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毛利志生子 『夜の虹』の感想

毛利志生子『夜の虹』

『夜の虹』

毛利志生子
(イラスト・増田メグミ)
集英社コバルト文庫
2009年12月10日 第1刷発行/¥552




「いいえ、逃げないわ。 …助けを呼んで戻ってくる」
オリガは強い調子で反論した。 ここで問答するのは時間の無駄だ。 ロジオンも、今回ばかりはオリガを連れてはいかないだろう。
だから、オリガは駄々をこねる代わりに、すばやくロジオンの襟元をつかんで引き寄せると、彼の頬にキスをした。
「あなたに神のご加護がありますように」
すると、ロジオンもオリガの髪にキスをした。
「屋根から落ちないように祈ってるよ」
その言葉が気に障ったので、オリガは舌を出した。 そして、今度こそ屋根へと続く細い階段を上りはじめた



<感想>
発売日に思わず表紙買いした作品。 だって表紙のオリガが猫っぽくてすごく可愛いw  ロジオンの制服姿がカッコイイ!! 元々増田メグミさんのイラストに惹かれていたのだけど、意外にも彼女の挿絵作品を購入したのは初めてです。 中のイラストも全部良くて、視覚効果も抜群ですねw  そんな訳で、最初っから 「オリガ可愛い」 目線で物語を読んでいたので、彼女の鼻っ柱の強いところとか、他人を懐にいれたがらない性格なども可愛くて仕方なかったです。 猫だ、完全に猫だ。 懐かれたい!(笑) そしてロジオンはどこまでも犬っぽかったです。 好き…w (←笑)


お話としては、父の死をきっかけに 「死者の直前の行動」 を 「残像」 として見る能力に目覚めてしまったオリガと、彼女をとりまく (?) 3人の男性を中心に進みます。 オリガにとって、 「残像」 が見えるなんてことはトップシークレット。 公には失踪者と見做されている父が本当は死んでいることも、オリガだけが知る秘密。 彼女はその秘密に深く傷つき、悩み、他者を拒みながらも、 「残像」 を放っておくことが出来ずに事件に首を突っ込んでしまい、警察副所長のロジオンに不思議がられたり、婚約者のアーサーには心配されたり、憲兵のレオニードには疑われながらも、得意の画力を武器に死者の秘密を紐解こうとする・・・という流れ。 そしてその根底には、オリガの父の死の謎が渦巻いているようです。


今作は、前半では公園で死んだ少年の事件が、後半は工場で焼け死んだ男の事件が描かれてました。 死者をめぐるサスペンス的な事件は魅力的でどんどん読み入ったけど、二つの事件を繋ぐ伏線がなく、あっさりと工場の事件に移ってしまった展開がちょっと惜しかった。 けどその分、簡単には人に慣れないオリガの性格がよく表れていた気がします。 噛み付くような彼女の態度も意に介さないくらい大らかなロジオンでさえ、信頼を得るのに1冊まるごとかかってますからねーw  オリガの鼻っ柱をへし折る程の威圧感で事件を探るレオニードの存在力もなかなかだし、滑らかな処世術の割には亭主関白っぽいアーサーも意外とくえない気がする。 今作では4人の関係はまだ薄いままだったけど、これからはもっと複雑に絡んでいきそうなので、三角関係モノは苦手だけど四角関係は大好きな私の趣味的にもハマりました (ややこしい好みだな!・笑)。 1作目のインパクトとしては上等だったと思います。


それに、何といっても魅力的なのは、19世紀の帝政ロシアという舞台設定だと思うんですよね!!  ミハイル・ムラヴィヨフの虐殺が8年前だと表記されているから、だいたい1870年頃が物語の舞台のはず。 少女小説ではあまりみかけない時代設定だけど、個人的に過去にロシア文化を (軽くだけど) 学んだ身としては、春のモスクワがぬかるむ風景描写や、オリガの伯父が経営する工場のあり方などは興味津々で読みました。 特に、ピロシキやラステガイに代表される美味しそうな食べ物の描写には、空腹中枢が刺激されたなーw  こういう時代設定はもっと増えると良いと思う!


