だのと、増え始めた古語を読むのに一苦労です (←じゃぁ読むなよ!・笑)。 一番読めなかったのは 「糫餅」。 …あれ、これ別にお仕事関係ない単語だった(笑)。 でも、だからこそ新鮮というか、勉強になることも多いんだけどね。 前も書いたけど、少女小説とはいえ歴史モノを読むことになるとは全く考えてなかったので、この作品との出会いはとても実りあるものになっています。 欲を言えば、もう少し地の文で読み応えが欲しいのと、詞子と雅遠のラブ度アップを希望。 いや、この二人充分らぶーな関係なんだけど、表現が結構あっさり上品なので、ちょっと物足りないのです…。 破壊力のあるセリフ希望(笑)。 あと、歌が詠めない設定はどこへ行っちゃったんだろ…。 その辺ひっくるめて、次巻も楽しみです。



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>小夜さん

コメントありがとうございました。 お返事遅くなってすみません…(実家の都合でワタワタしてました…)。

>そうなんです、相互リンク様からちらほらとお邪魔させていただいておりました

やっぱりw 予想が当たって嬉しいw どちらも素敵なブログ様なので、辿っていただくことは光栄です。

>だんだん詞子が心を開いていくところも好きでした。

そうなんですよねー。 一歩ずつ気持ちが近づくところと、近づいてからは一気に花が咲き誇るような恋になったところも好きです。 お互い純粋なんですよね。

>もしリンクを貼っていただけるのなら←あつかましい、とても嬉しいです。

いえ、是非こちらもお願いしたいのです。 あの、時間がかかるだけで…(本当にすみません…)。 その時はよろしくお願いします!!

>『百年恋慕』も読みましたよ~あとで記事にしたいなぁと思っています。

嬉しい! 私、あの話可愛くて好きなんです。 記事楽しみにしていますねw

お返事ありがとうございます。とてもうれしいです♪
そうなんです、相互リンク様からちらほらとお邪魔させていただいておりました。

TBの件、ありがとうございました。本当に申し訳ないです。
このシリーズ、雅遠が詞子にらぶらぶなのがいいですよね。だんだん詞子が心を開いていくところも好きでした。
女御さまは…続巻をお楽しみに、ということで♪

リンクの件、ありがとうございます。貼らせていただきます♪♪もしリンクを貼っていただけるのなら←あつかましい、とても嬉しいです。相互リンクになりましたらRSSではなくFC2のリンクのからも貼らせていただきます♪

ここの記事ではないですけど『百年恋慕』も読みましたよ~あとで記事にしたいなぁと思っています。
またお邪魔させていただきます!!

>小夜さん

初めまして! コメントありがとうございました。
何度かお越しくださってたなんて嬉しいですw ありがとうございました。

>『桜嵐恋絵巻』のシリーズ、とても大好きで、最新刊まで読んでいます♪

私はまだ途中までしか読めていないのですが、このシリーズ好きです。 雅遠と詞子ちゃんのやり取りにほんわかしてしまうんですよw
仰るとおり、この巻では女御さまとの会話がすごくツボでした。 シリーズで一番好き、ということは、今後も活躍してくれるのかな?  楽しみです。

>TBをそちらでしてしまいまして、もしご不快なら削除をお願いいたします…。

いえ、不快もなにも、この続きの感想を書けていない私が悪い(笑)。 送りたくても送れないでしょうからお気になさらず。 でも、こうやってお気遣いいただけると嬉しいですねw

>もしよろしければ、リンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか?

もちろん、構いません。 むしろ光栄です。
ただ、当ブログは現在込み入ってまして、こちらからのリンクは遅くなってしまうと思います…。 申し訳ないんですけど、その点だけご了承いただければ幸いです。

貴ブログ、拝見しました。 相互リンクさまが私と重複しているので、その辺りからうちに足を伸ばしてもらえたのかな?と予想しておりますw 来てくださって、ありがとうございました。

はじめまして♪

はじめまして。小夜と申します。
コメントは初めてですが、実はこそこそとお邪魔させていただいておりました(汗)

『桜嵐恋絵巻』のシリーズ、とても大好きで、最新刊まで読んでいます♪
TBをそちらでしてしまいまして、もしご不快なら削除をお願いいたします…。
この巻は女御様が好きでした。女御と詞子のやりとりが好きで。登花殿の女御は実は一番シリーズで好きなキャラです。

もしよろしければ、リンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか?
これからもお邪魔させていただきます♪♪
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