日高万里『ひつじの涙(全7巻)』の感想

ひつじの涙7

『ひつじの涙 (全7巻)』

日高万里
白泉社花とゆめコミックス





『 さぁ 楽しいことからはじめよう 』


<ご紹介>
『花とゆめ』誌上で2001年から2003年にかけて連載された作品です。
『お願い、部屋(アパート)見せて!』 孤独を求めて入学した紫ノ塚学園で、神崎京介は一人のクラスメイトに付きまとわれることになる。 元気印の同級生・蓮見圭は、神崎の部屋に 「あるかもしれない」 指輪を探したいのだと言う。 訳あって一人暮らしの神崎はそれを断固拒否したけれど、諦めない圭に振り回されっぱなし。 そんな毎日に辟易としていたはずなのに、いつの間にか彼女に癒されるようになった神崎は、圭が抱える暗い過去に少しずつ触れるようになる。 彼女が探す指輪、それは初恋の人・諏訪の結婚指輪で、それを圭が失くしたばかりに諏訪の婚約は解消され、記憶を失ったのだと言う。 さらに、圭自身の記憶も曖昧なことにも、何か理由があるようで…。


<感想>
『雲職人の休息』 のもとさんが再読してるのをみて、 「そーいえばどんな話だったっけ?」 と便乗して再読してみました(笑)。 やっぱり当時の日高さんといえば、秋吉家シリーズの印象がどーしても強かったんですよ。 そして私は、そんな秋吉家シリーズにちょっと食傷気味だったんですね (コラ・笑)。 なので当時はこの作品も斜め読みだったんだけど、今読むと結構面白くて一気に読んじゃいました。


神崎と圭という二人の主人公と、二人を取り囲む大人たちの物語。 神崎自身にもトラウマがあったんだけど、それは割りと早い段階で解消されるので、基本は圭と諏訪が体験した「3年前の出来事」が中心です。 それに由来する悩みや隠された事情を、神崎が天性の巻き込まれキャラを発揮して(笑)手探りで進む感じ。 神崎としては、なぜ指輪を探すのか、どうして指輪を隠したはずの圭がその在り処を知らないのか、そもそも諏訪とは誰なのか―― など、全く何も分からない状態なのに、面倒見がイイという厄介な性格(笑)ゆえに関わることになるんですね。 そしてそのうち恋愛のどツボにハマってしまうというヘタレ展開は、私の好みでございましたw (ごめん神崎・笑)。


彼らを見守る大人サイドにもいろんな事情があって、圭を溺愛する双子の兄たちが 「圭の幸せ」 を望むゆえに指輪探しを応援しきれない葛藤とか、サポートに徹してた蝶子先生も方々に複雑な心境を抱いていることとか、状況が見えてしまう 「大人」 だからこその悩みがある。 その悩みは実際、思い込んだら一直線な圭ちゃんの悩みより共感しやすいし、でもやっぱり雁字搦めに陥りやすい 「大人」 って面倒だなとか思っちゃうし、そう思うと頑張る圭ちゃんの姿は眩しく映るし…… 気付くと作中の大人達と同じ目線で主人公達を見守ってしまう自分がいました。 大人の悩みと子供の悩みは、質こそ違えど在り方は同じなんだっていうバランス感が良かったです。


そして一番良いなって思ったのは、人を一面だけでは語らない描き方、でした。 例えば神崎は、凌にとっては単純に「気に入らない奴」だけど、諏訪は彼を「面白い! 凄い!」と言うし、君島くんなんか神崎のこと大好きだよね(笑)。 逆に圭ちゃんのことだって、諦めない七面倒な奴だと思う人もいれば、しっかりしてると感じる人もいる。 諏訪に至っては神の様に絶対的な存在として描かれたり、またはただのダメ人間だったりもする極端な面を持っている。 その中心となるのが、作中で圭が何度か問われる 「圭にとっての神崎とは何か?」 というもの。 いろんな風に圭ちゃんを見ている人たちが口を二人の関係を問うのは、やっぱり何かがあるから。 そしてその「何か」を、圭ちゃんが不器用ながらも大切に考えていく過程がすごく良かったです。 


つまり、人は常に誰かの主観によって判断されるけど、それがその人の評価の全てではないってこと。 いろんな人が自分を見てて、いろんなことを感じるけど、相手にとっての自分、自分にとっての相手がどんな存在なのか、それを決めるのはあくまでも「自分自身」なんだっていうことがいろんな人の目線で描かれているのが、私は好きだったなw  「諦めないのが私らしいんだって」 と神崎からの評価を自分のものとして捉えてた圭ちゃんをみてもそう思いました。


あとはもう、ひたすら 「神崎ガンバレ!」 って応援ですよ! そこ応援しないでどうするよ!って感じで読んでました(笑)。 こんな面倒な人間関係の渦に巻きこまれた割には、ある意味いちばん 『楽しいことからはじめよう』 という諏訪の言葉を理解していたスゴイ奴だと思うのです。 神崎みたいな友達欲しいですねー。 あと、恋愛するなら理人さんが良いです (何故!?・笑)。 マメな人好きですーw  諏訪さんが作った 『ひつじの涙』 には思わず泣いちゃったし、途中までのモヤモヤを吹き飛ばすくらい前向きなラストはとても良かったですw 楽しめましたー。



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