それから、スパイのコルビンとして葬られることになった男の命運に関しては、以前森博嗣や笠井潔の作品で読んだ 「名」 が人に与える影響力というものを彷彿とさせました。 レオニードが語っているように、一度 「名」 を名乗ってしまった以上、その 「名」 に相応しい業を人は背負うことになる。 オリガがコルビンの最期に父を重ねたように、それはある種の真理だし、実際オリガの名にも 「変人」 という肩書きが作られつつある。 物語が続けば、オリガがその業にどう立ち向かうのかという話になるのだと思うけど、興味深いのはロジオンがラストで 「君は変人と言われることを喜んでいないだろう?」 と言っている点。 常識や偏見でオリガを縛らなかったロジオンの信頼が、彼女のこれからを虹のように照らしてくれることを願ってます。 それにしても、ラストのイラストには本当に頬が緩むなw  次巻も買ってあるので楽しみです。


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>Erinaさん

こんにちは! コメントありがとうございますw
わざわざ補足をしてくださって、ありがとうございます。 やさしい人は大好きー(笑)。
でも実は、Erinaさんが書いてくださったような意味にちゃんと捉えてましたよw あとがきに「ロジオンは既出」とあったので、ロジオン目線なのかなーって予想してたんです。 きっと私のレスの書き方もおかしかったんだと思います。 紛らわせちゃって、ごめんなさい!

>雑誌ではロジオンの視点から書いたものでした。

いっそのこと、読んでみたいですコバルト(雑誌の方)。 まだバックナンバーあるかなぁ・・・と思ってるところです。
いろいろ気を使ってくれて、本当にありがとう! またお話できたらうれしいですw

こんばんは。
この前のコメントで、誤解を招くような書き方をしてしまったので、訂正と補足をしに参りました。

夜の虹の前半は雑誌Cobaltに掲載されたものの再録だ、と書きましたが、文庫版は正真正銘書き下ろしです。
どういうことかというと、文庫版はオリガの視点から事件が書かれていましたが、雑誌ではロジオンの視点から書いたものでした。
ですので、再録という表現は相応しくなかったですね。
申し訳ありませんorz

以上、たびたび失礼いたしました。

>Erinaさん

初めまして! コメントありがとうございますw
調子に乗って・・・なんて仰らないでください! コメントはいつでも大歓迎です!!
・・・まぁ、お返事が滞りがちで大変申し訳ないんですけど(笑)、よかったらお気軽にどうぞ、ですw

>夜の虹の前半部分は雑誌Cobaltに掲載されていたので、後半への伏線が出来なかったんだと思います。

あぁ、なるほど! だから2つの事件がバラバラに見えちゃったんですね。 私は雑誌を読んでないので、全然知りませんでした。 
教えてくれてありがとう! 仰るとおり、単行本化の際に加筆があると良かったですよね。 

>毛利先生がコバルト文庫で執筆中の風の王国シリーズも、吐蕃(現在のチベット)が舞台の少女小説としては珍しいのお話です。

『風の王国』シリーズは私もずっと気になってたところです。 チベットなんですか、大好きです!!(笑) 私、アジアから中東にかけての歴史を勉強してたんですよ(その流れでロシアも学びました)。 なので興味津々。
うー手を出しちゃうかもしれません!(笑) こちらも情報ありがとうです。

はじめまして。
いつもこっそり拝読させていただいている者です。

今回調子に乗ってコメントさせていただきました。
ご存じの内容でしたらすみません。

夜の虹の前半部分は雑誌Cobaltに掲載されていたので、後半への伏線が出来なかったんだと思います。
文庫に再録するにあたり、加筆があったらよかったなあとは、わたしも思いました。

あと、毛利先生がコバルト文庫で執筆中の風の王国シリーズも、吐蕃(現在のチベット)が舞台の少女小説としては珍しいのお話です。巻が進むにつれて、重厚で壮大な展開にッ…!!もし未読でしたら、一読されてみては?増田先生のイラストですし♪

それから、同じコバルト作家の須賀しのぶ先生の単行本「芙蓉千里」とかも、ハルピンが舞台だったりして面白いです。ロシアじゃないですけど、近くなので(笑)時代は多分、明治から昭和初期にかけて。もし良かったらお試しを~

それでは、失礼しました。

>NKさん

コメントありがとうございましたw

>小説は内容も大事ですが表紙絵も大切ですね。

そうなんですよね。 
特に少女小説やライトノベルは表紙絵ってすごく大事。 あとは、タイトルかなw

>まさか夜に虹なんて出るわけないでしょ、と思われるかもしれませんが・・・

っていうか、夜に虹が出るなんて考えたこともありませんでした!!
写真見てみましたけど・・・ホントだ! 出るんですね…っ!
自然の力ってスゴい。 神秘的ー!!

私もいちど見てみたいです。
情報を教えてくれたこと、リンクも貼ってくださったこと、
どちらも本当にありがとうございましたw 興味深かったー。

>ミナモさん

こんばんは! コメントありがとうございますー。 
私もこのお話、一読してすぐ好きになったので、早速コメント頂けて嬉しかったですw

>特に大好きな場面だったので思わずニヤニヤしちゃいましたw

私もこの場面が大好きで、抜粋するのに躊躇わずに決めることが出来たくらいです。 2巻の方の抜粋は、候補が2つあって最後まで悩んだのですけどねー。
…1巻目はニヤニヤ重視、2巻目はホロリ重視な感じですね(笑)。

>なかなか四角関係ものって読んだことがないのですけれど・・。

『夜の虹』とは方向性が違うけど、天乃忍さんの『片恋トライアングル』2巻目が四角関係でした。 オススメですw

>オリガをめぐるをめぐる男性はどれも毛色が違うようなので楽しみですよねw

そーなんですよねw オリガの感情的にはアーサーの分が悪い気がするけど(ヒドイ・笑)、そんな彼の立場が一番公式だというから不思議なものです。
レオニードはどんどん良くなりますね! 私も2巻でニヤニヤしちゃった(笑)。
でもやっぱり、オリガの相手はロジオンで!! これは譲れないですーw

>ちょっと堅いイメージをしていたので、この作品の雰囲気と合っているなぁと。

そうですよね。 この作品、実は結構重厚な作りだと私も思います。
帝政ロシアという時代と舞台がそうさせるのか、毛利さんの元々の作風なのかは分からないけど、雰囲気あってますよねw
料理の描写にはもちろん目がいきました(笑)。 もう食べたくて食べたくて…!!

>巻は増田さんの挿絵がなかったのが少し残念だったんですけれど

残念でした・・・ホント残念でした!!
でも、残念に負けずに感想頑張りました!(笑) いつもありがとうございますw


p.s. 『アネット』ゲット、ありがとうございます!! 個人的に大好きなんで、ミナモさんの好みに合うと嬉しいのですが、もし苦手だったとしても「苦手でしたー」と教えてもらえると嬉しいですw 来月新刊も出ますしね♪

表紙の絵は鹿鳴館時代の人たちって感じですね。
小説は内容も大事ですが表紙絵も大切ですね。

(いつもの事ですが)これも読んだ事ないのですが、今回も題名が気になってコメントしました。
まさか夜に虹なんて出るわけないでしょ、と思われるかもしれませんがこれが出るんですよ・・・。
勿論めったにない現象ですが、写真が出ているHPを見つけたのでのせておきます↓。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E8%99%B9

http://www.bekkoame.ne.jp/i/lummox/Moonbow/Moonbow-Index.htm

http://10e.org/mt2/archives/200911/060248.php

夜の虹、一生に一度でもいいから見てみたいです。

りるさんこんばんは!
この作品とっても大好きです~。
抜粋された箇所、オリガとロジオンのやり取りの中でも特に大好きな場面だったので思わずニヤニヤしちゃいましたw

三角関係は私も苦手ですが四角関係なら大歓迎です!(笑) なかなか四角関係ものって読んだことがないのですけれど・・。
ロジオン、レオニード、アーサー。オリガをめぐるをめぐる男性はどれも毛色が違うようなので楽しみですよねw
特にレオニードは2巻でニヤリとしちゃいました…(苦笑)
どの御仁も素敵ですけれど、猫っぽいオリガと犬っぽいロジオンの組み合わせに和んでしまいます。

私も本書を手にとったのは表紙が決め手でしたが、舞台(ロシア!)にビビッときました。
ちょっと堅いイメージをしていたので、この作品の雰囲気と合っているなぁと。あいにく時代背景はうといのですが…料理の描写ばかりに目が行ってしまいました。。

2巻は増田さんの挿絵がなかったのが少し残念だったんですけれど、物語は1巻と同じくらいぎっしりした内容でした^^
感想楽しみにしてますね~ノ

p.s.あと別件ですが、「アネットと秘密の指輪」シリーズ、某古本屋で全巻揃っていたので思わず全部買ってきました! りるさんの「執事」プッシュにウズウズしてたのですが…w
週末はこのシリーズに浸かる予定です~♪
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